所得効果

所得効果は、所得の変化に起因する財・サービスの消費量の変化です。

例えば所得が増加し、消費全体に回せる資金量が増えた時、消費が増える物があります。この変化が所得効果です。他にも、財・サービスの値段が上がった場合に、実質的に所得が減ったのと同じで、消費が減る事があります。この変化も所得効果と呼ばれています。

所得効果

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一般的に、所得が上がれば消費が増えます。

所得の変化に起因する財・サービスの消費量の変化を所得効果と呼びます。

お金を使う事は満足に繋がりますが、所得の水準がお金の適切な使い方を調整し、消費を制限しています。ところが所得が増えればお金の使い方が変化し、消費が増える事になります。所得の増加は財・サービスの需要を刺激すると言い換える事ができます。

正常財・上級財

通常の消費財(消費を目的とする、普通の財・サービス)の所得効果はプラスです。これらは正常財上級財と呼ばれます。

劣等財・下級財

所得が増えれば、逆に消費されなくなる財もあります。所得が増えればハーゲンダッツを選び、ガリガリ君を食べなくなる人もいるでしょう。所得が増えれば消費が減る財を劣等財下級財と呼びます。

所得効果(間接的な所得変化によるもの)

財・サービスの値段の変化が、消費を変化させる事があり、これらも所得効果と呼ばれています。

例えば、いつもお昼に800円の定食を食べているサラリーマンがいるとします。定食が値下がりし600円になった時、浮いた200円でデザートを注文するようになるかも知れません。

このように、たとえ所得が変化しなくても、財・サービスの値段の変化が実質的な所得変化となり、消費が刺激される(例の場合はデザートが買われた事を指します)事があります。この変化も所得効果と呼ばれています。

参考・関連

可処分所得(手取り)と給与所得の違い

この記事では所得効果の説明に「所得」という単語を用いました。この所得は「可処分所得」すなわち「手取り」の意味で使っています。一方で「給与所得」という異なる意味を持つ単語もあります。

簡単に言えば、給与所得は「所得税を計算するための金額」で、手取りは「税金などが差し引かれて最終的に手元に残った金額」です。下記のリンクの記事で、違いの詳細が掲載されています。

バブルと所得効果

バブル経済では、消費が増え経済活動が活発になります。逆にバブル崩壊では、消費が減り経済活動が停滞します。これらの現象の要因として、所得効果があります。

バブル経済の形成と崩壊

バブル経済の形成と崩壊についてまとめます。

バブル経済は低金利で溢れたお金が資産に向かう事で形成されます。資産価値の高騰は供給を増やし需要を減らします。高騰した資産に買い手がつかなくなった時、バブルは崩壊します。バブル崩壊後の資産価値の下落は経済を悪化させます。

バブルの形成

多くのバブルは、低金利により溢れたお金が資産に向かう事で形成されます。いくつかの例を挙げます。

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平成バブル

例えば日本の平成バブルは、プラザ合意(1985年)後の円高不況の対応のための低金利政策が発端となりました。

低金利により企業はお金を活用しやすくなり、経済活動が活発になりました。企業は本業以外にも財テク(財務テクノロジー)により資産を増やそうとしました。余剰資金は値上がり益(キャピタル・ゲイン)が期待できる土地や株に向かい、地価・株価は高騰しました。

米国住宅バブル

リーマン・ショック2008年)を引き起こした米国住宅バブル(2005年〜2006年)は、インターネットバブル(2000年)の後の米国の低金利政策を発端としています。低金利政策により溢れたお金に加え、当時急成長ていたアジア諸国や産油国から巨額の外資が米国に流入し、住宅価格を高騰させました。

バブルのピーク

バブルのピークでは、急激な価格の高騰が起こります。

例えば住宅バブルでは不動産価格が上がっていった後、本当に住宅が欲しい人が急いで買うため不動産価格の高騰に拍車がかかりました。

実需は、価格が理論値(ファンダメンタルズ)と乖離していても買い付けを行うものです。この価格の高騰は、供給を増やし、需要を減らし続けます。実需がある間、価格は上がり続け、実需が無くなれば価格は急落を始めます。

理論値から大きく乖離するに到る価格の急騰と、その後の急落は、バブルの特徴です。

バブル崩壊

バブルのピークが過ぎれば、急激な資産価値の下落が起こります。資産価値の下落は、さまざまな側面から経済を悪化させます。

債務超過による消費の抑制

資産価値が急落すれば、債務超過に陥る企業や家計が急増します。お金が無ければ、積極的な消費は抑制され、経済は悪化します。

所得が上がれば消費が増え、所得が下がれば消費が減る効果を所得効果と言います。バブル崩壊後は、所得効果により消費が減り、経済活動の悪化が進行します。

供給過多によるデフレ圧力

価格高騰時に供給が増えているため、バブルが崩壊すれば、需要と供給の不均衡により価格の下落に歯止めがかかりにくくなります。

供給は簡単には減りません。住宅バブルであれば、着工した不動産は(普通)完成しますし、原油バブルであれば完成した採掘施設が石油を掘り出し続けます。そしてこの供給過多は強いデフレ圧力となり、経済活動の悪化に繋がります。

金融機関の機能不全

不良債権の増大は、金融機関の投資・貸し出しを慎重にします。金融機関がお金を貸す機能を失えば、市場へお金が回らなくなり経済を悪化させます。

金融機関が、経営に問題がない企業に対しても貸し出しに慎重になり、新たな融資を断ることを「貸し渋り」と言います。既存の融資を引き揚げたりすることを「貸し剥がし」と言います。バブル崩壊後は、このような金融機関の機能不全が深刻化します。

参考・関連

日本の平成バブル

日本の平成バブルについての詳細は、下記の記事が詳しいです。平成バブルの形成から崩壊までの過程が、政策・当時の経済状況とともに、非常に詳しく記述されています。

バブルの歴史

下記の「バブルの歴史」には、バブルについての資料が凝縮されています。一つ一つの記事は短いので読みやすい構成です。日本のバブルのみならず、海外のバブルや、バブルの歴史についてのコンテンツが含まれます。

バブルの歴史(株式会社MRI三菱総合研究所)