運用報告書(2017年3月末日)

2017年3月31日時点の資産運用の状況を公開します。

運用概況

資産概況

時期 運用資産(千円) 基準価額(円) 前月比 口数(千口) 低リスク資産比率
2017年3月末 10,765 15,420 0.47% 6,981 31.2%
2017年2月末 10,714 15,347 6,981 31.9%

投資環境

投資環境は概ね安定していたと言えますが、トランプノミクスの息切れも指摘される相場環境でした。例えばダウ平均株価は3月16日(木)から8営業日続落しました。また、3月24日(金)にはトランプ大統領によるオバマケア代替法案が撤回に追い込まれた結果、米国政権の政策遂行力が疑われる事で株価の下落に拍車がかかりました。

株式個別銘柄

売買銘柄

市場 銘柄(コード) 売買区分 備考
東証1部 ヘリオス テクノHD(6927.jp) 売却 リバランス売り(日本株および電気機器銘柄を減らすため)
東証JQS システム情報(3677.jp) 追加購入 プロジェクトマネジメントに強みがあるシステム開発の優位性に起因する成長期待およびBtoBビジネスの安定性に対する期待から追加購入

ヘリオス テクノHD(6927.jp)の売却は裏目に出ました。売った直後に増配・増益のプレスリリースが出て、翌日は12.09%高となりました。

上位銘柄

システム情報(3677.jp)を買い増した結果、この銘柄が上位銘柄に初めてランクインしました。

産業別

個人的に好成績な技術(technology)株と生活必需品(Consumer Staples)株への集中投資をしています。今後もこの2業種を中心とした運用を継続する予定です。

地域別

ホームバイアスをかけ、日本株が50%程度の運用を行っています。今後も引き続き、この比率で運用を継続する予定です。

多くのアクティブ投資家が市場平均に負ける理由

多くの市場参加者は、市場平均に負けると言われています。

アクティブ投資家の大多数が市場平均に負け、その負け分が少数の大勝ち投資家の利益になります。シミュレーションの結果を参考に、その仕組みを説明します。

シミュレーション

四半期での平均リターンが2%、リスク20%で資産運用を行う10,000人の投資家がいたとします。彼らがそれぞれ運用を行った時、何が起こるのかを乱数シミュレーションした結果が下記の動画です。

t は時間(運用した四半期の数)、横軸がリターン(何倍か)、ave.は全投資家の平均パフォーマンスで市場平均と呼ばれる値、maxは最も成績の良い投資家の運用パフォーマンス、loserは市場平均に負けた投資家の人数です。

多数が負け、少数が大勝ちする

アクティブ投資家の大多数が市場平均に負け、その負け分が少数の大勝ち投資家の利益になります。

多数の負組投資家

多くの投資家は市場平均に届きません。時間が経つにしたがって、市場平均に負ける投資家は増え続けます。シミュレーションでloserの人数が増え続ける事からも分かります。

四半期の市場平均に対する勝率は50%あるものの、負けて元本を減らした後に、勝っても元本が減った分だけ上昇相場の恩恵を享受できないため、ジリ貧になるわけです。負ければ市場平均に追いつけなくなりやすい事が、市場平均に負ける投資家が増える原因です。

少数の大勝ち投資家

多くの投資家が負ける一方で、一部の投資家は勝ち、増やした元本で更に勝ち、大儲けをします。シミュレーションでも最終的に20倍を超える運用成果を残す者が出てきます。一部の大勝ち投資家のリターンを支えているのは、先述した多くの負組み投資家です。

また、この一部の大勝ち投資家の成績は市場平均の値を引っ張り上げます。人数が少ないですが、成績の平均からの乖離があまりに大きいため、平均値をプラス側に寄せる影響が少なからずあります。

現実の市場参加者

実際の市場参加者の成績分布も、シミュレーションと概ね似た構造になっています。多くの市場参加者は市場平均に負け、少数の投資家が市場平均に対して大勝ちします。そうして市場平均は形成されます。

勿論、実際の市場平均は上がったり下がったりするものです。その影響までを考慮するならば、動画の平均値からの乖離をアクティブリターン(ポートフォリオのリターンとベンチマークのリターンとの差:超過リターンとも呼ばれる)と読み替えて考えます。

参考・関連

対数正規分布

ちなみにこの成績分布は横軸を対数表記にすると、正規分布になります。そのためこの分布は、対数正規分布(log-normal distribution)と呼ばれています。

最頻値<中央値<平均値(期待値)は、対数正規分布の特徴の一つです。

対数正規分布 wikipedia

インデックス投資

多数の投資家に勝つ、勝率の高い資産運用を行ないたい場合はインデックス投資が有効です。市場平均(つまり時価総額加重平均型指数)に連動するタイプのインデックス・ファンドを保有すれば、比較的良い成績で資産運用を行う事が可能になります。

集計・表示のソースコード

シミュレーションを集計・表示する際に用いたコードを公開します。個別の投資家の成績が入ったbbb.txtのファイルをPAWで読み込み、プロットしました。

無リスク資産への投資

無リスク資産の活用は、資産運用の柔軟性と効率を向上させます。

無リスク資産は、将来的にリスク資産の購入に利用する事でポートフォリオ全体の成長性を高めます。無リスク資産を含めた資産全体の成長こそが、投資家にとって最も興味のある指標です。特に長期運用において、無リスク資産を活用しリスク資産のリスクの大小をコントロールする事は重要です。

無リスク資産とは?

無リスク資産(Risk-free Asset)は、元本が保証された安全資産を意味します。

収益が確定的な資産は、リスクが無いために「無リスク資産」と呼ばれます。通常無リスク資産は預貯金を指しますが、個人向け国債を事実上の無リスク資産と考える事もできます。

無リスク資産の対義語はリスク資産です。リスク資産の収益は不確定で、収益分布の広がり具合を表す指標であるリスク(標準偏差)が計算されます。

無リスク資産への投資

無リスク資産の利用は、有利な資産運用に繋がります。

無リスク資産を利用した、効率的フロンティアの拡張

無リスク資産は、有利なリスク・リターンの組み合わせを手に入れる際に活躍します。

例えばポートフォリオのリスク・リターンの組み合わせを考えます。もしもリスク資産のみでポートフォリオを構成するならば、望ましいリスク・リターンの組み合わせ(リスクが同じならばリターンが大きい、または、リターンが同じならばリスクが小さい)は、リスク・リターンダイアグラム上で曲線を描きます。この曲線は効率的フロンティア曲線と呼ばれます。

ところが、無リスク資産を組み合わせれば、この効率的フロンティアは拡張され、直線になります。下図はその様子です。無リスク資産のリスク・リターン(点 r_{f})から効率的フロンティア曲線へ引いた接線が、拡張された効率的フロンティアです。ここで r_{f} は、無リスク資産(Risk Free Asset)の金利を指しています。

この拡張された効率的フロンティアの直線は、資本市場線(Capital Market Line, CML)とも呼ばれています。

画像出典:ファンド定理

このように、無リスク資産の利用は、より有利なリスク・リターンの組み合わせを手に入れるために大変有用です。投資家が興味を持つべきは、資本市場線です。

投資元本確保による、高い成長性の享受

無リスク資産への投資はポートフォリオの成長性を高めます。

とは言え、成長の程度はパラメータに依存します。例えば今、リスク資産のリターンは、平均4%、標準偏差は22%、無リスク資産の金利は1%であったとして考えます。

下図は、この環境下での、リスク資産への投資比率別の期待成長率です。横軸がリスク資産への投資比率、縦軸が期待できる資産の成長率です。

リスク資産の組み入れ比率が高くなり、70%を超えてきたあたりから、ポートフォリオの成長性が悪くなる様子が見て取れます。リスク資産を持ちすぎた場合、それが大きく下落した場合に投資元本を失います。元本が小さくなった場合、その分それ以降の上昇相場の恩恵を享受できなくなります。このような過程から、リスク資産を大きく持つ資産運用は、資産の成長性が低くなります。

一方で、もしも無リスク資産を一定の比率で保有していた場合、それを投資元本として活用する事で投資家は再起が可能です。更にこの再起では、リスク資産が値下がりした局面で買い付けができる(安く買える)ため、成長性が高まります。

なお、無リスク資産とリスク資産との資産の移動は、リバランス(rebalance)や、ボラティリティの出し入れ(pumping)と呼ばれる投資テクニックとして知られています。

リスクを取り過ぎた運用を避けるために

リスクを取り過ぎた運用を避けるために、無リスク資産の活用が大切です。

リスクを取り過ぎた運用の弊害は、下記の通り、いくつかの記事で既に紹介しました。無リスク資産への投資によって、リスク資産のリスクの大小をコントロールできます。特に長期運用において、リスクのコントロールは重要です。

ブラックマンデー(1987年)前後のダウ平均株価チャート

1987年10月19日(月)に、米国ニューヨーク株式市場に起こった過去最大規模の暴落ブラックマンデー(Black Monday)と呼びます。

当時のダウ平均株価チャートを作成しました。

ブラックマンデー前後のダウ平均株価チャート

ブラックマンデーは明確なネガティブサプライズなしに、売りが売りを呼んだ事で、株価が暴落しました。



チャート作成の元データは株価データ倉庫から取得しました。

前日比-22.6%の大暴落

1987年10月19日(月)のダウ平均株価は、前の営業日比で507.99ドル安(-22.6%)という下げ幅を記録する大暴落となりました。翌20日には安値1,616.21ドルをつけており、ブラックマンデー前10月16日の終値と比べて-28.1%の水準です。短い時間に大きく売られた事が分かります。

米国の株価大暴落は世界へ波及

ニューヨーク株式市場の暴落は、世界各国の株式市場へと波及しました。

日本の株式市場は1987年10月20日(火)に暴落しました。この日の日経平均株価の始値は、高値と等しく25,745円です。終値は安値と等しく21,910円です。チャートは陰の丸坊主を形成し、場中に3,835円を下げる大暴落となりました。前日比では3,837円安(-14.9% )の暴落でした。

リーマン・ショック(2008年)前後のダウ平均株価チャート

リーマン・ショックは、2008年に発生した世界的な金融危機です。

2008年9月15日に、アメリカ合衆国の投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻しました。同社の社債や投資信託の価値毀損は金融危機を招き、世界各国の株安・債券安が進行しました。

当時のダウ平均株価のチャートを投稿します。

リーマン・ブラザーズ破綻直後



チャートの元データは株価データ倉庫から取得しました。

リーマン・ブラザーズの破綻が決まった2008年9月15日は、ダウ平均株価は504.48ドル安(-4.42%)と大きく売られました。その後は一時的に小康状態となりましたが、9月29日は金融安定化法案否決を受けて-777.68ドル安(-6.98%)の暴落となりました。

その後の株価推移


株価の下落が続き、金融危機は世界へ飛び火

リーマン・ブラザーズの破綻は世界的な金融危機を招き、景気を悪化させました。ダウ平均株価は2009年3月6日に、6469.95ドルをつけるまで下落しました。これはリーマン破綻前の9月12日終値と比べ、-43.4%の水準に相当します。

米国発の金融危機は世界に飛び火しました。例えば日本では、2008年日経平均株価は年初の高値15,156.66円から10月28日の安値6,994.9円まで、半値以下になりました。

2009年3月6日以降の株価回復

その後3月6日以降は、ダウ平均株価は回復を始めました。世界経済も良い方向に進み始めました。この回復は、量的緩和政策QE1(2008年11月~2010年6月)等が追い風となりました。

米国の量的緩和政策(金融用語辞典)