Brexit 英国EU離脱による株価下落と世界経済について

2016/6/23(木)に実施された英国の国民投票により、英国のEU離脱Brexit)が決まりました。

この英国のEU離脱はネガティブサプライズとして大きなニュースとなりました。開票によりBrexitが明らかとなった6/24(金)は、世界各国の株価下落が起こりました。Brexitにより、今後の世界経済の停滞が訪れる可能性が濃厚になっています。

株式への影響

英国のEU脱退が決まり、翌日6/24(金)は世界各国の株価が大きく下落しました。

世界各国の株価動向

下図は、各国の株価動向です。2016/6/25に、世界の株価から取得しました。

Brexit2016-06-24

各国で株価が大きく下落した様子がうかがえます。

この日、わずか1日で世界の株式時価総額は約3.3兆ドル(330兆円強)消失しました。この金額はドイツのGDPに匹敵する巨額なものです。

日本

日経平均株価は前日比7.92%下落しました。

イギリス

震源地のイギリスの株価指数(FTSE)は、3.15%下落しました。名目値では他国に比べ小さな下落であり、一見すると影響が小さいように見えます。

ところがポンドが売りを浴び通貨安となっており(後述)、これを加味すれば、実質的には大暴落です。

ドイツ・フランス

ドイツ(DAX)は6.82%の下落、フランス(CAC40)は8.04%の下落です。震源地のイギリスよりも不安が広がっています。

イギリスに続くEU離脱国家が出て来れば、欧州経済圏の崩壊が視野に入って来ます。その影響が織り込まれたようです。

次のEU離脱国を表すNEXITなる単語が流行の兆しを見せています。具体的な国名を伴う、Swexits(スウェーデンの離脱)、Czexits(チェコの離脱)、Frexits(フランスの離脱)等の単語が出てきました。

イタリア・ギリシャ

イタリア(MIB)は12.48%の下落、ギリシャ(アテネ総合)は13.42%の下落です。ドイツ・フランスと比べて下げ幅が大きくなっています。

2010年欧州ソブリン危機の再来が視野に入った事により、売りを浴びています。PIIGS(豚ども)と揶揄される、経済基盤が脆弱な国々の株価下落が顕著です。

ネガティブサプライズ

6/23(木)の国民投票の当日まで、残留派の優勢が伝えられていたために、イギリスのEU離脱はネガティブサプライズとなりました。この事が、6/24(金)の世界各国の株価暴落に拍車をかけました。

ブックメーカー

ブックメーカーは「賭け業者」です。英国がEUに残留するか、それとも離脱するかは、賭けの対象となっていました。そして6/20時点では残留の予想が優勢でした。

一般的に、賭けは集団の知恵(集合知)が働くために、予測の精度は高い事が知られています。そのため、ブックメーカーにおいて残留の予想が優勢である事を受けて、多くの投資家は残留を予想した楽観的な投資行動を取りました。

ところが結果はEU残留ではなくEU離脱です。多くの投資家の予想と異なる結果は狼狽売りを誘い、世界各国の株価が下落しました。

ブックメーカーの予想が外れた理由

ブックメーカーの予想は、掛け金の偏りにより外れました。

ブックメーカーの賭け金の多くは残留派が多くを占めるロンドンでのものであり、集団の知恵(集合知)が機能する要件である分散性が欠如していたからとされます。

なお、集合知については、下記のリンクのレポートが詳しくなっています。

為替への影響

ポンド暴落

英ポンドは暴落しました。ポンド/円は11.43%の大幅円高になりました。下図は毎日新聞のマーケット速報から、2016/6/25に取得しました。

BrexitGBT2016-06-24

ドル安・円高

ポンドのみならず、有事の円買いにより、安全資産とされる日本円に買いが集中しました。これにより、対ドルでも円高が進行しました。1日で8円もの円高をつけています。下図は、米ドル/円(Yahoo!ファイナンス)から2016/6/24に取得しました。

BrexitUSDJPY2016-06-24

より長期の為替チャートは、下記の記事に投稿しています。

経済への影響

英国経済・欧州経済

英国や欧州の経済は、悪化するとの意見が多数です。

欧州経済圏でのアクセスが不自由になり、景気悪化へ

EU脱退により、英国は欧州の経済圏へのアクセスに不自由が発生します。関税はモノの流れを阻害しますし、人の移動も今よりは難しくなるでしょう。これらの事から英国経済へマイナスの影響が出ます。

更に、これだけに留まらず、英国は金融市場の中心地であるため、影響は欧州各国に波及します。

設備投資に慎重になる企業

環境変化による不安要素が多いため、企業は設備投資に慎重になっています。

設備投資が上向かない状態が続けば生産性の低迷を通じて、世界景気の悪化に繋がります。

英国債の格下げとその影響

英国債は格下げ

それに伴う景気悪化やポンド安の影響を加味し、ムーディーズは6/24に、英国債の格下げの可能性を発表しました。

その後6/27には、結局英国債の格付けは、S&Pで2段階の格下げ、フィッチは1段階格下げとなりました。

英国債の格下げの影響

この英国債の格下げは、英国銀行の格下げを招きます。そして英国の銀行が発行している債券は約70兆円と推計されており、日本を含む世界中の投資家が投資しているため、債券価格が下落すれば影響はグローバルに拡散していきます。

英国の不動産価格の下落

英国では不動産価格が下落しています。

Brexitにより英国の欧州拠点地としての魅力が薄れる事から、商用不動産の価格が下落しています。流動性も枯渇している様子で、英不動産ファンドは7社が解約停止をするという混乱状態になりました。

日本経済

遠く離れた日本にも影響しそうです。日本では特に、輸出企業の減収と景気悪化が予想されます。

日本の輸出産業は、欧州景気悪化による需要減により、売上を減らす事があります。更に有事の円買いによる円高により、為替差損を被ります。輸出産業中心の日本経済は、これらの影響により景気悪化する事が予想されます。

また、デフレの進行も予想されます。上記円高により、海外の物が安く手に入るようになりますので、物価の下落(デフレ)が進行します。

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