リスク資産への長期投資で必ず負ける場合とは?

プラスリターンの金融商品を長期運用すれば、長い目で見たら儲かりそうだと考えてしまう投資家は多くいます。ところが現実では、必ずしも儲かりません。特にリスクを取り過ぎた資産運用を長期間継続すれば、儲かるどころか必ず負ける事になってしまいます。

シミュレーション

ハイリスク・ハイリターンな金融商品

例えば四半期の平均リターン3%・リスク30%の金融商品を考えます。

この金融商品の年間でのリターン期待値は12%になります。ハイリスク・ハイリターンな金融商品に分類されます。過去記事リスクの取り過ぎは投資成果にどのように影響するか? レバレッジ運用はほどほどに?では、赤線で表現した金融商品に相当します。

金融商品の経時変化

下図は、その金融商品でのリターンの確率分布が、時間とともにどのように変化するかを示した乱数シミュレーションです。

動画中のave.は平均リターン、maxは最も運が良い投資家のリターンです。loserは、このリスク・リターンで運用する投資家が確率的に、10,000人中の何人が元本割れとなるかを示す数値です。

平均リターンは上がり、敗者は増える

この金融商品は、期中リターンがプラス(平均リターン3%)ですので、平均するとリターンは増えていきます。運が良いと大きく資産を増やす事ができ、最後には72倍とした投資家が現れます。

一方で敗者の数も時間とともに増加する傾向にあります。実はこの金融商品は、平均するとプラスリターンにもかかわらず、リスクが大きいために、長期投資をすれば必ず負ける(元本割れする)と言えます。(ε-δ論法で時間を長くとれば勝率をどこまでも小さくできます。)

なお、この金融商品の期待成長率を、ツールリスク資産の最適保有比率計算v2.0.xlsmを用いて数値計算したところ-1.8%とマイナス値が出てきました。

リスク過多の結果と対策

リスク過多の長期投資は必ず負ける

リスク過多の状態で長期投資を行うと、必ず負けます。

確かに良い投資(適切な運用)を行えば時間を味方にできるのですが、逆に悪い投資(不適切な運用)を行う際は時間は投資家の敵となるわけです。世間では「長期投資は良い事だ」という風潮がありますが、長期投資の良し悪しは運用手法抜きには語れません。

時間を味方にできるように、リスクを抑え、着実に成長できような手堅い資産運用を心がけたいものです。

リスクを減らす無リスク資産

リスクを減らした運用を行うためには、ポートフォリオに無リスク資産を組み入れる事が有効です。

無リスク資産の組み入れにより、ポートフォリオは安定化します。仮に恐慌が訪れてリスク資産が大きく減ったとしても、投資家は無リスク資産を投資元本として再起・復活が可能になります。

シミュレーションのソースコード

乱数は前回同様でROOTのgRandom->Gaus関数を利用し、PAWでプロットしました。

長期投資でリスクは減らない リスクはどう経時変化するか?何故「リスクが減る」という主張に騙されるのか?

長期投資でリスクが低減するという金融商品のセールストークがありますが、それは誤りです。運用期間が長くなるにしたがって、リスクは増える性質があります。

リスクがどのように増えるのかを、乱数シミュレーションによる動画を用いて説明します。

リスクとは?

資産運用の用語としてのリスクは、値動きの大きさを意味します。

例えばハイリスクな金融商品とは、大きく値上がりする可能性がある反面、大きく下落する可能性もある金融商品を指します。リスクは必ずしも価格下落の可能性を示す単語ではなく、値動きの大きさを示す指標として利用されます。

リスクはリターン分布の標準偏差で定量的に評価されます。多くの場合、リターン分布は過去の実績から取得します。そして今後もそのような値動きをするだろうと仮定し、将来の値動きの大きさの程度を推定する事になります。

リスク資産の長期保有シミュレーション

金融商品のパラメータ

シミュレーションでは、年間のリスクが20%、平均リターンが4%の金融商品を考えます。このリスク・リターンは、比較的強気な投資家が日本株の値動き特性として期待する値です。

この年間リスク・リターンは、四半期ではリスクは10%程度、リターンは1%程度に相当します。四半期ごとに値動きを観測し、4年間経過するまでのリターン分布を作成しました。

リターン分布の経時変化

動画は2種類です。上図は縦軸一定にした分布の広がり方を確認するため、下図は縦軸を調整しながら分布そのものの様子の詳細を確認するための資料です。横軸はリターンです。

最初の四半期でリターン分布は10%程度の広がりを持ち、時間の経過とともにリターン分布が拡大する様子を確認できます。下図右上のパラメータのmeanはリターンの平均値、RMSはroot mean squareの略で確率変数を二乗した値の平均値の平方根です。このRMSを資産運用におけるリスク値と考えて構いません。

リスクは増え続ける

シミュレーションから明らかなように、時間が経つにしたがってリターン分布は広がり続けます。RMSの値も一方的に大きくなります。長期投資では、リスクは拡大するのです。

時間が経つにつれ、相場が良い時は、増えた資産を元手にもっと多くの利益が出ます。逆に下落相場では資産が毀損し、将来の上昇相場のリターンの元手を失う事で損失が拡大します。このようなメカニズムで、リターン分布は時間とともに広がり続け、リスクは増大し続けます。長期投資でリスクが減る事はありません。

平均リターンがたとえプラスでも、多くの投資家は儲けられない

シミュレーションは、金融商品の平均リターンがプラスといえど、多くの投資家が損をする事がある事を示しています。時間推移を見れば、Mean(平均)の値は確かに増え続けています。にもかからず、(4倍以上に資産を増やす可能性がある一方で、)資産を減らすパターンが多く散見されます。

長期的なリターンは、リターンの平均値に近づくという主張がありますが、これは誤りです。負けている投資家は負け続けます。多くの投資家は負けて元本を失い、平均値に戻れなくなくなります。この性質は逆正弦定理という名前で広く知られています。

「長期投資でリスクが減る」という主張は何が間違っているか

ここまで読めば、長期投資でリスクが減らない事は明らかでしょう。では世間一般の「長期投資でリスクが減る」という主張は何が誤りなのでしょうか。

多くの場合、それらの誤った主張は「1年あたりのリスク」を提示します。「1年あたりのリスク」は「リスク」とは異なる概念です。そして長期投資家の興味は、長期運用におけるリスクであり、リターンである事を考慮すれば、「1年あたりのリスク」は役立たない、無意味な指標です。にもかかわらず、結論部分の「長期投資で報われる」という甘言は魅力的ですので、長期投資でリスクが減るという考えは誤りにもかかわらず、広く支持されています。

シミュレーションのソースコード

私個人の覚書を兼ね、コードを掲載しておきます。ROOTのgRandom->Gaus関数で乱数生成し、coutで取得、PAWマクロでプロットしました。

バフェット語録 世界で最も知られている大富豪の投資家は、何を考え資産を増やしたか?

ウォーレン・バフェットは、米国の著名な投資家・資産家です。バフェットの言葉は、資産運用の正しい手法について、多くの示唆を与えます。

バフェットの言葉を、語録としてこの記事にまとめました。英文の出典はWarren Buffett Quotesです。和訳はブログ主である私Kapokが行いました。

長期投資

誰かが座っている日陰

Someone is sitting in the shade today because someone planted a tree a long time ago.

今日日陰に誰か座っているのは、大昔に誰かが木を植えたからだ。

涼しげな木陰を提供してくれる木は、成長して利益を生み出す企業の象徴でしょうか。「先人を敬え」とも「遥か後世の利益を見据えろ」とも考えられる一文です。

いずれにしても木の成長のように、とても長い時間スケールで物事をとらえる視点の大切さが伝わってきます。

市場が閉じられたとしても良い

I never attempt to make money on the stock market. I buy on the assumption that they could close the market the next day and not reopen it for five years.

私は株式市場からお金を得ようと試みた事はない。明日から市場が閉じられて、5年後まで開かないという想定のもと、買っている

マネーゲームによる売買益で利益を上げるのではなく、企業の成長そのものを享受する事で利益を得る事を志向する、そんな意味の言葉だと考えられます。

選んだ銘柄を5年間ずっと持ち続けるためには、事業の長期的な発展性を見据える事が必要になりますが、その視野が大切だと考えている事も、うかがい知る事ができます。

保有期間

Our favorite holding period is forever.

私たちの好きな保有期間は、永遠です。

長く持つ事を志向し、それに耐えられるだけの厳選した銘柄での運用をすべきですね。

他者が貪欲な時に恐れ、恐れている時に強欲に

We simply attempt to be fearful when others are greedy and to be greedy only when others are fearful.

私たちはただ、他者たちが貪欲な時に恐れ、恐れる時にのみ貪欲になろうとしている。

楽観相場で慎重になり、悲観相場でのみ買い向かう姿勢について、バフェットが言及しています。

投資成果は買値と売値で決まります。皆が強欲になっている時に売れば高く売れます。皆が悲観している時に買えば安く買えます。

資産運用では、多くの人と反対の事をすると投資成果に繋がります。そのために、人々の相場観の観察をするのも良いかも知れません。

銘柄選択

普通の価格で素晴らしい会社を買う

It’s far better to buy a wonderful company at a fair price than a fair company at a wonderful price.

素晴らしい安値で普通の会社を買うよりも、素晴らしい会社を普通の値段で買う方が遥かに良い

普通の株を安値で拾うよりも、超優良企業の株を厳選したい、という一文です。慎重に慎重に選んだ銘柄に集中投資をし、短期的な割安さはあまり気にしないという投資哲学が窺えます。

値段と価値

Price is what you pay. Value is what you get.

値段はあなたが支払うもの、価値はあなたが得るもの

値段と価値との区別に言及しています。値段は株価という形で目に見えますが、目に見えにくい「価値」をいかに分析し算出するかが、株式個別銘柄を行う投資家にとって大切です。

時間は「素晴らしい会社」の友人だ

Time is the friend of the wonderful company, the enemy of the mediocre.

時間は「素晴らしい会社」の友人で、「二流の会社」の敵だ。

mediocre ・・・ 良くも悪くもない。二流の。

良い会社であれば時間と共に成長を続け、逆に二流の会社は、時代の変化に対応できずに衰退する様子を表現しています。

長期での投資を検討している、その会社に対して、時間は味方をするでしょうか。それとも敵になるでしょうか。そういう視点を持ち、投資判断をする事は大切ですね。

跨いで越せる1フィートのバーを探します

I don’t look to jump over 7-foot bars: I look around for 1-foot bars that I can step over.

私は7フィートのバーを、ジャンプして越えようとして見はしません。周りを見渡し、跨いで越せる1フィートのバーを探します。

foot ・・・ 長さの単位。30.48cmに相当。複数型はfeet。

look around for ・・・ ~を捜し求める、~を捜して辺りを見回す

難易度が高い事、リスクが高い事をするのは避け、着実に前進する事を薦めています。また、目の前の高いハードルだけを見ずに、周りを見渡すという冷静な視点の重要性を説いています。

もしもヒヤヒヤと保有株の決算跨ぎをしているのであれば、もっと世界の市場を見渡して、着実に儲かる株を探す方が良さそうです。「難易度が高い」と思った局面で、思い出したい一言です。

本日の投資家は、昨日の成長から利益は得られない

The investor of today does not profit from yesterday’s growth.

本日の投資家は、昨日の成長から利益は得られない。

過去に起こった事は、既に株価に織り込まれているために、そこから利益は得られません。過去の成長を調べるよりも、未来の成長を予測して投資判断をする方が賢明だということなのでしょう。

私も過去の事にこだわりすぎず、これからの未来についてを良く考え、予測をし、投資判断をしていきたいです。そうする事で頭の体操にもなりますし、きっと楽しいでしょう。

簡単なものを難しくするひねくれた人間

There seems to be some perverse human characteristic that likes to make easy things difficult.

簡単なものを難しくするのを好む、若干ひねくれた人間の特徴があるようです。

perverse ・・・ ひねくれた あまのじゃくの

難しくなっている事を見ても、実は簡単な事であるという主張です。

確かに企業分析をする場合も、抽象化・単純化をすれば、比較しやすくなります。例えば各種株価指数も、企業活動を単純化・数値化していますね。自分が分かるように咀嚼し、シンプルに考えて判断するのも良いかも知れません。

投資に限らず仕事でも、ちょっとした抽象化でシンプルに考えて、うまく判断できるように思考力を鍛えていきたいものです。

リスクマネジメント

お金を決して失うな

Rule No.1: Never lose money. Rule No.2: Never forget rule No.1.

ルール1:決してお金を失うな。ルール2:決してルール1を忘れるな。

損失を回避する重要性を、口を酸っぱくして述べています。リスク資産を運用する過程においても、損失の回避は資産の成長にとても重要です。お金を失わない、慎重な運用を心がけたいものです。

リスクは無知から

Risk comes from not knowing what you’re doing.
リスクは何をしているか分からない所からやってくる

日本でも「よく分からないものに投資をしてはいけない」と頻繁に言われていますが、投資をするならば良く調べ理解をする事が、思わぬ損失を避けるためには大切だという一文です。

リターンよりもリスクに焦点を当て、2000年頃のITバブルの局面でもハイテク株(よく分からない株)に手を出さなかったバフェットらしい言葉に見えます。

方舟を作る事

Predicting rain doesn’t count. Building arks does.

雨を予想する事は重要でない。方舟を作る事が重要だ。

市場が暴風雨に晒されても生き延びれるような資産運用が大切です。投資の元本が無くなれば、その後の成長が享受できません。

生活・習慣

習慣の鎖

The chains of habit are too light to be felt until they are too heavy to be broken.

習慣の鎖は、感じるのにはあまりに軽すぎます。壊すのに、とても骨が折れるようになるまで、気付きません。

平生の習慣についての言葉です。悪い習慣は自分では気付かないものですね。もしも悪い事に気づいたのであれば、早めに治す事を試みなければなりません。そうしないと治らなくなります。

良い投資は、良い習慣から生まれます。良い人生もまたそうでしょう。普段の習慣・生活には気を遣うべきです。

私も夜ふかしなど、悪い習慣だと思いつつ続けています。つい寝るのが遅くなるのですが、早寝はなかなか出来ません。早寝早起き出来るよう、気をつけていきます。

お金持ちになる事を疑わない

I always knew I was going to be rich. I don’t think I ever doubted it for a minute.

私はお金持ちになろうとしている事を、常に知っていた。1分たりとも、それを疑う事を考えなかった。

財産を築く人は、目標を高めに設定する傾向があります。勿論バフェットもその一人なのでしょう。

リスク資産は増えたり減ったりがありますが、減らさないための工夫を十分に行う事は大切です。資産が漸次増加するように、努力していきたいものです。

20年で得た名声を5分で失う

It takes 20 years to build a reputation and five minutes to ruin it. If you think about that, you’ll do things differently.

20年間で築いた名声は、5分で失う。もしその事を知っていれば、あなたは違った行動をするだろう。

立ち居振る舞いに関する言葉だと思いますが、文脈次第です。「資産を失うのは早いので慎重に運用せよ」という事を言っているのかも知れません。

あなたより優れた友人と付き合うのが良いでしょう

It’s better to hang out with people better than you. Pick out associates whose behavior is better than yours and you’ll drift in that direction.

あなたより優れた友人と付き合うのが良いでしょう。あなたより良い立ち居振る舞いをする仲間を選べば、あなたはその方向に行くでしょう。

hang out with ・・・ つきあう

優れた人々から良い影響を受けましょう。優れた人々は人に良い影響を与えます。

人の判断は、自分で決めたようで、必ずしもそうではありません。脳が判断という意思を生成した時にはもう、判断は決まっています。そしてこの判断は、環境や経験の影響を無意識にも受けています。だからこそ、望ましい人々を選び、良い影響を受けるように心がけたいものです。

勿論、投資に限った事ではありません。