仮想通貨取引業者の Coincheck で通貨盗難・売買停止トラブル


仮想通貨取引業者の Coincheck で仮想通貨である NEM が盗難され、顧客資産が毀損し引き出せなくなる売買停止トラブルが発生しました。

トラブル内容(Coincheckのサイト)



記者会見

記者会見が行われ、ニコニコ生放送のサイトで閲覧できていましたが、2018/01/26(金) 25:04に終了しました。来場者数は132,477人となりました。

記者会見でのここまでの論点を以下に抜粋します。

被害規模

不正アクセスにより580億円相当の仮想通貨が盗難されました。

マルチシグ

Coincheck では盗難された NEM のマルチシグ対応がされていませんでした。この点から Coincheck のセキュリティーの甘さが指摘される局面がありました。マルチシグとは下記の仕組みです。

マルチシグ(マルチシグ対応のアドレス)とは簡単に言えば、ビットコインの秘密鍵が一つではなく、複数に分割されており、ビットコインへのアクセスは一定数以上の鍵を合わせる必要があることです。

通常(マルチシグでないもの)、秘密鍵は一つの端末やパスワードに依存しています。つまりパソコンやスマホがウィルスにかかったり、パスワードをハックされたりすると自分のビットコインを失うリスクがあることになります。攻撃の対象が一つ(Single point of failure)ということです。

マルチシグアドレスの場合、鍵が複数あり、それを分散して管理することで仮に一つの端末がハックされたり、パスワードが一つ流出したりしても、ビットコインの盗難を防ぐことができます。ハッカーは複数の端末やサーバーなどを同時に攻撃する必要があり、鍵が複数必要なことでセキュリティーが何倍、何十倍も上がると考えられています。

出典:Multisig(マルチシグ)って何? (ビットコインダンジョン)

保証

保証は現在検討中で、顧客資産が保証されるかどうかは定かではありません。倒産して終わり(顧客の資産は返却されず)の可能性もあるように見えます。一方で大手企業へ身売りする事で企業としての資金ショートを防ぐ道も検討されているものの、具体的に各社への打診が行われるには到っていません。

金融庁の登録

Coincheck は金融庁の「仮想通貨交換業者」としては登録されていませんでした。

米格付機関 Weiss による仮想通貨格付け(2018年1月24日)


2018年1月24日、米格付機関 Weiss が仮想通貨の格付け(rating)を発表しました。

この格付けは、格付機関によって初めて仮想通貨に格付けが行われたという点で注目されています。また、ビットコインの格付けが C+ と低く出ており、やや物議を醸している様子です。この Weiss による格付けについて、抜粋・和訳して投稿します。以下、引用部分の英文は出典からコピーしましたが、和訳部分は当ブログ著者が作成しました。

Weiss の格付けについて

Weiss の格付けの意味や、算出の視点についての情報をまとめます。

格付け

格付けにおける A から E までの意味は下記のように説明されています。概ね A, B は「買い」、C は「保有」、D, E であれば「売り」に対応しています。

A = excellent
B = good
C = fair
D = weak
E = very weak

視点

格付けは暗号通貨の、1.リスク、2.リターン、3.技術、4.ファンダメンタルズの4つの視点で評価を行っています。

1. The Cryptocurrency Risk Index.
2. The Cryptocurrency Reward Index.
3. The Cryptocurrency Technology Index.
4. The Cryptocurrency Fundamental Index.

2.のリターンは、上昇・急騰している通貨の格付けが良くなる事を示唆しています。4.のファンダメンタルズとは、処理スピードやスケーラビリティ(利用者の増大に適応できる能力・度合い)等を指します。

各仮想通貨の格付け

格付けとその理由

ビットコイン、イーサリアム、ノヴァコイン、サラス、スチームの5種類の仮想通貨の格付けが公開されていました。特に仮想通貨の初心者にとっては、仮想通貨の種類と特徴を知るのに良いですね。

Bitcoin (rated C+) gets excellent scores for security and widespread adoption. But it is encountering major network bottlenecks, causing delays and high transactions costs. Despite intense ongoing efforts that are achieving some initial success, Bitcoin has no immediate mechanism for promptly upgrading its software code.

ビットコイン:C+ ビットコインはセキュリティと普及に関して優れたスコアです。しかし、大きなネットワークボトルネックが発生し、遅延や高い取引コストが発生します。ビットコインは成功の皮切りを達成するための継続的な努力にもかかわらず、迅速にソフトウェアコードをアップグレードするメカニズムはありません。

Ethereum (B), the second most widely adopted cryptocurrency, benefits from more readily upgradable technology and better speed, despite some bottlenecks.

イーサリアム:B イーサリアムは2番目に広く採用されている暗号通貨です。いくつかのボトルネックがありますが、より容易にアップグレードできる技術と良いスピードの恩恵があります。

Novacoin (D) and SaluS (D) are weak in terms of both technological innovation and adoption.

ノヴァコイン:D サラス:D 技術革新と採択の両面で弱いです。

Steem (B-) enjoys a relatively good balance of moderate strength in nearly all the key factors considered along with a social network feature.

スチーム:B- ソーシャルネットワークの特徴とともに考慮されているほぼすべての重要な要素において、バランスが比較的良いです。

主要な通貨と格付け

本来、上記の他の仮想通貨の格付けと理由を閲覧するには、格付機関 Weiss のサイトで申し込みが必要です。ただし時価総額の大きい仮想通貨の格付けの結果だけでしたら、他サイトで公開されています。

Bitcoin(BTC):C+
Ethereum(ETH):B
Ripple(XRP):C
BitcoinCash(BCH):C-
Cardano(ADA):B-
Stellar(XLM):C+
Litecoin(LTC):C+
EOS(EOS):B
NEO(NEO):B-
NEM(XEM):C+

出典:米格付機関Weiss「ビットコイン C+、イーサリアム B、リップル C」と仮想通貨に初評価(Coin Choice)

英文の出典

この記事の引用枠内の英文の内、特に出典が明示されていない部分は、下記の2記事から取得しました。

The Weiss Cryptocurrency Ratings Explained (Weiss Cryptocurrency Ratings)
Korean Cyberattack Fails to Foil Crypto-Ratings Release (Weiss Cryptocurrency Ratings)

仮想通貨バブルの形成・崩壊とリーマン・ショック級の金融危機の再来


ビットコインを筆頭とした仮想通貨に投資マネーが流れ込んでいますが、この仮想通貨バブルの形成と崩壊はリーマン・ショック級の金融危機を招きかねないと考えられます。

リーマン・ショックと金融危機

仮想通貨バブルとの比較のために、まずはリーマン・ショック時の金融危機の様子をまとめます。

リーマン・ショックでは、ITバブルの崩壊後の低金利を背景とし米国の住宅バブルが形成されるとともに、投資マネーが怪しげなサブプライム・ローン証券に流入しました。その後、政策金利の上昇と共に住宅バブルは崩壊し、サブプライム・ローン証券は不良債権となりました。このようにして多くの有価証券が価値を失った結果、リーマン・ブラザーズの破綻を含む金融危機を招きました。当時の住宅ローンの規模は10兆6千億ドル程度でした。

米国の世帯が負った 4人家族向けまでの住宅購入用ローンの総額は、2006年末には 9兆9千億ドルであり、2008年半ばでは 10兆6千億ドルだった

サブプライム住宅ローン危機 Wikipedia

仮想通貨バブル

現在リーマン・ショック後の低金利を背景として、怪しげな仮想通貨に投資マネーが流入しています。下記のcoinmarketcapによると、仮想通貨の時価総額は2018年1月6日現在で7,932億ドルに達しています。とは言え、2008年の住宅ローンの規模と比べれば、仮想通貨の規模はまだ10分の1未満です。

ただし仮想通貨の時価総額は驚異的な急騰を見せる事があります。例えばビットコインは2016年1月1日に50,950円で始まり、2017年1月1日に114,760円、2018年1月1日に1,575,400円で始まっており、2年で30倍となりました。※1 帰納的に今後時価総額が30倍に膨らんでも不自然ではありません。

※1 Zaif のチャートより取得

もしも仮想通貨の時価総額が、現在の30倍の規模にまで増加した後にバブルが崩壊すれば、影響額は2008年のサブプライム・ローンの時を上回ります。その時はリーマン・ショック級の金融危機が引き起こされる可能性があります。

リーマン・ショックの際は、サブプライム・ローン証券を持っていない投資家も株安で大きく資産を減らしました。同様に、仮想通貨バブルが崩壊した場合は、仮想通貨へ投資していない投資家も、株安によって大きく資産を減らす事になるでしょう。