リーマン・ショック(2008年)前後の米ドル/円為替チャート 円高はどう進行したか?

リーマン・ショックは、2008年に発生した世界的な金融危機です。

リーマン・ショックでは日本円に買いが集まり、急激な円高が進行しました。当時の米ドル/円為替チャートを作成しましたので投稿します。

リーマン・ショックとは?

リーマン・ショックは、米国のリーマン・ブラザーズの破綻を発端とした世界的な金融危機です。

2007年の米国の住宅バブル崩壊により、サブプライムローンと呼ばれる金融商品の不良債権化が進行しました。当時のリーマン・ブラザーズもサブプライムローン関連の不良債権を多く保有し、多大な損失が進行していました。

そして2008年9月15日に、リーマン・ブラザーズが破綻しました。この破綻の影響は全世界に連鎖し、世界的な金融危機に発展しました。リーマン・ブラザーズが発行している社債や投資信託を保有している企業への影響、取引先への波及と連鎖が懸念され、世界各国の株安・債券安が進行、未曽有の金融危機となりました。

この金融危機では、安全通貨として円が買われ、急激な円高が進行しました。

リーマン・ショック前後の米ドル/円為替

下図は、リーマン・ショック前後の米ドル/円為替チャートです。

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元データは株価データ倉庫から取得しました。

8月中旬までは円安傾向

リーマン・ブラザースの破綻前、8月中旬までは一旦の円安傾向が続いていました。この頃は株価も小康状態となっており、リスクオンの円売り外貨買いがありました。2008年8月15日には1ドル110.65円まで円安になる局面もありました。

破綻時の為替水準

リーマン・ブラザースが破綻した2008年9月15日に、米ドル/円為替は1ドル104.65円でした。2007年6月22日に124.13円をつけていた事と比べれば、この時点で既にかなりの円高が進んでいたと言えます。

ところがリーマン・ブラザース破綻後、金融危機が深刻化するにつれて円は買われ続け、為替相場は更なる円高が進行しました。

急激な円高の進行

為替は円高進行を続け、2008年12月17日には87.13円をつけました。リーマン・ショック破綻後、わずか3ヶ月の間に17.52円(16.74%)もの円高が進行したと計算できます。

円高の影響

国内の輸出産業への打撃と株安

急激な円高は、日本の輸出企業の収益を悪化させました。株も大きく売られ、2008年日経平均株価は、高値15,156.66円から安値6,994.9円まで、8,161.76円安(-53.85%)という半値以下の水準に下落しました。

国内投資家の海外資産の目減り

また、この円高は海外の資産は目減りを招きました。外国の資産へ投資していた大多数の日本の投資家は、世界の株安と通貨高による目減りとのダブルパンチにより、資産を大きく減らす経験をしました。

円高の要因

急激な円高の進行には、いくつかの要因があります。以下に列挙します。

低金利であった事

当時、世界の中で日本は低金利であった事が円買いと円高を誘発しました。

利下げ余地の少なさ

利下げ余地の少なさは、円高要因となりました。

金融危機により、各国が利下げし経済活動の刺激を試みました。この利下げは通貨安を招きます。利下げによる通貨安を避けるため、投資マネーは既に低金利の通貨に集まりました。

日本はゼロ金利政策は解除されていたものの、2008年9月の政策金利は0.5%と既に低く、他国に比べて利下げ余地は極端に少なくなっていました。そのため、他国の通貨安を恐れた投資マネーは日本に向かう事になりました。

日本の政策金利の推移(政策金利の推移)

リスクマネー還流

円キャリートレードの巻き返しが、円高に拍車をかけました。

当時、低金利の日本円を売り高金利通貨で運用を行う円キャリートレードが流行していました。ところが、金融危機による株価下落と各国の利下げが相次いだ結果、高金利通貨が通貨安の方向に振れはじめました。これにより円キャリートレードをしていた投資家は慌てて円を買い戻す必要が出てきました。多くの投資家が円を買い戻した結果、急激な円高が進行する事になりました。

日本独自の事情

金融危機では円高が進行する日本独自の事情がありました。

金融システムの健全性

他国に比べて日本の金融システムが健全であった事も、円買い・円高要因となりました。

日本は平成バブル崩壊後、不良債権処理が進み、金融システムは堅実になっていました。不動産バブル崩壊とサブプライムローン問題に揺れる米国や、2010年欧州ソブリン危機を経験する欧州と比べれば相対的に安全だと考えられていました。この事が円買いを誘い、円高要因となりました。

貿易黒字

貿易黒字であった事は、円高の要因となりました。

貿易黒字国は、輸出額が輸入額よりも多くなります。輸出者は海外で商品を売り、得た外貨を円に換金します。そこで円が買われます。2008年の円高局面において、少し円安に振れるとすぐに実需の円買いが入っていました。この実需買いの結果として、為替は一方的な円高が進行しました。

また、金融危機が深刻化するにつれて、貿易黒字国に投資マネーが集まるようになりました。黒字国と赤字国では、相対的に黒字国の方が安定性が高いと考えられたからです。

下記のリンクは、貿易収支のチャートです。2008年当時、日本の輸出も輸入も大きく落ち込みました。日本は結局年間では黒字を確保し、貿易収支は58兆円の黒字となりました。

デフレによる実質的な高金利

日本で進行していたデフレは、円買いと円高を誘いました。

デフレは財やサービスの値段が下がる現象ですが、別の見方をすれば通貨の価値が上がる現象です。このデフレにより、日本円は名目値では増えないとしても、実質的には高金利な通貨に見えました。世界各国の高金利通貨が利下げで魅力を失う中、実質的な高金利通貨である日本円は、外国人から見て魅力的な通貨に映りました。この事が、円買いと円高を誘発しました。

まとめ

リーマン・ブラザーズの破綻を発端とした世界的な金融危機であるリーマン・ショックでは、米ドル/円為替は急激な円高となりました。

リーマン・ブラザースが破綻した2008年9月15日に、米ドル/円為替は1ドル104.65円でした。危機が深刻になるにつれ為替は円高進行を続け、2008年12月17日には87.13円をつけました。わずか3ヶ月の間に、17.52円(16.74%)もの円高が進行したわけです。

円が買われた理由として、低金利で利下げ余地が少なかった事、リスクマネー還流による円買い、日本の金融システムの健全性や貿易黒字に着目した安全通貨としての円買い、デフレによる実質的な高金利に注目した円買い、が挙げられます。

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