マルチファクターモデルに学ぶ「株価を説明する因子」 どうして株価は動くのか?

株価はどのようなモノから影響を受け、生成されるのでしょうか。株価を説明するマルチファクターモデルにて、利用されている因子を「外的ファクター」「抽出されたファクター」「企業の特性」の3種類に大別し、紹介します。

マルチファクターモデルとは?

マルチファクターモデルは、株式や債券等のリスク・リターンの形成要因を、複数のファクターにより表す統計的モデルです。

マルチファクターモデルとは、モダン・ポートフォリオ理論が全盛期だった一九七〇年代に、米国のバー・ローゼンバーグ氏らが研究の副産物として実用化した統計モデルだが、ポートフォリオのリスクを数十のファクター(銘柄の一般的な属性や業種など)で説明するソフトウェアだ。現在もバーラ(BARRA)モデルが運用業界のデファクト・スタンダードだが、バーラ・モデル以外のポートフォリオ分析ツールもある。但し、何れもプロ用で、データ代を含めて、毎月の使用料が数十万円単位になるのが難点だ。

マルチファクターモデルで何ができるか。たとえば、TOPIXをベンチマークとして運用している日本株のファンドマネジャーのポートフォリオが、TOPIXに対してどのような相対的なリスク(「推定トラッキングエラー」と呼ばれる)を持っているかを計算できる。

出典:第204回 ファンドマネジャーのトレーニング・プログラムを考える(山崎元「ホンネの投資教室」@楽天証券

マルチファクターモデルの株価説明因子

株価の説明に寄与する因子は、大別すると「外的ファクター」「抽出されたファクター」「企業の特性」の3種類があります。

外的ファクター

証券から見て外生的な変数は、株価の説明に利用されます。

具体的には、国内総生産(GDP)や消費者物価指数(CPI)、失業率や鉱工業生産指数、等があります。その他、月齢や太陽の黒点数を利用する事もあります。

外的ファクターは、トップダウンアプローチを重視する投資家が重宝するファクターです。

特に個別株運用を行う投資家は、企業分析に時間をかけがちです。ですが企業業績は外部変数の動向に左右されます。マルチファクターモデルは、広い視野を持ち、投資環境の良し悪しを吟味する大切さを教えてくれます。

抽出されたファクター

既知の情報から抽出したファクターも、株価の説明に利用されます。

例えば株価指数や業種別株価指数があります。その他、直近高値からの経過日数や、2つの株の収益率の比、等が使われる事があります。

抽出されたファクターは、テクニカル重視の投資家が重宝するファクターです。

株価の値動きは需給で決まります。その株を欲しがる人が増えれば株価は上がり、売りたい人が増えれば株価は下がります。マルチファクターモデルは、指数の値動きから需給を読み取り、投資行動を選択する大切さを教えてくれます。

企業の特性

当然ながら企業特性は、株価変動の一因になります。

PERやPBR、配当利回りや収益予想や、その他企業に特有の値が使われます。

企業の特性は、ファンダメンタルズ重視の投資家が重宝するファクターです。

結局の所、割安な成長株の株価は上がります。マルチファクターモデルは、企業を理解しその未来を予測する事で、投資家は利益を得るという、基本的な事実を教えてくれます。

論理的な投資家になるために

投資家として、利益のために株価を追っかけ回す事は勿論重要です。それに加えて、ただ株価を追うだけではなく、論理的な根拠を持ち、現象の解釈を試みる事もやはり大切です。

定期的に、上記の各種株価変動因子・ファクターを点検してみて、効率的な資産運用を行えるようにポートフォリオの調整をするのも良いでしょう。

関連

マルチファクターモデルに関連する外部記事を紹介しておきます。

ローゼンバーグ型マルチファクターモデル(通称 BARRA モデル)

下記の記事では、図が充実しており、マルチファクターモデルについての理解を深める事ができます。

ローゼンバーグ型マルチファクターモデル(通称 BARRA モデル)は、 機関投資家の間に広く普及しているポートフォリオ最適化モデルです。 エクスポージャ行列からフィッティングを行ってファクターリターンを求めることを過去数十日分繰り返し、 蓄積したファクターリターンの分散と最新のエクスポージャおよびスペシフィックリスクを入力として、 最適化(二次計画法)によってポートフォリオを求めます。

出典:マルチファクターモデル(FIOPT)

ファーマ-フレンチの3ファクターモデル

当記事では、マルチファクターモデルの因子を「外的ファクター」「抽出されたファクター」「企業の特性」の3ファクターに分類しました。この3ファクターは、ファーマ-フレンチの3ファクターモデルの3ファクター「市場ポートフォリオ(時価総額加重平均型株価指数)」「時価総額」「簿価時価比率(PBRの逆数)」とは異なります。

リスク資産への長期投資で必ず負ける場合とは?

プラスリターンの金融商品を長期運用すれば、長い目で見たら儲かりそうだと考えてしまう投資家は多くいます。ところが現実では、必ずしも儲かりません。特にリスクを取り過ぎた資産運用を長期間継続すれば、儲かるどころか必ず負ける事になってしまいます。

シミュレーション

ハイリスク・ハイリターンな金融商品

例えば四半期の平均リターン3%・リスク30%の金融商品を考えます。

この金融商品の年間でのリターン期待値は12%になります。ハイリスク・ハイリターンな金融商品に分類されます。過去記事リスクの取り過ぎは投資成果にどのように影響するか? レバレッジ運用はほどほどに?では、赤線で表現した金融商品に相当します。

金融商品の経時変化

下図は、その金融商品でのリターンの確率分布が、時間とともにどのように変化するかを示した乱数シミュレーションです。

動画中のave.は平均リターン、maxは最も運が良い投資家のリターンです。loserは、このリスク・リターンで運用する投資家が確率的に、10,000人中の何人が元本割れとなるかを示す数値です。

平均リターンは上がり、敗者は増える

この金融商品は、期中リターンがプラス(平均リターン3%)ですので、平均するとリターンは増えていきます。運が良いと大きく資産を増やす事ができ、最後には72倍とした投資家が現れます。

一方で敗者の数も時間とともに増加する傾向にあります。実はこの金融商品は、平均するとプラスリターンにもかかわらず、リスクが大きいために、長期投資をすれば必ず負ける(元本割れする)と言えます。(ε-δ論法で時間を長くとれば勝率をどこまでも小さくできます。)

なお、この金融商品の期待成長率を、ツールリスク資産の最適保有比率計算v2.0.xlsmを用いて数値計算したところ-1.8%とマイナス値が出てきました。

リスク過多の結果と対策

リスク過多の長期投資は必ず負ける

リスク過多の状態で長期投資を行うと、必ず負けます。

確かに良い投資(適切な運用)を行えば時間を味方にできるのですが、逆に悪い投資(不適切な運用)を行う際は時間は投資家の敵となるわけです。世間では「長期投資は良い事だ」という風潮がありますが、長期投資の良し悪しは運用手法抜きには語れません。

時間を味方にできるように、リスクを抑え、着実に成長できような手堅い資産運用を心がけたいものです。

リスクを減らす無リスク資産

リスクを減らした運用を行うためには、ポートフォリオに無リスク資産を組み入れる事が有効です。

無リスク資産の組み入れにより、ポートフォリオは安定化します。仮に恐慌が訪れてリスク資産が大きく減ったとしても、投資家は無リスク資産を投資元本として再起・復活が可能になります。

シミュレーションのソースコード

乱数は前回同様でROOTのgRandom->Gaus関数を利用し、PAWでプロットしました。

リスクの取り過ぎは投資成果にどのように影響するか? レバレッジ運用はほどほどに?

極端なレバレッジ運用等に起因するリスクの取り過ぎは、投資の勝率を引き下げる事で、投資成果に悪影響します。その様子を乱数シミュレーションで示しました。紹介します。

レバレッジ運用

少ない資本金で大きな取引をする事をレバレッジ運用と呼びます。

例えば四半期でリターン1%・リスク10%の金融商品があったとします。この金融商品を使った運用では理論上、2倍のレバレッジをかけると、リターン2%・リスク20%となり、3倍のレバレッジではリターン3%・リスク30%が実現します。

このようにレバレッジはリターンの期待値を引き上げます。一見すると素晴らしい仕組みです。ところがこの金融商品の場合、レバレッジによりリスクが過大となるため勝率が下がり、投資成果が期待できなくなってきます。

シミュレーション

下図は乱数シミュレーションです。リスク資産のリターン分布がどのように経時変化するかをプロットしました。

青:リターン1%(年利4%) リスク10%
緑:リターン2%(年利8%) リスク20%
赤:リターン3%(年利12%) リスク30%

横軸はリターン(倍)です。tは経った時間を示します。

レバレッジをかけると平均リターンは確かに上がる

プラスリターンの金融商品をレバレッジ運用すると、確かに平均リターンは大きくなります。シミュレーションでも平均値(Mean)は上がっています。

時間が経った箇所ではヒストグラムに収まらなくなってしまい正しい平均値が出ていませんが、実際には高いレバレッジは高い平均リターンを生み出します。この現象は、ハイリスク投資では大勝ちした少数の投資家が、全投資家のリターンの平均値を上方に牽引するために起こります。

レバレッジをかけると負けやすくなる

レバレッジをかけると、負けやすくなります。シミュレーションでも、ハイレバレッジの赤線が最も負け、緑、青はこの順に極端な敗者が少なくなっています。

ハイリスク投資では負けている投資家は負け続け、死屍累々となります。あっという間に負けます。そして一度負けた投資家が平均値へ復活する確率は極めて小さく、負ける投資家は増え続けます。

ハイリスク投資で大勝ちした少数の投資家の背後には、多数の負組投資家がいるのです。シミュレーションにおいて、年利12%に惹かれた赤組投資家の多くが、元本を半分以下に減らす様子は目に焼き付けておいて損はありません。

無難な運用をしたいのであれば、レバレッジをかけない方が良いでしょう。

まとめ

レバレッジ運用ではリターンの期待値は上がります。ところがそれは、一部の大勝投資家が期待値を引き上げただけであり、多くの投資家は負けて元本を失います。このようにリスクの取り過ぎは、投資の勝率を引き下げる事で、投資成果に悪影響します。無難な運用をしたいのであれば、レバレッジをかけない方が良いでしょう。

シミュレーションのソースコード

私個人の覚書を兼ね、コードを掲載しておきます。ROOTのgRandom->Gaus関数で乱数を生成し、coutで各人の資産推移を取得(ファイル名aaa.txtは1倍 bbb.txtが2倍 ccc.txtが3倍レバレッジ)、PAWマクロでプロットしました。

ドル・コスト平均法 定額購入・積立投資で知っておくべきポイントは?

ドル・コスト平均法(英: dollar cost averaging)は、株式や投資信託などの金融商品の購入手法の一つで、等金額での買い付け(すなわち定額購入)を繰り返す事を指します。

リスク資産を一定額ずつ買い付ける場合、高値にある時は少ない株数(口数)を買い、安値にある時は多くの株数(口数)を買う事になります。

安値で多くの株数(口数)を買い集める手法であり、この定額購入(ドル・コスト平均法)は定量購入(等株数投資や等口数投資)と比較して、平均取得価格を低く抑える効果があります。

この記事ではドル・コスト平均法について、投資家が知っておくべきポイントをまとめます。

ドル・コスト平均法

ドル・コスト平均法は、等金額での買い付け(定額購入)を意味します。

ドル・コスト平均法を採用する大多数の投資家は、毎月一定額の金融商品を積み立てます。毎日買い付ける投資家や、年1度だけ買い付ける投資家は少数派だと言えます。

定額購入では、支払い額(コスト)が一定になるため、コスト平均法と名付けれられています。「ドル」は通貨であるドルを指しますが、一定の金額を「円貨」で買い付け支払ったとしても「円・コスト平均法」ではなく「ドル・コスト平均法」と呼ぶのが慣例です。

平均取得価格が低く抑えられる例

ドル・コスト平均法では、等口数投資と比べて平均取得価格を低く抑えられます。

例えば下図は、投信自動積立(三井住友銀行)でのシミュレーションで、ドルコスト平均法で平均取得価格が抑えられる例です。

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基準価額が10,000円→6,000円→17,000円→7,000円と推移した時、ドル・コスト平均法で3万円ずつ投資すれば、平均取得価額は8,541円ですが、一方で3万口ずつの投資では、平均取得価額は10,000円です。

この例では、ドル・コスト平均法による買い付けの方が平均取得価額が1,459円も安い水準になりました。

ドル・コスト平均法を数式で扱う

数式は、ドル・コスト平均法についての理解を深めます。この項目は、説明のために数式を利用していますが、数式を読み飛ばして日本語だけ読んだとしても十分に分かる構成にしています。

各種パラメータを見る

数式で、ドル・コスト平均法の支払額や含み損益を始めとするパラメータを確認します。

各種パラメータ

ドル・コスト平均法を利用し、時間 t (t=1,2,3, ... ,n) で、基準価額が a(t) (円/口)の証券を c 円ずつ購入する事を考えます。

この時、各種パラメータは下記の通りとなります。

項目 備考
支払い金額 nc 積み立て回数nに比例して増加
取得した口数 \Sigma \dfrac{c}{a(t)} 安値圏(a(t)が小さい局面)に、口数は大きく増加
時価 \Sigma \dfrac{c}{a(t)}a(n) 現在の基準価額(a(n))に比例する
含み損益 \Sigma \dfrac{a(n)-a(t)}{a(t)}c 後述(ドル・コスト平均法で利益を増やすためには?)

ドル・コスト平均法で利益を増やすためには?

数式は、ドル・コスト平均法で利益を増やす手法を語っています。利益を増やす方法は3種類です。

1つ目は積立額を増やす事(cを増やす事)です。プラスリターンの資産を積み立てている前提では、含み損益は積み立て額に比例します。

2つ目は回数を増やす事(nを増やす事)です。長期間での積み立ては、利益額を増やします。

3つ目は有利な金融商品を買う事(\frac{a(n)}{a(t)} を大きくする事)です。高リターンの金融商品は、ドル・コスト平均法による投資成果を向上させます。積み立てている金融商品が有利かどうかは、よく点検すべきです。

積み立てた資産のリスク

ドル・コスト平均法で積み立てていると、投資金額が投資期間に比例して大きくなります。

投資金額が徐々に大きくなれば、資産額の値動きの大きさ(リスク)も大きくなります。そしていつの間にか投資家のリスク許容度を超える可能性があります。

そうならないように、ドル・コスト平均法で積み立てをしていたとしても、毎月の支払い金額のみに注目せず、資産全体の時価にも注目する事が大切です。

ドル・コスト平均法と定量購入との比較

ドル・コスト平均法と定量買い付けを比較すれば、平均取得価額の点では、ドル・コスト平均法が有利です。

各手法の平均取得価額

ドル・コスト平均法と定量購入の平均取得価格を算出します。積み立て資産の、時間 t における基準価額を a(t) として計算します。

項目 ドル・コスト平均法(定額購入) 定量購入(等株数投資や等口数投資)
買い方 月々 c 円ずつ n 回だけ積み立てる 月々 m 口ずつ n 回だけ積み立てる
支払い額 cn \Sigma a(t)m
取得口数 \Sigma \dfrac{c}{a(t)} mn
平均取得価額
(支払額÷取得口数)
\dfrac{cn}{\Sigma \dfrac{c}{a(t)}}=\dfrac{n}{\Sigma \dfrac{1}{a(t)}} …① \Sigma \dfrac{a(t)m}{mn}=\Sigma \dfrac{a(t)}{n} …②

ドル・コスト平均法と定量積み立てとの平均取得価額の比較

平均取得価額の観点において、ドル・コスト平均法が定量買い付けよりも有利である事を示します。

比較では、相加平均≧相乗平均 を使い、①≦②を示します。


 = \dfrac{1}{\dfrac{1}{n} \Sigma \dfrac{1}{a(t)}} \le \dfrac{1}{(\Pi \dfrac{1}{a(t)})^{\frac{1}{n}}} ←相加平均≧相乗平均 を分母で利用
= (\Pi a(t))^{\frac{1}{n}} \le \Sigma \dfrac{a(t)}{n} ←相加平均≧相乗平均
=

①≦②が言えました。

ドル・コスト平均法の平均取得価額は、定量買い付けの平均取得価額よりも「低い」もしくは「同じ」になります。そして平均取得価額が低いと、勝率が上がります。ドル・コスト平均法は定量積み立てよりも、勝ちやすい(勝率が高い)無難な投資手法だと言えます。

ドル・コスト平均法は、一方的な相場では不利

上記のドル・コスト平均法と定量買い付けとの比較で注意すべきは、平均取得価額にしか注目していない点です。現実の運用において投資成果・利益は、投資金額だけではなく、最終的な受け取り金額で決まります。そのため、平均取得価額のみへの注目は片手落ちです。

事実として例えば右肩上がり相場では、ドル・コスト平均法よりも等口数投資の方が有利な投資成果を獲得できます。なぜならドル・コスト平均法で買い付け金額を一定にするよりも、口数を一定にして投資金額を増やして行った方が、支払額こそ増えますがそれ以上に値上がり益を大きく享受できるために、有利になるわけです。

右肩下がりの相場でも、ドル・コスト平均法は傷口を広げやすい不利な手法へと変化します。

このように、一方的な相場ではドル・コスト平均法は不利になります。

ドル・コスト平均法のシミュレーション

ドル・コスト平均法の特性を考えるため、日経平均株価を毎月1万円ずつ買い付けた場合のシミュレーションを作成しました。1970年1月から2016年10月にかけての期間のバックテストです。

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横軸は積み立て開始時期です。

青線が各月の買い付け価格(=日経平均株価の月の始値/スケールは左軸)、赤線が積み立て開始時期別の平均取得価額(スケールは左軸)です。緑線が積み立て開始時期別の損益(スケールは右軸)です。

平均取得価額の動向

平均取得価額は、まるで現在の価格に引っ張られているかのように上下しています。ドル・コスト平均法を利用した際、積み立て資産の価格が安くなれば平均取得価額も下がり、高くなれば平均取得価額も上がります。時価で新規購入した分が、今までの積み立て分に加えられるために、平均取得価格は時価に近づく方向に動くのです。

また、動画からは投資時間が長くなるにつれて、平均取得価額が動きにくくなっていく様子も分かります。積み立て時間が長くなるにつれて、新規購入額が今までの積み立て資産の総額に比べて小さな比率となるために、平均取得価格は動きにくくなってきます。

損益の動向

積み立ての時間が長くなれば損益が大きく動く

現在の時価に対する損益の感応度は、積み立て時間が長くなればなるほど高くなります。つまり、積み立て投資を続けた場合、ハイリスクの状態になります。上記動画でも、積み立て開始時期が早ければ早いほど損益が大きく動くようになる様子を確認できます。

バブル序盤の積み立て開始が最も高値掴みになる

また、バブル相場のピークで積み立てを開始した人よりも、バブル相場の頭(序盤)で積み立てを開始した人の方が、高値掴みの額が大きくなり、損失が拡大しやすい傾向が分かります。バブル崩壊時に積み立てを開始すれば、比較的すぐに平均取得価格が下がりますが、バブル形成時での積み立て開始は、長らく高値で積み立てる事になり、バブル崩壊の影響を大きく受ける事になります。

積み立て投資では、バブルの崩壊時よりもバブル形成時の方が裏目に出るわけです。逆にこの事は、投資を開始するベストなタイミングを教えてくれます。資産運用を開始するにあたり、最も有利な時期は「不況の始まり」です。

ドル・コスト平均法に関連する投資手法

定量売却

定量売却は、一定の株数・口数ずつ売却する方法です。

定量売却を行えば、高値では多くの金額を受け取り、安値では少額を受け取る事になります。そのため、定額売却よりも平均売却金額の点で有利です。

ドル・コスト平均法が買いのテクニックであれば、定量売却は売りのテクニックです。

購入時は、定額購入(ドル・コスト平均法)は定量購入よりも平均取得価額が低いですが、その逆に売却時では、定量売却は定額売却よりも平均売却価格が高くなりやすいです。

ただし、定量売却で必ず平均売却価格が高くなるとは限りません。売却期間が異なる場合があり、値動きによっては定額売却の方が良いパターンも出てきます。

金買口売法

ドル・コスト平均法と定量売却を同時に行う方法です。

例えば3万円買って2万口を売却するという設定をするならば、3万円と2万口の差分を買い付ける事になります。

この手法では、ドル・コスト平均法の平均取得価額を低く抑える効果と、定量売却の高値で売れる効果の両方を享受できます。

逆張り性向が強くなりますので、勝率が上がります。その一方で、右肩上がり相場では積立額が一方的に減って行くために、機会損失に繋がります。

変則型ドル・コスト平均法

定額投資をベースにしつつ、場合によって積み立て額を変化させる方法です。

特に含み損時に追加で購入を行う事を指します。含み損時に追加購入すれば、平均取得価額が下がりやすくなるため、通常のドル・コスト平均法と比べて勝率が上がります。

ドル・バリュー平均法

ドル・バリュー平均法は、リスク資産が値上がりした際は少なめに買うか売却をし、値下がりした際は多く買う買い付け手法です。リスク資産額を一定の水準に保ちます。(この水準はバリューパスと呼ばれます。)

ドル・コスト平均法と比べ、逆張り性向が強くなりますので、勝率が上がります。

まとめ

ドル・コスト平均法は、株式や投資信託などの金融商品の購入手法の一つで、等金額での買い付け(すなわち定額購入)を繰り返す事を指します。安値で多くの株数(口数)を買い集める手法であり、この定額購入(ドル・コスト平均法)は定量購入(等株数投資や等口数投資)と比較して、平均取得価格を低く抑える効果があります。

ドル・コスト平均法は勝率が高い方法ではありますが、一方的な相場では不利になりやすい投資手法です。例えば右肩上がり相場では機会損失に繋がり、十分なリターンを享受できない事があります。右肩下がりの相場でも、傷口を広げやすくなります。

ドル・コスト平均法によるリターンを増やすには、「積み立て額を増やす」「積み立て回数を増やす」「有利な金融商品を買う」の3種類の方法があります。ただ、積み立てを続けた場合は資産の値動きが大きくなりますので、注意が必要です。

Wash saleとは、どのような節税売買か?

Wash saleは含み損を抱えた銘柄を売却し、直後に買い戻す売買です。損失(キャピタルロス)が確定しますので、他の売買利益(キャピタルゲイン等)と相殺させて節税する事を目論む事が出来ます。事実上のポジション変更もありません。

ただし国によってはこの節税取引が認められていません。例えば米国ではwash sale規定が設定されており、節税売りの後30日以内に同じ銘柄を買い戻した場合に、この損失をキャピタルゲインから控除することができなくなってしまいます。

節税に対する納税者の弛まない努力(?) 専門家のためのアメリカ・タックス(米国税務)

金融取引に係る租税回避への防止策に関する調査米国におけるデリバティブ取引と現物取引の損益通算の防止規定 P6