優秀なアクティブ投資家が、人々にインデックス投資を勧める理由

資産運用で実績を持つ優秀なアクティブ投資家ほど、他の投資家へはインデックス投資を推薦する傾向があります。例えばバフェットはS&P500を勧めています。

これには理由があります。以下に2つの理由を述べます。

インデックス投資を勧める理由

優秀なアクティブ投資家が、人々にインデックス投資を勧める事には「利他的な理由」と「利己的な理由」の2種類があります。

理由1(利他的) 投資家の成績分布を知っているため

優秀なアクティブ投資家は、多くの投資家が負ける事を知っています。ですから、それを避けられるように、投資初心者にインデックス投資を勧めます。

市場平均に対して優れた運用成績を残す者は、利益を元手に利益を得て、指数関数的に資産を増やします。その結果、市場平均から著しく良い成績を残します。それに対して、負けていく投資家は大多数であり、彼らは市場平均に届きません。

このように相場の参加者は、一部の大勝投資家と、多数の負組投資家で構成されているわけです。この事は、資産運用のように繰り返しを含むギャンブルでは、人々の運用成績は対数正規分布に近い形となっているはずだという考えからも導出できます。

多数の負組を察知している優秀なアクティブ投資家の人々による、投資初心者への有効なアドバイスは、市場平均への投資です。平均値であれば、下手なアクティブ投資よりは良い成績です。インデックス投資の推薦は、多くの人を幸せにするでしょう。

理由2(利己的) 優秀なアクティブ投資家の芽を摘むため

優秀なアクティブ投資家は、新しい世代の優秀なアクティブ投資家の芽を摘むために、投資初心者にインデックス投資を勧めます。

中途半端に賢く才能のある投資家をインデックス投資家にしてしまえば、その投資家の成長は終わりです。その投資家の成績は市場平均に留まる事でしょう。インデックス投資には、CAPMや効率的市場仮説を始めとした、中途半端に賢い人を惹きつける魅力が詰まっており、アクティブ投資から遠ざけるのに十分です。

このようにインデックス投資の推薦には、優秀な投資家が現れにくくなる効果があるわけです。

なお、このアドバイスにより、世界の投資家がインデックス投資家ばかりになる心配はありません。なぜなら誰からも何も学ばない、市場の肥やしとなる本当に愚かな投資家は、古今東西で沢山現れては消えていっています。そして市場平均を形成しています。

ハイエンドのアクティブ投資家は、自身の脅威となる可能性のあるアクティブ投資家の卵に対して、インデックス投資を勧めることで、自身の利権を守るのです。

まとめ

優秀なアクティブ投資家は、各種の目論見から人々にインデックス投資を勧めます。

このアドバイスは、平均未満の多くの人々にとっては有益です。その一方で平均以上になり得る才能のある人々にとっては有害です。

いずれにしても、インデックス投資を勧められるという事は、馬鹿にされている(平均値未満だと言われている)か、もしくは唆されている(成長機会を奪われている)かのどちらかなのです。

多くのアクティブ投資家が市場平均に負ける理由

多くの市場参加者は、市場平均に負けると言われています。

アクティブ投資家の大多数が市場平均に負け、その負け分が少数の大勝ち投資家の利益になります。シミュレーションの結果を参考に、その仕組みを説明します。

シミュレーション

四半期での平均リターンが2%、リスク20%で資産運用を行う10,000人の投資家がいたとします。彼らがそれぞれ運用を行った時、何が起こるのかを乱数シミュレーションした結果が下記の動画です。

t は時間(運用した四半期の数)、横軸がリターン(何倍か)、ave.は全投資家の平均パフォーマンスで市場平均と呼ばれる値、maxは最も成績の良い投資家の運用パフォーマンス、loserは市場平均に負けた投資家の人数です。

多数が負け、少数が大勝ちする

アクティブ投資家の大多数が市場平均に負け、その負け分が少数の大勝ち投資家の利益になります。

多数の負組投資家

多くの投資家は市場平均に届きません。時間が経つにしたがって、市場平均に負ける投資家は増え続けます。シミュレーションでloserの人数が増え続ける事からも分かります。

四半期の市場平均に対する勝率は50%あるものの、負けて元本を減らした後に、勝っても元本が減った分だけ上昇相場の恩恵を享受できないため、ジリ貧になるわけです。負ければ市場平均に追いつけなくなりやすい事が、市場平均に負ける投資家が増える原因です。

少数の大勝ち投資家

多くの投資家が負ける一方で、一部の投資家は勝ち、増やした元本で更に勝ち、大儲けをします。シミュレーションでも最終的に20倍を超える運用成果を残す者が出てきます。一部の大勝ち投資家のリターンを支えているのは、先述した多くの負組み投資家です。

また、この一部の大勝ち投資家の成績は市場平均の値を引っ張り上げます。人数が少ないですが、成績の平均からの乖離があまりに大きいため、平均値をプラス側に寄せる影響が少なからずあります。

現実の市場参加者

実際の市場参加者の成績分布も、シミュレーションと概ね似た構造になっています。多くの市場参加者は市場平均に負け、少数の投資家が市場平均に対して大勝ちします。そうして市場平均は形成されます。

勿論、実際の市場平均は上がったり下がったりするものです。その影響までを考慮するならば、動画の平均値からの乖離をアクティブリターン(ポートフォリオのリターンとベンチマークのリターンとの差:超過リターンとも呼ばれる)と読み替えて考えます。

参考・関連

対数正規分布

ちなみにこの成績分布は横軸を対数表記にすると、正規分布になります。そのためこの分布は、対数正規分布(log-normal distribution)と呼ばれています。

最頻値<中央値<平均値(期待値)は、対数正規分布の特徴の一つです。

対数正規分布 wikipedia

インデックス投資

多数の投資家に勝つ、勝率の高い資産運用を行ないたい場合はインデックス投資が有効です。市場平均(つまり時価総額加重平均型指数)に連動するタイプのインデックス・ファンドを保有すれば、比較的良い成績で資産運用を行う事が可能になります。

集計・表示のソースコード

シミュレーションを集計・表示する際に用いたコードを公開します。個別の投資家の成績が入ったbbb.txtのファイルをPAWで読み込み、プロットしました。

投資家のヒエラルキー

株式投資を行う投資家の投資手法は様々です。そして投資家には、投資手法によるヒエラルキーがあるように見えます。

ヒエラルキーは上から順に、「デイトレーダー」「中長期投資家」「インデックス投資家」「他人任せなアクティブ投資家」「どうしようもない投資家」です。

デイトレーダー

ヒエラルキーの頂点にはデイトレーダーがいます。

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デイトレーダーは専門知識が豊富で多才

デイトレーダーは投資に関する専門知識が豊富で、多才です。

デイトレーダーは売買頻度が高いため、投資の検証と改善のチャンスが多く、生き残れば大儲けします。彼らは市場に対する優位性を持ち、頻度の高い売買による多額の売買手数料を上回る投資成果を残していきます。

一般的にはデイトレーダーはファンダメンタルズ指標を読めますし、テクニカル分析もできます。経済ニュースやIR情報に反応し、素早く適切な分析を行い売買します。短期トレンドに対して順張りします。ニュースが素早く株価に織り込まれるのは、デイトレーダーが仕事をしているからです。

プログラミングにも詳しい人が多いようです。知恵遅れのAIを引っ掻き回していじめているデイトレーダーもいます。

デイトレーダーの才能

デイトレーダーとして成功する一因には、先天的な才能があるように考えられます。

下記の論文は、人差し指と薬指の長さの比率とトレーダーの収入についての研究です。薬指が長い方が、成績が良い結果となっています。

Second-to-fourth digit ratio predicts success among high-frequency financial traders

指の長さは胎児の時に浴びたアンドロゲン(男性ホルモン)の量に関係しています。アンドロゲンを浴びた脳の方が、視覚からの情報処理・判断が早く、瞬時の判断が要請されるデイトレに適性がある、と解釈されています。

デイトレーダーの生態

デイトレーダーは、運用規模が巨額になるまで成長する事があります。正しく成長するデイトレーダーのエサは、小型株→大型株→先物・オプションと変遷していきます。

一部のデイトレーダーが大儲けする裏側で、大多数のデイトレーダーは、他のトレーダーの餌食になったり、手数料負けしたりして生き残れません。生き残れず市場の肥やしとなったデイトレーダーは、退場するか、しなければ長期投資家に成り下がります。この事は「長期投資は短期投資の成れの果て」「投資は投機の成れの果て」等と表現されます。

なお、アンドロゲンの関係でしょうか、デイトレーダーがオフ会をすると、投資話と「猥談」で盛り上がる傾向があるようです。

中長期投資家

ヒエラルキーの2番目には中長期投資家がいます。

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中長期投資家はIR情報の分析が出来る

中長期投資家は、決算短信等の情報分析が出来ます。

デイトレーダーのような反射神経はありませんが、中長期投資家はIR情報を読み込み、株価の正しい値を概ね当てられます。中長期投資家は長期トレンドに逆張りし、理論価格より割安な株を拾い集めます。そして株価の上昇を辛抱強く待つ事で、資産を増やしていきます。

中長期投資家は、現代ポートフォリオ理論や、理論株価の計算(配当割引モデル等)といった、投資家の教養的な理論を修得している人が多めです。

中長期投資家の生態

中長期投資家は市場に長く居座る事で、知恵をつけていきます。

時間と共に市場に対する優位性を学び、資産を形成する者もいます。高い意識と、明確な野心を持った人が多いようです。(デイトレーダーは息を吐くように自然に儲けるタイプが多いのとは対照的です。)

知恵を付けて儲ける中長期投資家がいる一方で、やはりデイトレーダー同様に、市場の肥やしになる者も多くいます。含み損を多く抱えたまま身動きできなくなった投資家は、塩漬け凍死家と呼ばれます。

なお、中長期投資家がオフ会をすると、投資話と「不動産への投資話」で盛り上がる傾向があるようです。

インデックス投資家

ヒエラルキーの真ん中である3番目には、インデックス投資家がいます。

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インデックス投資家はコスト分析が出来る

インデックス投資家は、運用コストの分析を行う事ができます。

例えば信託報酬が0.5%のTOPIXインデックスファンドと、信託報酬が0.1%のTOPIXインデックスファンドとで、どちらが良い運用成績を残せそうかを比較・判断できます。(ちなみに正解は0.1%の方です。一般的にインデックスファンドの信託報酬は低い方が有利です。)

インデックス投資家は多くの投資家に勝利する

市場平均へ投資するインデックス投資は、誰がやっても勝率が高い投資手法です。

そもそも市場は多くの間抜けな投資家と、一部の賢い投資家によって構成されています。そしてこの対数正規分布に似た運用成績の偏りは、「中央値<平均値」となっており、平均値を得るだけで他の多くの投資家に勝てるのです。

なお、市場に対する優位性、すなわちデイトレーダーのような反射神経や、中長期投資家のような分析力は、インデックス投資家にはありません。つまりインデックス投資は、デイトレードや中長期投資の負け犬投資家(偏差値50未満)が活路を求めて採用する投資手法であると言い換える事ができます。

インデックス投資家の生態

多数のインデックス投資家は、ドル・コスト平均法による積立投資を実践しています。インデックス投資家は、インデックスファンドを一生かけて積み立てて、余生で切り崩して使います。投資成果が現れるのは遠い将来であり、投資手法を間違えたと気付くとすればそこで気付く事になります。

ちなみに投資家のプラニングホライズンレベルの長期的な視野で見れば、近年の長期的な株安・デフレ傾向や、長期的な円高トレンド(詳細:下記のリンク)は、必ずしもインデックス投資に好ましいものではありませんでした。

国内株価指数の超長期100年チャート 日本国の株価はどのように推移してきたか?

なお、インデックス投資家がオフ会をすると、投資話と「他人の悪口」で盛り上がる傾向があるようです。

他人任せなアクティブ投資家

ヒエラルキーの下から2番目には、他人任せなアクティブ投資家がいます。

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他人任せなアクティブ投資家は、目論見を理解出来る

他人任せなアクティブ投資家は、アクティブ・ファンドの目論見を理解出来ます。

残念ながら、目論見通りに行きそうかどうかの判断は出来ません。判断に必要な知識を持ち合わせていないからです。

他人任せなアクティブ投資家の生態

他人任せなアクティブ投資家は、常に素人投資家です。

素人投資家であるため、アクティブ・ファンドのファンドマネージャーに任せてしまう事になります。そして資産運用に必要な知識が身につかず、結局素人投資家のままでいます。

他人任せなアクティブ投資家は、勧誘されるがままにアクティブ・ファンドを買ってしまう傾向があります。他人任せなアクティブ投資家は、チャートが読めず、IR情報を分析出来ず、コスト意識もありません。

多くのアクティブファンドは、資産家から手数料を巻き上げるのに適切な設計になっています。ところが、他人任せなアクティブ投資家が、この事実に気付く事はありません。

なお、他人任せなアクティブ投資家がオフ会をしている所を私は見た事がありません。オフ会を行うのに十分な情報網を、誰も持っていないからだと思います。

どうしようもない投資家

ヒエラルキーの底辺は、どうしようもない投資家です。

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どうしようもない投資家は何も分かっていない

何も分からずに儲け話に乗る、どうしようもない投資家は、騙されます。

どうしようもない投資家は、明らかにあやしい金融商品の、異常に高い利回りに違和感を感じる事は出来ません。例えば日経平均リンク債を買う大多数の投資家は、債券とリンク債の違い(キャシュフロー特性)や、期待値についての情報を持っていません。

他人任せなアクティブ投資家と、どうしようもない投資家との決定的な違いは、場合分けが出来るか、出来ないか、です。他人任せなアクティブ投資家は、ファンドの基準価額が下がった場合に損をする事を分かっています。一方で、どうしようもない投資家は、金融商品の値段が下がる場合の事を考える能力がありません。

どうしようもない投資家は、うまくいった場合の事しか考えられないために、騙されるのです。

投資をしてはいけない投資家

投資の原則として「よく分からないものに手を出すな」があります。

「よく分かっていない事」が分かっていない、どうしようもない投資家は、投資活動をすべきではありません。