バブル経済の形成と崩壊


バブル経済の形成と崩壊についてまとめます。

バブル経済は低金利で溢れたお金が資産に向かう事で形成されます。資産価値の高騰は供給を増やし需要を減らします。高騰した資産に買い手がつかなくなった時、バブルは崩壊します。バブル崩壊後の資産価値の下落は経済を悪化させます。

バブルの形成

多くのバブルは、低金利により溢れたお金が資産に向かう事で形成されます。いくつかの例を挙げます。

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平成バブル

例えば日本の平成バブルは、プラザ合意(1985年)後の円高不況の対応のための低金利政策が発端となりました。

低金利により企業はお金を活用しやすくなり、経済活動が活発になりました。企業は本業以外にも財テク(財務テクノロジー)により資産を増やそうとしました。余剰資金は値上がり益(キャピタル・ゲイン)が期待できる土地や株に向かい、地価・株価は高騰しました。

米国住宅バブル

リーマン・ショック2008年)を引き起こした米国住宅バブル(2005年〜2006年)は、インターネットバブル(2000年)の後の米国の低金利政策を発端としています。低金利政策により溢れたお金に加え、当時急成長ていたアジア諸国や産油国から巨額の外資が米国に流入し、住宅価格を高騰させました。

バブルのピーク

バブルのピークでは、急激な価格の高騰が起こります。

例えば住宅バブルでは不動産価格が上がっていった後、本当に住宅が欲しい人が急いで買うため不動産価格の高騰に拍車がかかりました。

実需は、価格が理論値(ファンダメンタルズ)と乖離していても買い付けを行うものです。この価格の高騰は、供給を増やし、需要を減らし続けます。実需がある間、価格は上がり続け、実需が無くなれば価格は急落を始めます。

理論値から大きく乖離するに到る価格の急騰と、その後の急落は、バブルの特徴です。

バブル崩壊

バブルのピークが過ぎれば、急激な資産価値の下落が起こります。資産価値の下落は、さまざまな側面から経済を悪化させます。

債務超過による消費の抑制

資産価値が急落すれば、債務超過に陥る企業や家計が急増します。お金が無ければ、積極的な消費は抑制され、経済は悪化します。

所得が上がれば消費が増え、所得が下がれば消費が減る効果を所得効果と言います。バブル崩壊後は、所得効果により消費が減り、経済活動の悪化が進行します。

供給過多によるデフレ圧力

価格高騰時に供給が増えているため、バブルが崩壊すれば、需要と供給の不均衡により価格の下落に歯止めがかかりにくくなります。

供給は簡単には減りません。住宅バブルであれば、着工した不動産は(普通)完成しますし、原油バブルであれば完成した採掘施設が石油を掘り出し続けます。そしてこの供給過多は強いデフレ圧力となり、経済活動の悪化に繋がります。

金融機関の機能不全

不良債権の増大は、金融機関の投資・貸し出しを慎重にします。金融機関がお金を貸す機能を失えば、市場へお金が回らなくなり経済を悪化させます。

金融機関が、経営に問題がない企業に対しても貸し出しに慎重になり、新たな融資を断ることを「貸し渋り」と言います。既存の融資を引き揚げたりすることを「貸し剥がし」と言います。バブル崩壊後は、このような金融機関の機能不全が深刻化します。

参考・関連

日本の平成バブル

日本の平成バブルについての詳細は、下記の記事が詳しいです。平成バブルの形成から崩壊までの過程が、政策・当時の経済状況とともに、非常に詳しく記述されています。

バブルの歴史

下記の「バブルの歴史」には、バブルについての資料が凝縮されています。一つ一つの記事は短いので読みやすい構成です。日本のバブルのみならず、海外のバブルや、バブルの歴史についてのコンテンツが含まれます。

バブルの歴史(株式会社MRI三菱総合研究所)

マイナス金利 何故起こるか?どのような影響があるか?


マイナス金利は、金利が0%よりも低い水準にある状態です。つまり債券価格が値上がりし、将来受け取る利金と償還金の合計よりも高くなった状態を指します。

この状態は、中央銀行が金利をマイナスの値とする等の政策によって引き起こされます。マイナス金利の債券を買い償還時まで保有し続けると、元本割れを起こします。

マイナス金利とは?

通常の債券とマイナス金利の債券

マイナス金利は、債券価格が高騰する事で起こります。

通常の債券

通常の債券は下図のように、買い付け価格に対して、将来受け取る償還金と利金の合計金額が高く設定されています。これがプラス金利の状態です。

債券投資をする投資家は、投資期間に資金が拘束されてしまう対価として、多くの受け取り金を期待します。つまり、債券の金利はプラスである事が自然です。
通常の債券
↑通常の債券では、債券価格よりも受け取り金(償還金+利金)が高くなり、利回りがプラスの状態になっています。

マイナス金利の債券

一方でマイナス金利の債券は下図のように、債券価格が高騰し、買い付け金額よりも、将来受け取る償還金と利金の合計金額が低くなった状態です。

マイナス金利の債券に投資した投資家は、もしもこの債券を償還時まで保有すれば損をします。債券がマイナス金利になるまで買われる事は、通常は起こらない異常な事態です。
マイナス金利の債券
↑マイナス金利の債券では、債券価格よりも受け取り金(償還金+利金)が低くなり、利回りがマイナスの状態になっています。

マイナス金利は何故起こるか?

マイナス金利の状態は、中央銀行の政策や、マイナス金利でも買い付けを行う投資家によって引き起こされます。

中央銀行の政策によるマイナス金利

中央銀行が、当座預金の金利をマイナス値にしたり、国債を買い価格を暴騰させる事で、債券の金利はマイナス値となります。

当座預金の金利をマイナス値にする

例えば日本では、2016年1月29日に日本銀行が、金融機関から預かっている当座預金の一部の金利をマイナスに引き下げる事を決めました。日銀の金利は、基礎残高に対して0.1%・マクロ加算残高に対して0%・それ以外の部分に対してマイナス0.1%になります。

これらの区分の内訳・詳細は、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入日本銀行)で閲覧できます。

日本国債を購入し、価格を高騰させる事でマイナス金利にする

日本銀行は国債を購入し、価格を高騰させる事でマイナス金利の状態を作ります。

再び上記の資料の文言ですが、「マネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。」とあります。マネタリーベースは資金供給量の事です。日銀は国債を年80兆円購入する事により、お金を市場に流す予定です。

国債価格が上がれば、金利が下がりマイナス金利となります。

なお、これらマイナス金利政策の概要については、やはり日本銀行5分で読めるマイナス金利日本銀行)が詳しいです。

マイナス金利でも買い付けを行う投資家

マイナス金利でも買い向かう投資家により、債券価格の高騰と金利低下が進行する事があります。マイナス金利で買い向かう投資家の目論見には、債券の値上がり期待と通貨高(円高)期待の2種類があります。

債券の値上がり期待をしている投資家

今後も更なる債券価格高騰と金利低下の進行を予想している投資家は、マイナス金利でも買い付ける事が合理的です。より高値で売る事を目論めるからです。

通貨高(円高)を予想している外国人投資家

外国人投資家の中には、低金利でも通貨高(円高)となる事を予想していれば、マイナス金利で買い向かう事が合理的です。

マイナス金利によって仮に円建て資産が名目値で下げたとしても、通貨高によりカバーできるからです。

マイナス金利政策の各資産への影響

金利がマイナス値へと変化した事により、各種資産は値を動かしました。

債券価格の高騰・マイナス金利

債券価格は高騰し、マイナス金利となりました。

債券価格の高騰

国内債券ファンドの基準価格の推移は、債券価格が高騰した事を示しています。

債券インデックス・ファンドの基準価額推移

下図は、SMT 国内債券インデックス・オープン(モーニングスター)から取得した、国内債券インデックスファンドの基準価額(分配金込み/再投資)の推移です。期間2011/6/3〜2016/5/27の5年間のチャートです。
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この期間は、アベノミクスの金融緩和で国債が購入され高騰傾向にありますが、日本銀行がマイナス金利政策を発表した2016年1月29日以降にこの高騰に拍車がかかっています。

なぜファンドの基準価額が上がるのか?

金利が低下した局面では、既に流通している債券の利回りが高水準に見えるようになるため、魅力が増します。このため、それらの債券の買い手が増えます。結果として債券価格は上昇し、債券ファンドの基準価額は上昇していきます。

高値掴みの危険

敬虔な統計屋は、チャートから帰納的に国債への投資が低リスク・高リターンだと評価する事でしょう。ですが現実的・本質的には、マイナス金利の債券に投資妙味はありません。保有すれば減るからです。

日経平均株価が史上最高値38,957.44円をつけた1989年12月29日も、株は低リスク・高リターンだと評価されていました。我々は、これと同じ景色を見ています。マイナス金利政策により高騰した債券価格は、いつかは下落して元の水準に戻ると考えられます。

1989年のバブル絶頂期を含む株価チャートを日経平均株価の超長期チャートに掲載していますので、参考としてご確認頂けます。

イールドカーブ

下図はイールドカーブで、2016年6月3日に日本-国債(jp.investing.com)から取得しました。
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イールドカーブは、残存期間が異なる複数の債券などにおける利回りの変化をグラフにしたものです。横軸が残存期間、縦軸が利回りです。

金利は残存期間が7年以下の国債で-0.22%〜-0.27%と、マイナス値で推移しています。

不動産価格の高騰

不動産価格も高騰しています。

下図は、東京カンテイ プレスリリース / 中古マンション価格 2016年5月26日から引用・取得した、三大都市圏および都府県 70㎡あたりの中古マンション価格の推移です。
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首都圏を中心に、不動産価格が不自然に高騰し推移している事が分かります。日本の人口分布を確認すれば分かる通り、現在少子高齢化が進行し、住宅需要(実需)は確実に減りつつあります。にもかからわず現在は、金利低下により投機的に住宅は買われています。

昨今では新聞のチラシ等で、「低金利ではローンが組みやすく、いま不動産は買い時です。」という不動産業者の営業の文言がありますが、「買い時である」と考えるのは早計です。

なぜなら、上記の通り低金利では不動産価格が高騰するため、不動産の購入は不利だと言えます。低金利で不動産を購入した者は、金利上昇局面に入った際に、ローンの負担の増加と不動産価格の下落とで、ダブルパンチの被害を受けます。

なお、2008年リーマン・ショックの発端となった米国サブプライムローン問題は、金利上昇と不動産価格の下落が引き金となりました。現在はリーマン・ショック前に似ています。日本版サブプライムローン危機は、現実味を帯びつつあります。

その他マイナス金利政策の影響

MMFの受付停止・償還

マイナス金利は、国内債券ファンドの1種で、国債等で運用するMMF(マネー・マネジメント・ファンド)の受付停止・償還を招きました。

MMFは、本来は元本保証が期待されている金融商品です。ところが、債券価格の上昇は債券利回りの急低下を招き、金利はマイナス圏に突入しています。利回りがマイナス値では、元本保証はできません。そのため、MMFは受付停止が相次ぐ事態になりました。

日本国債の保有者の変化

マイナス金利政策下で、日本国債の保有者は銀行から日銀に変化しました。

下図は、日銀と銀行の国債保有残高の推移です。毎日新聞のサイトのこちらから取得しました。

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保有により資産が目減りするマイナス金利の国債に魅力はなく、銀行が国債を売却し、日銀が購入するという構図が続いています。

行政の怠慢の誘発

国債がマイナス金利になれば、政府は低コストで国債を発行できるようになります。財政赤字の国家にとって、これは本来望ましい事のはずです。

ところが残念な事に、行政の怠慢・無駄遣いを誘発するため、長期的には悪影響が出てきます。2016年6月1日にも、消費増税延期等を通して財政赤字を悪化させる予定である事が発表されています。

安倍首相、消費増税の再延期を正式表明 19年10月に

まとめ

マイナス金利は、債券価格が高騰し、買い付け金額よりも、将来受け取る償還金と利金の合計金額が低くなった状態です。

マイナス金利の状態は、中央銀行の政策によって引き起こされます。日本においては、日本銀行が当座預金の金利をマイナス値にしたり、日本国債を購入し価格を高騰させる事でマイナス金利の状態を作っています。

2016年1月29日に日本銀行がマイナス金利政策を発表して以降、債券価格は上昇し、マイナス金利状態になりました。不動産価格の高騰にも拍車がかかっています。