ファンダメンタルズ指標 主要な指標とその説明(英語表記つき)

主要なファンダメンタルズ指標をまとめます。海外株式への投資を想定し、英語表記・日本語(和訳)表記を併記します。

ファンダメンタルズ指標

ファンダメンタルズ指標は、売上・利益・資産やキャッシュフローといった、企業の業績を中心とする基礎的な指標を指します。そして、これら基礎的条件を分析して投資することを、ファンダメンタルズ投資といいます。

なおファンダメンタルズ分析の対義語はテクニカル分析です。テクニカル分析では、価格や出来高等の値動きを参考に投資を行います。

決算短信

損益計算書(Profit&Loss Statement, P/L)

英語での表現 日本語での表現・通称 備考
Operating Revenues, Revenue 売上, 歳入, 収益, 営業収益, 営業収入, 経常収益 「売上」の呼び名は業種により異なる。
Operating expenses 営業費用, 経費
Operating income 営業利益 売上-営業費用
Research and development,R&D 研究開発(費) 直訳すれば研究開発で、企業の研究開発業務および部門を意味する。
Sundry Income 雑収入 本業と関係が薄く、少額かつ重要性が低い収入。キャンセル料・ご祝儀・保管料等。
Net Income 当期純利益 営業利益-(税金等の)費用
Profit Margin 利益幅, 利幅 利益÷売上 企業の収益力やコスト構造、効率性を比較するための尺度。

売上や利益の程度やその伸びは、適正な株価の推計の参考数値として利用されています。

貸借対照表(Balance Sheet, B/S)

英語での表現 日本語での表現・通称 備考
Total assets 総資産, 資産合計, 総資本, 資産 保有する物。資産=負債+純資産
Inventories 棚卸資産(たなおろししさん) 将来、販売または一般管理活動を行うために保有している資産。商品や製品、仕掛品、半製品、原材料、消耗品等。
goodwill のれん 企業の買収・合併(M&A)の際に発生する、「買収された企業の時価評価純資産」と「買収価額」との差額。日本基準上、のれんはその効果の及ぶ期間にわたり、20年以内で償却することとされている。一方でIFRSや米国基準では、goodwillは償却してはならない。[詳細]
Total Liabilities 負債, 負債総計 支払い義務のある物。借入金、社債、未払金、等の各種債務。
Shareholders’ equity, Owner’s equity 純資産, 株主資本, 資本 純資産=資産-負債
Interest-bearing debt, Liabilities with interest 有利子負債 ローンや社債等。一方で利子がかからない買掛金等はこれに含まない。[詳細]
D/E ratio D/Eレシオ 有利子負債÷株主資本

キャッシュフロー計算書(Cash flow Statement, C/S)

英語での表現 日本語での表現・通称 備考
Operating, Cash flows from operating activities 営業活動によるキャッシュフロー, 営業CF 本業による収入と支出の差額 通常はプラスになる指数
Investing, Cash flows from investing activities 投資活動によるキャッシュフロー, 投資CF 設備投資等による支出 通常は営業CFを上回らない程度にマイナスになる指数
Financing 財務活動によるキャッシュフロー, 財務CF 借金が増えればプラス、借金を返済すればマイナスになる指数
Capital investment 設備投資
Capex to Sales 設備投資÷営業収益

キャッシュフローはお金の流れです。この指標は、損益に表れない会社の真実を映し出す事があります。なぜならば損益は都合の良い表現をしてごまかす事ができますが、お金の流れそのものは(改竄しなければ)ごまかせないからです。

株価指標

銘柄比較のための指数

英語での表現 日本語での表現・通称 備考
Current P/E Ratio, Trailing P/E 実績PER 株価÷1株利益(実績)で算出
Estimated P/E, Forward P/E 予想PER 株価÷1株利益(見込み)で算出
Cyclically adjusted price-to-earnings ratio, CAPE, Shiller P/E,P/E 10 ratio シラーPER,CAPEレシオ 単年度の1株当たり利益ではなく、インフレ調整後1株当たり利益の10年移動平均値を用いて算出したPER。一時的要因による収益変動や景気循環の影響が除外されるため、実質的な企業収益力との関係で株価の割高・割安性が示される。
Earnings Per Share EPS, 1株利益 当期純利益÷発行済み株式数
Return On Equity, ROE ROE, 自己資本利益率 当期純利益÷自己資本で算出
Price/Book, P/B, Price Book-Value Ratio PBR 1株当たりの純資産
Dividend Indicated Gross Yield 配当利回り 1株当たりの配当÷株価

PERは、値が小さい方が割安だと言える指数です。3年後の利益で計算して、15倍程度が標準とされています。

PBRも値が小さい方が割安です。1倍が下値目処として強く意識されます。配当利回りは、高い方が多くの配当金を受け取れます。

ただし、これらの指標が良い事が、必ずしも株価が割安水準である事を示してはいません。業績悪化の見込み・予測を織り込み、先回りして株安になっている可能性もあります。このように、株価指標の利用には注意が必要です。

発行済株式に関する指数

英語での表現 日本語での表現・通称 備考
Market Cap(Capitalization) 時価総額 株価×発行済株式数
Shares Outstanding 発行済株式数 発行した株式の総数

時価総額が大きな銘柄は、大型株と呼ばれます。ビジネスが安定した企業の株が多く、売買する投資家も多いため、比較的安定した値動きをする傾向があります。

指数

ファンダメンタルズを加味した株価指数は、投資成果の比較のために利用されています。

英語での表現 日本語での表現・通称 備考
Fundamentally Weighted Index ファンダメンタル・インデックス 企業の売上高、キャッシュフロー、利益、配当等の指標を加味した株価指数。
※これに対する一般的な株価指数は時価総額加重平均型

業種

ディフェンシブなセクター

景気変動の影響を受けにくい、安定した業種の銘柄をディフェンシブ銘柄と呼びます。

英語での表現 日本語での表現・通称 備考
Health Care ヘルスケア JOHNSON & JOHNSON,PFIZER等
Consumer Discretionary 一般消費財 AMAZON COM等
Consumer Staples 生活必需品 NESTLE,PROCTER & GAMBLE等
Utilities 公益事業 NextEra Energy等
Telecommunication Services 通信サービス AT&T等

景気敏感セクター

景気敏感株は、収益や株価が景気動向に左右されやすい業種の銘柄です。景気悪化では大きく値を下げるリスクがある反面、景気上昇局面では投資家に大きな利益をもたらします。

英語での表現 日本語での表現・通称 備考
Financials 金融 WELLS FARGO等
Information Technology IT Apple,Microsoft等
Industrials 工業 GENERAL ELECTRIC等
Energy エネルギー EXXON MOBIL等
Materials 素材 BASF(独の総合化学メーカー)等
※鉄鋼・非鉄金属・石油等は景気の影響を受けやすいが、紙・繊維等の景気の影響を比較的受けにくいものもある

その他

英語での表現 日本語での表現・通称 備考
annual report 年次報告書, 事業報告書
Rating 格付け Moody’sやS&Pが有名
RMB, Renminbi 人民元(じんみんげん) 中国株のレポートに記載される事が多い
Institutional Investor 機関投資家 個人や企業から預かった資金を運用する企業投資家。生命保険、証券会社、投資信託、損害保険など。

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↑歯車。ぱくたそから。

歯車の仕組みを理解し、機械の正しい動作(株価)を予想するのがファンダメンタルズ分析です。それに対して機械の動きそのものから、機械の次の動作を予想するのがテクニカル分析です。

ファンダメンタルズ分析は演繹的手法、テクニカル分析は帰納的手法とも言い換えられます。どちらが優れているという論争もかつてありましたが、投資家の教養として両方とも利用できるようにすべきです。

このページには、主要なファンダメンタルズ指標を掲載しました。投資家の方々の探し物の一助となれば幸いです。逆に、ファンダメンタルズ指標として重要で載せるべきものがあれば、是非コメント欄から教えて頂けますと嬉しく思います。

機械関連の経済指標(国内)

機械関連の経済指標を、日本国内の指標に限定してまとめます。景気敏感な機械関連株の株価は、各種経済指標の動向から大きな影響を受ける事がありますので、短期売買を行う投資家にとって、これらの指標の確認は重要です。

機械受注統計

機械受注統計は内閣府が毎月発表する指標です。機械等製造業者の受注する設備用機械類の受注状況が調査・集計され、発表されます。機械の受注が増えるという事は、「製品が売れる」と予想し製品作成のための機械を発注した企業が増えた事を意味します。つまり機械受注統計は景気の先行指標です。

内閣府の機械受注統計では、受注総額の他、その内訳をみる事ができます。民需・官公需・外需といった分類での内訳や、発電機・電子計算機等・通信機・電子応用装置・電気計測器等の詳細カテゴリーでの受注状況が公開されています。

貿易統計

貿易統計は財務省が毎月発表する指標です。輸出と輸入が分かる指標ですが、主要商品別輸出の表を確認すれば、機械の輸出状況が分かります。

過去の報道発表資料 財務省貿易統計

工作機械受注統計

工作機械受注統計は日本工作機械工業会が毎月発表する指標です。受注速報では受注の総額などのざっくりとした動向しか分かりませんが、後に発表される受注確報では各種別の機械の受注動向が分かるようになります。

工作機械統計 日本工作機械工業会

製造装置販売高速報

製造装置販売高速報は日本半導体製造装置協会が毎月発表する指標です。半導体製造装置とFPD製造装置の販売高をそれぞれ確認できます。ここでFPDはフラットパネルディスプレイの略で、薄型の映像表示装置を意味します。更に詳細が分かる有料データも提供されています。

統計資料 日本半導体製造装置協会

2065年までの労働力人口の減少の程度と、企業の業績や世間のサービス動向

労働力人口の大幅減

少子高齢化により労働力人口は大きく減る見通しです。

下図は将来の労働力人口の予測です。みずほ総合研究所により推計されました。予想される人口推移と、世代別で労働者の比率が一定であると仮定し計算したようです。労働力人口は、2016年が6,648万人であったのに対して、2065年には4,000万人を割り込むまで減少すると推計されます。4割減です。シニア世代の労働時間が増える等の変化が無い限り、世間の働き手は大きく減る見通しとなっています。

画像出典:少子高齢化で労働力人口は4割減 みずほ総合研究所

※労働力率とは、人口に占める労働力人口の割合を指しています。

企業の業績はどうなるか

労働力人口の大幅減により、日本企業の業績はどうなるかについて考えを述べます。

まず、労働環境が悪い企業は、労働力が確保できなくなり、製品を提供できなくなり、淘汰されます。

ただし労働力人口の減少は企業にとって悪い事ばかりではありません。需給の視点からは、1企業あたりの売上は上がると予想されます。もちろん日本の人口は減りますのでモノ・サービスの需要は減っていきます。ところが高齢化による労働人口の減少により、供給が需要以上に減りますので、企業はモノ・サービスを売りやすくなります。

サービスの低下とインフレ

労働力人口の減少は、サービスの低下を招きます。働き手が少なくなれば、企業は今までのような手厚いもてなしを行う時間を確保できなくなるからです。また、人件費の上昇はモノ・サービスの値段を引き上げますので、インフレに繋がります。

ちなみにジンバブエのハイパーインフレは、黒人が白人から農地等を奪還した事で労働生産性が低下してしまい、モノがなくなったため需給の関係でインフレが始まりました。労働力人口の減少もモノの供給を小さくしますので、インフレの構造として似たものがあります。

リーマン・ショック時の「業種別」株価ランキング 本当のディフェンシブ銘柄とは?

リーマン・ショック時の株価のランキングを「業種別」に作成しました。そのランキングから判明した当時の値動きの特徴や、ディフェンシブ銘柄の実態について投稿します。

リーマン・ショックとは?

リーマン・ショックは、2008年に発生した世界的な金融危機です。

2008年9月15日に、アメリカ合衆国の投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻しました。同社の社債や投資信託の価値毀損は金融危機を招き、世界各国の株安・債券安が進行しました。

リーマン・ショック時の業種別の株価推移

集計方法

ランキングは、リーマン・ブラザーズが破綻する前の営業日である2008年9月12日終値を基準(100%)とした業種別の株価です。

日経平均株価が最安値6,994.9円をつけた2008年10月28日および、終値で7,054.98円をつけた2009年3月10日に、リーマン・ブラザーズ破綻前との比較でどの程度の株価になったのかをまとめました。

元データは株価データサイト(k-db.com)から取得しました。

集計結果

下表は集計結果です。2009年3月10日までの下落率が小さい順に並べています。

所見

ランキング上位業種

ランキング上位には、景気変動の影響を受けにくい業種が並びます。日本株でディフェンシブ銘柄と言えるのはこれらの業種です。ただしリーマン・ショックでは景気悪化と株売りの圧力が強く、さすがのディフェンシブ銘柄も平均すると売られて安くなりました。

1位空運業はほどんど下落しませんでした。リーマン・ショックでは景気の悪化から原油が供給過多になり価格が下落しました。その結果燃料費が安くなり、空運業の業績を下支えしました。ちなみに日本航空(JAL)が破綻したのはその後で、2010年の話になります。

2位電気・ガス業も下落が限られています。景気が悪化しても電気やガスは使いますので、電気・ガス業の業績は安定していました。このように、電気・ガス業はディフェンシブ銘柄の代表でした。ただし2011年福島原子力発電所の事故による放射能汚染処理や、電力自由化制度による市場競争の激化により、現在では必ずしも安定が保証された業種ではなくなりつつあります。

5位には情報・通信業が来ます。確かにIT関係の銘柄は景気敏感株ですが、一方で通信インフラ株はディフェンシブ銘柄と言えます。なぜなら携帯電話の料金や、インターネット接続サービスは景気の良し悪しにかかわらず、一種の生活必需品として支払うものだからです。

意外にディフェンシブでない業種

投資教本ではディフェンシブ銘柄であると記述される業種の株の中には、実は景気悪化の影響を受けやすいものがありますので要注意です。

12位にパルプ・紙が来ています。ティッシュもトイレットペーパーも、景気に関係なく使う物ですので、一見するとディフェンシブ銘柄に見えますが、それほどでもありません。景気悪化でDM(ダイレクトメッセージ)用の紙や業務用の段ボールの需要が減り、業績を悪化させました。

13位に医薬品が来ています。薬は景気に関係なく必要とされるため、海外の投資教本では薬はディフェンシブ銘柄の代表の1つとされます。ところが日本では、そうでもありません。金融危機では有事の円買いが発生し、海外で売り上げた薬の収益が円高により減少します。そのため医薬品は、結果的に景気にそこそこ景気に連動する株となります。

14位小売業や、17位食料品なども、安定していそうですが意外に下落しています。確かに景気悪化でも食べ物は必要ですが、安い食べ物に代替し食べるようになるために、食料品株やスーパーマーケット内需株の売り上げは下がります。

これら一見ディフェンシブ銘柄は、株価が大きく下落した際は、実力以上に連れ安でも下げやすいという特徴があります。下落相場で売る銘柄が無くなれば、それまでにあまり下がっていなかったセクターの株に売りが波及するものです。

誰がどう見ても景気敏感な業種

ランキング下位には、意外でも何でもない、誰がどう見ても景気敏感な業種が並びます。

26位の銀行業や、31位の不動産は、景気敏感銘柄の代表と言えます。

30位の海運業は、景気悪化で運ぶものが少なくなった他、当時船が供給過多で値崩れした事が業績悪化の一因でした。

企業物価指数(CGPI)の2016年12月までの推移 減収増益企業に要注意!?

企業物価指数は企業間で取引される商品の価格に焦点を当てた物価指数です。記事投稿時点で2016年12月の速報値までが算出され公開されています。直近の企業物価は上昇しつつあります。投資家は、今まで物価安の恩恵を受けた減収増益企業の動向に注意を向ける必要があります。

企業物価指数

どのような指数か?

企業物価指数は企業間で取引される商品の価格に焦点を当てた物価指数です。英語ではCorporate Goods Price Indexで、頭文字をとりCGPIとも呼ばれます。

企業物価指数(CGPI) マネー百科

2016年12月(速報値)までの推移


企業物価指数(2016年12月速報) 日本銀行

2016年は物価安が進行していました。原油安に代表される世界的な物価安(デフレ)を輸入する形で、国内の企業物価指数は低い水準で推移していました。

ところが状況が変わりつつあります。米大統領選後の2016年11月・12月はトランプノミクスによる円安が進行しました。これにより直近で円ベースでの輸出物価(中央グラフ)・輸入物価(右グラフ)が上昇しています。これに引っ張れれる形で国内企業物価(左グラフ)も上昇しています。

今後は減収増益企業に要注意

ところで直近の決算短信では減収増益企業が目立ちます。

多くの企業は「厳しい環境ながらコスト削減に尽力し増収を確保した」という報告をしていますが、実態は世界的な物価安による棚ボタ増収の寄与が大きいと分かります。直近の円安で企業物価が上昇しつつありますので、本当は尽力していない企業は化けの皮が剥がれるでしょう。

投資家は減収増益企業に警戒するのが良さそうです。