株式分割


株式分割は、1株を細かく分割する事です。株式会社が株式の流通量を増加させたい時等に、株式分割が行われます。このページに株式分割についてまとめます。

株式分割とは

株式分割では、既存の株主に対して新しい株を配布する事で、株数を増やします。ただし時価総額そのものは変化せず、株主の権利も変わりませんので、株主から見ると株式が分割されたように見えます。

無償で割り当て

株式分割では新しい株が、基準日に株主名簿に記載された株主に対し配られます。例えば1:3の比率で分割される場合、1株を保有する株主に対して2株が無償で配布されます。

権利付最終売買日に該当する株を保有していれば、無償で新しい株が手に入ります。権利落日以降に購入した場合は、新しい株は手に入りません。

時価総額は変化しない

株式分割の直前・直後で時価総額は変化しません。

例えば1株3,000円の株が1:3の比率で分割されると、1株×3,000円=3,000円が、3株×1,000円=3,000円になります。株数は増えますが、株価が下がるために、総額は変化しないわけです。このように、株式分割で株主の権利に変化はありません。

株式分割と株式投資

値上がりの傾向

一般的に、株式分割が行われると株価は上昇すると言われています。

分割によって、単元株の値段が安くなりますので、手持ちの現金が少ない個人投資家でも売買しやすくなります。多くの人が買える株は値上がりしやすくなります。また、流動性が高まるため分割前よりも売買しやすくなり、更に買いやすくなります。

売買停止

証券会社によっては株式分割の前後で、該当銘柄の売買ができなくなる事があります。必要ならば売買停止期間を確認しなければなりません。

分割予定銘柄

国内の分割予定銘柄は、下記のサイトにまとめられています。

株式分割予定銘柄一覧(日興イージートレード)

株式分割による異常値

株式分割が行われると、データ分析の観点では手間がかかります。いくつかの異常値が出る事があります。

指標の異常値

株式分割で株数が変化すると、EPS(一株あたり利益)が変化します。これに伴ってPERも変化します。ところが投資情報サイトによっては、分割の影響が考慮されず(もしくは間違えて)、分割前の情報が掲載されている事があります。この時、業績の割に株価が割安に見えてしまいますので、投資判断をする際には注意が必要です。

ツールのメンテナンスの必要

投資ツールの種類によっては、登録している銘柄の買値と保有数を、株式分割後に手動で変更する必要があります。例えば1:1の分割の場合に、登録している保有数を2倍にし、買値を半分にする必要のあるツールもあります。

分割考慮チャート

普通の投資情報サイトでは、チャートは連続性が保たれるように、掲載されます。1:1の分割前に2,000円の株価で売買されていたという情報は、分割後に1,000円と補正されてチャートになります。

人工知能(AI)による株価分析でうまく儲けられない理由


人工知能(AI)による株価分析を行い、株式市場で大儲けをしようと野心的な試みをしましたが、いくつかの問題が発生し、結果として上手くいきませんでした。人工知能(AI)でうまく儲けられない理由をまとめておきます。

はじめに:試みた分析

私が試みた株価分析は、株価の過去データを人工知能(AI)に学習させて、翌日以降の株価水準を機械に予測させる方法です。流行りのディープラーニングとしてMLP(Multi Layer Perceptron)も試しましたが、結局素人でも使いやすく精度が高いランダムフォレストと呼ばれる機械学習のアルゴリズムを中心に分析を行いました。

儲けられない理由

株価データ数の制約の問題

私は機械学習では、多様なパラメータ(前日の高値、安値、終値、2日前・3日前の株価情報、出来高、移動平均線の水準・・・etc.)、を機械に与えてあげれば精度の良い株価予想を返してくれると考えていましたが、そうではありませんでした。

与えるパラメータを増やせば、モデルが複雑になり過剰適合(overfitting)を起こし、汎用性の高い株価予想ができなくなります。勿論分析対象となる株価データを増やせばこの問題は解決しますが、株価データは市場が開いているのが1年間で243日前後の関係で、過去の年の株価データを集めたとしてもそれほど多くの蓄積はありません。株価データは意外に少ないのです。このようにデータを増やせない以上、徒にパラメータは増やせません。

ただし、工夫すれば多くのパラメータを使った分析も可能な様子でした。例えばMLPを使えば余計な情報を捨てられますし、主成分分析(PCA)と呼ばれる手法でパラメータを回転させて使う手法もありました。

誤検出の問題

機械学習では、何もない所から誤って何かが検出されてしまう事があります。例えば乱数で生成したチャートを分析しても、あるはずの無い上昇または下落シグナルが出てしまう事があるのです。

勿論、手持ちのデータをモデル構築に用いる「訓練セット」と、モデルの評価に使う「テストセット」に分割し、未知のデータでモデルが機能するかどうかを検証しました。にもかかわらず、不幸にも訓練セットとテストセットの両方で有効となってしまったチャートパターンがあり、誤検出が発生しました。

株価の予測とリターンの違い

「株価を予測できるかどうか」と、「株で利益を得られるかどうか」が、(意外な事に)別問題である点も、機械学習で儲ける事を困難にします。

例えば、7割で株価を当てられるモデルがあったとします。何の情報も無ければ当たるのは5割ですので、7割は良く予想できています。ところが、このモデルで儲けられるかというとそうではありません。なぜなら買う時に上手くいく確率が70%で、売る時に上手くいく確率が70%なら、この売買で儲かる確率は49%でしかないからです。これでは丁半博打と変わりません。このように、株価をある程度高い精度で予測できたとしても、うまく儲けられない事があります。

機械学習で儲ける事はなかなか困難です。

資産運用の出口戦略


資産運用は資産形成期、保守期、取り崩し期と推移しますが、この内、取り崩しに関する運用戦略が出口戦略です。アセット・アロケーションに関する手法として代表的な出口戦略には、債券シフト法と分散投資があります。売却手法としての出口戦略戦略には、定額売却と定率売却があります。この記事ではそれぞれ紹介します。

出口戦略とは?

資産運用の出口戦略

人生の中での資産運用は、現在から死ぬまでの期間が計画期間(プラニングホライズン)となります。運用は、資産形成期、保守期、取り崩し期と推移しますが、この内、取り崩しに関する運用戦略が出口戦略です。資産運用の完結には出口戦略が不可欠です。

出口戦略は重要であるにもかかわらず、情報は不足しています。なぜなら世の中の多くの組織は買い煽りはしますが、出口戦略を語りたがりません。例えば証券会社は投資信託等の資産を投資家に保有させる事で利益を得ますので、資産売却の手法を紹介すると利益が減るため、投資家に敢えて売却の手法を紹介する事は稀でしょう。個人投資家は、自分で出口戦略についての情報を集める必要があります。

参考:一般的な出口戦略

一般的に出口戦略(でぐちせんりゃく、exit strategy)は、軍事的もしくは経済的な損害が続く状況から損失・被害を最小限にして撤退する戦略を指します。ベトナム戦争時にアメリカ国防総省内で使用されたのが始まりとされています。

出口戦略(Wikipedia)

※この記事では、前者の「資産運用の出口戦略」を扱います。

債券シフト法 .VS. 分散投資

資産運用の出口では、資産配分を変更する、具体的には国内債券の保有比率を上げる(債券シフトする)べきだという考えと、債券への集中投資は避けて分散投資をするべきという2つの考えがあります。一般的には債券シフト法が主流となっていますが、私個人的に日本人の投資家は、年齢にかかわらず分散投資を行う方が良いと考えています。

債券シフト法

債券シフト法は、年齢と共にポートフォリオの債券比率を増やすという手法です。債券シフト法の主流は「債券の比率を年齢と同じにする」という進め方です。例えば30歳であれば債券比率が30%で、残りの70%が株式です。60歳であれば債券60%、株式40%です。なお、ここでの債券は、国内債券を意味しています。(外国の債券・外貨建て債券ではありません。)

ウォール街のランダム・ウォーカーを始めとする米国の古典的投資教本では、年齢と共に債券比率を高めるという手法が紹介されています。このように有名な手法ですので、多くの投資家が実践していると予想されます。

なお債券シフト法は、資産運用の出口で安全資産とされる債券に資産を移すことで株価暴落による資産毀損リスクを低減します。逆に言えば、国債が安全と言い切れない国では、債券への集中投資はリスクが増えるため、債券シフト法はやや使い勝手が悪い手法になります。また、資産運用の出口が長い(長寿の)国では、リスク資産による成長余地が少なくなるため、債券シフト法のメリットが薄れます。

分散投資

分散投資は、「卵は1つのカゴに盛るな」という投資格言のもと、多くの資産に分散して投資する事で、1つの資産の値下がりの悪影響を最低限にとどめようとする手法です。

債券シフト法を実践する場合、国内債券への集中投資は避けられません。古典的投資教本が想定する20世紀の米国人は、それ(米国債への集中投資)で良かったのでしょうが、21世紀の日本人にはあまり勧められるものではありません。日本の債券は決して安全ではなく、集中投資の対象にはなり得ないからです。

広く知られている通り、日本の政府債務の膨張は深刻で、残高は対GDP比で232.4%(2016年)に達しています。財務省の国際比較でも、突出して高い値となっています。ただし日本国債は日本銀行を筆頭に国内でほぼ安定して保有されており、対外債務の多かったギリシャのように簡単には破綻しません。このように破綻確率は低いものの、債務膨張は永遠に続けられずどこかで破綻します。そして対内債務型の財政破綻は深刻なインフレを招く事が知られています。財政破綻もしくはそれに近いようなインフレが起これば、国債価格は急落する事でしょう。

政府債務の膨張が進めばいつかは来る、このような状況下で個人投資家が資産の大部分を毀損しないためには、国内債券以外の資産への分散投資が不可欠です。国内債券の代わりになるべく多種多様な資産を保有する事で、1資産の価格下落の影響を最小限に抑えます。

定額売却 .VS. 定率売却

定額売却

一定額を売却する手法です。積立時には定口購入よりも有利とされるドル・コスト平均法の逆に相当し、不利な売却手法の1つです。とは言え売却額が一定であるため、安定したキャッシュフローが実現します。リスク資産を定額売却する場合、リスク資産の値動きによって資産が枯渇する時期が変動し、遠い将来のキャッシュフローが読めなくというデメリットもあります。

定額売却は決して有利な売却手法ではありませんが、売却の手法は充実しています。例えば毎月分配型投資信託を保有すれば、毎月ある程度一定額のキャッシュの受け取りが実現します。またSBI証券の投資信託定期売却サービスのような、定額売却サービスもあります。

定率売却

定率売却は、毎月一定比率の資産を売却する手法です。

定率売却では、リスク資産が高値圏にある時は多く売り、安値圏にある時の売却額は少な目になります。資産運用の理想「安く買って高く売る」を実現しやすい売却手法で、良い手法だと考えられます。ただし定額売却のようにツールが充実していません。また、リスク資産の値動きによって売却額が安定しないというデメリットがあります。

Q. 株で損する事はありますか?


先日株式投資について聞かれ、回答しました。聞かれた内容と、私の意見を問答集として投稿します。

Q. 株で損する事はありますか?

A. はい。株で損する事があります。

株は預貯金と違い、値段が上下します。そのため、株式投資では損をする可能性があります。

ただし株での損失額を小さくするためにいくつかの方法があります。保有額を少額にする、下がりにくい株を買う、下がりにくい買い方をする、などの方法が有効です。下がりにくい株とは、生活必需品等の需要が安定している分野の株です。下がりにくい買い方とは、多くの種類の株を持つ事で1銘柄の下落の影響を軽減する「分散投資」と呼ばれる手法が有名です。

Q. 最初はどれくらいの金額から始めれば良いですか?

A. 投資の最初は、5万円以内が良いでしょう。

リスク資産の値動きは、体感しなければ良く分からない事があります。最初は少額から始めるのが良いでしょう。退職金の大部分をいきなりリスク資産に投じて大失敗する人もいますが、そうならないように基本は少額から始めます。そして様子を見つつ、運用の知識をつけながら運用規模を増やしていくのが無難です。

株式の銘柄には、数千円から数万円の少額から買える株も多くあります。具体的な銘柄は、単元株価格下位ランキング等を利用できます。

単元株価格下位 Yahoo!ファイナンス

Q. 有名な所の株を買ったら良いですか?

A. 最初は勉強のために知っている銘柄・興味を持てる銘柄を持つのが良いでしょう。

ただし、有名企業の株は多くの人が購入するため割高になり、投資妙味が薄れている事が少なくありません。慣れてきたら知らない企業を研究し、良さそうであれば買うのが良いでしょう。

Q. 株を買うのは馬券を買うのと同じ感覚ですか?

A. いえ、金額や無価値になる確率が異なります。

馬券は100円から買えますが、株は少し高額で、最低でも数千円程度からの投資が必要です。ただしその一方で、競馬では負けると直ちに馬券が紙切れになりますが、株券は(値下がりはしますが)無価値になる事はあまり多くはありません。株式会社はそう頻繁には潰れないからです。

マルチファクターモデルに学ぶ「株価を説明する因子」 どうして株価は動くのか?


株価はどのようなモノから影響を受け、生成されるのでしょうか。株価を説明するマルチファクターモデルにて、利用されている因子を「外的ファクター」「抽出されたファクター」「企業の特性」の3種類に大別し、紹介します。

マルチファクターモデルとは?

マルチファクターモデルは、株式や債券等のリスク・リターンの形成要因を、複数のファクターにより表す統計的モデルです。

マルチファクターモデルとは、モダン・ポートフォリオ理論が全盛期だった一九七〇年代に、米国のバー・ローゼンバーグ氏らが研究の副産物として実用化した統計モデルだが、ポートフォリオのリスクを数十のファクター(銘柄の一般的な属性や業種など)で説明するソフトウェアだ。現在もバーラ(BARRA)モデルが運用業界のデファクト・スタンダードだが、バーラ・モデル以外のポートフォリオ分析ツールもある。但し、何れもプロ用で、データ代を含めて、毎月の使用料が数十万円単位になるのが難点だ。

マルチファクターモデルで何ができるか。たとえば、TOPIXをベンチマークとして運用している日本株のファンドマネジャーのポートフォリオが、TOPIXに対してどのような相対的なリスク(「推定トラッキングエラー」と呼ばれる)を持っているかを計算できる。

出典:第204回 ファンドマネジャーのトレーニング・プログラムを考える(山崎元「ホンネの投資教室」@楽天証券

マルチファクターモデルの株価説明因子

株価の説明に寄与する因子は、大別すると「外的ファクター」「抽出されたファクター」「企業の特性」の3種類があります。

外的ファクター

証券から見て外生的な変数は、株価の説明に利用されます。

具体的には、国内総生産(GDP)や消費者物価指数(CPI)、失業率や鉱工業生産指数、等があります。その他、月齢や太陽の黒点数を利用する事もあります。

外的ファクターは、トップダウンアプローチを重視する投資家が重宝するファクターです。

殊に個別株運用を行う投資家は、企業分析に時間をかけがちです。ですが企業業績は外部変数の動向に左右されます。マルチファクターモデルは、広い視野を持ち、投資環境の良し悪しを吟味する大切さを教えてくれます。

抽出されたファクター

既知の情報から抽出したファクターも、株価の説明に利用されます。

例えば株価指数や業種別株価指数があります。その他、直近高値からの経過日数や、2つの株の収益率の比、等が使われる事があります。

抽出されたファクターは、テクニカル重視の投資家が重宝するファクターです。

株価の値動きは需給で決まります。その株を欲しがる人が増えれば株価は上がり、売りたい人が増えれば株価は下がります。マルチファクターモデルは、指数の値動きから需給を読み取り、投資行動を選択する大切さを教えてくれます。

企業の特性

当然ながら企業特性は、株価変動の一因になります。

PERやPBR、配当利回りや収益予想や、その他企業に特有の値が使われます。

企業の特性は、ファンダメンタルズ重視の投資家が重宝するファクターです。

結局の所、割安な成長株の株価は上がります。マルチファクターモデルは、企業を理解しその未来を予測する事で、投資家は利益を得るという、基本的な事実を教えてくれます。

論理的な投資家になるために

投資家として、利益のために株価を追っかけ回す事は勿論重要です。それに加えて、ただ株価を追うだけではなく、論理的な根拠を持ち、現象の解釈を試みる事もやはり大切です。

定期的に、上記の各種株価変動因子・ファクターを点検してみて、効率的な資産運用を行えるようにポートフォリオの調整をするのも良いでしょう。

関連

マルチファクターモデルに関連する外部記事を紹介しておきます。

ローゼンバーグ型マルチファクターモデル(通称 BARRA モデル)

下記の記事では、図が充実しており、マルチファクターモデルについての理解を深める事ができます。

ローゼンバーグ型マルチファクターモデル(通称 BARRA モデル)は、 機関投資家の間に広く普及しているポートフォリオ最適化モデルです。 エクスポージャ行列からフィッティングを行ってファクターリターンを求めることを過去数十日分繰り返し、 蓄積したファクターリターンの分散と最新のエクスポージャおよびスペシフィックリスクを入力として、 最適化(二次計画法)によってポートフォリオを求めます。

出典:マルチファクターモデル(FIOPT)

ファーマ-フレンチの3ファクターモデル

当記事では、マルチファクターモデルの因子を「外的ファクター」「抽出されたファクター」「企業の特性」の3ファクターに分類しました。この3ファクターは、ファーマ-フレンチの3ファクターモデルの3ファクター「市場ポートフォリオ(時価総額加重平均型株価指数)」「時価総額」「簿価時価比率(PBRの逆数)」とは異なります。