メイ英首相のEU離脱演説とトランプ氏の口先介入により円高進む

メイ英首相のEU離脱演説とトランプ氏の口先介入により円高が進行しています。

画像:米ドル/円 の詳細情報(みんなの外為 2017/1/18 1:39)

メイ英首相のEUからの完全離脱を明言した演説は、事前にある程度予測されていたとはいえ、リスクオフと円高を招きました。その後、議会の承認を通すという文言が安心材料となり、ポンドは一旦急回復しました。

ところが今後はトランプ氏が、ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)でのインタビューにて、「ドルが強過ぎるため、米企業は中国と競争できない」と言及しました。これによりドル売り圧力がかかり、再び円高が進行しました。

参考:

ドル円は安値圏での推移続く メイ演説は一服もトランプ氏の発言が重し(Yahoo!ファイナンス)

Trump Comments Send Dollar Reeling(The Wall Street Journal)

Brexit(2016年)前後の日経平均株価チャート 英国のネガティブ・サプライズによる日本株への影響は?

2016/6/23(木)に実施された英国の国民投票により、英国のEU離脱(Brexitが決まりました。

これにより欧州経済の停滞が予想され、世界各国の株価が下落しました。日本株も例外でなく、大きく下落しました。当時の日経平均株価チャートを投稿します。

日経平均株価チャート

下図は、Brexit前後の日経平均株価チャートです。

brexit2016-n225

元データは株価データ倉庫から取得しました。

Brexit前日まで

6月20日から6月23日にかけては、ブックメーカー(賭け業者)の倍率からEU残留の確率が高いと予想されたため、日本株は買い戻されていました。

Brexitが明らかになった6月24日

多くの投資家の予想に反して、蓋を開けてみればEU離脱(Brexit)となりました。このネガティブ・サプライズにより、世界各国の株は大きく売られました。この日、世界の時価総額は330兆円が消失しています。

Brexit 英国EU離脱による株価下落と世界経済について

6月23日に16,238.35円で引けた日経平均株価ですが、Brexitが明らかになった翌6月24日(金)の終値は14,952.02円となりました。前日比で1,286.33円安(-7.92%)の大暴落です。

その後の日経平均株価

その後、多少の買い注文が入っていました。それに加えて、7月8日(金)米国雇用統計の結果が非常に良かった事が、相場の上昇基調を確定的なものにしました。

資産運用で気を付けたい事

株価は時に暴落します。ブラックマンデー(1987年)のように突如として急落する事もありますし、リーマン・ショック2008年)のようにじりじりと下がり続ける事もあります。

ブラックマンデー(1987年) 日経平均株価はどう暴落したか?その後どうなったか?

リーマン・ショック(2008年) 日経平均株価はどう暴落したか?

暴落相場においても落ち着いて最善の行動が取れるように、保有資産の内容確認やストレステストの実施など、事前にできる事を怠らないよう注意したいものです。

ストレステスト(iFinance)

Brexit(2016年)前後の米ドル/円為替チャート 円高はどう進行したか?

2016/6/23(木)に実施された英国の国民投票により、英国のEU離脱Brexit)が決まりました。

これにより欧州経済の停滞が予想され、世界各国の株価が下落しました。有事の円買いから日本円に買いが入り、米ドルに対しても大きく円高が進行しました。

Brexit前後の米ドル/円為替チャートを投稿します。

Brexit前後の米ドル/円為替チャート

チャート

下図がBrexit前後の為替チャートです。

brexit2016-usdjpy

データは株価データ倉庫から取得しました。

Brexit

Brexit前週の6月13日から6月17日は、Brexitによる世界経済の悪化を予想する投資家が多く、円高が進行しました。

Brexit直前の6月20日から6月23日にかけては、ブックメーカー(賭け業者)の倍率からEU残留の確率が高いと予想されたため、買い戻しの円安が進行しました。

Brexitの確定直後

2016/6/24(金)に国民投票の結果が明らかになり、Brexitが確定しました。

投資マネーは有事の円買いから日本円を買いました。結果として急激な円高が進行し、為替は乱高下しました。この日、米ドル/円は、始値106.345、高値106.797、安値97.424、終値102.246となっています。高値から安値まで、9.373円も動いた事になります。

為替を説明するのに欠かせない参考資料として、この日の各国株価動向についても触れておきます。

Brexitの確定直前では、多くの投資家はEU残留を予想していました。そのため、EU離脱はネガティブサプライズとなり世界各国の株は大きく売られました。この日、1日で世界の株式時価総額は約3.3兆ドル(330兆円強)消失しています。

Brexit 英国EU離脱による株価下落と世界経済について

Brexitその後

その後7月8日までは円高基調が続きますが、7月8日(金)米国雇用統計の結果が非常に良かった事が相場の流れを変えました。

7月8日の雇用統計にて非農業部門雇用者数が前月比28.7万人増(予想18.0万人増)と発表され、非常に良い指標となった事で米ドルが買い戻されました。そして7月11日(月)以降はドル高・円安が進行します。

参考:米雇用統計 2016年7月8日の結果と解説(外為どっとコム)

Brexit為替動向から何を学ぶか?

サプライズは為替を大きく動かします。そしてこの急激な円高は海外資産を大きく目減りさせ、かつ、日本の輸出企業の利益を削ぎ落とす事で、日本株の株安を招きます。

資産運用をする場合、相場の急激な変調に対しても対応できるよう、資産配分に余裕を持たせたいものです。

Brexit 英国EU離脱による株価下落と世界経済について

2016/6/23(木)に実施された英国の国民投票により、英国のEU離脱Brexit)が決まりました。

この英国のEU離脱はネガティブサプライズとして大きなニュースとなりました。開票によりBrexitが明らかとなった6/24(金)は、世界各国の株価下落が起こりました。Brexitにより、今後の世界経済の停滞が訪れる可能性が濃厚になっています。

株式への影響

英国のEU脱退が決まり、翌日6/24(金)は世界各国の株価が大きく下落しました。

世界各国の株価動向

下図は、各国の株価動向です。2016/6/25に、世界の株価から取得しました。

Brexit2016-06-24

各国で株価が大きく下落した様子がうかがえます。

この日、わずか1日で世界の株式時価総額は約3.3兆ドル(330兆円強)消失しました。この金額はドイツのGDPに匹敵する巨額なものです。

世界の時価総額、1日で330兆円消失 金融株に売り集中(日本経済新聞)

イギリス

震源地のイギリスの株価指数(FTSE)は、3.15%下落しました。名目値では他国に比べ小さな下落であり、一見すると影響が小さいように見えます。

ところがポンドが売りを浴び通貨安となっており(後述)、これを加味すれば、実質的には大暴落です。

ドイツ・フランス

ドイツ(DAX)は6.82%の下落、フランス(CAC40)は8.04%の下落です。震源地のイギリスよりも不安が広がっています。

イギリスに続くEU離脱国家が出て来れば、欧州経済圏の崩壊が視野に入って来ます。その影響が織り込まれたようです。

次のEU離脱国を表すNEXITなる単語が流行の兆しを見せています。具体的な国名を伴う、Swexits(スウェーデンの離脱)、Czexits(チェコの離脱)、Frexits(フランスの離脱)等の単語が出てきました。

Who will be NEXIT? The Swexits, Czexits and Frexits that could follow Britain out of the EU… and the aftershocks hitting continent

イタリア・ギリシャ

イタリア(MIB)は12.48%の下落、ギリシャ(アテネ総合)は13.42%の下落です。ドイツ・フランスと比べて下げ幅が大きくなっています。

2010年欧州ソブリン危機の再来が視野に入った事により、売りを浴びています。PIIGS(豚ども)と揶揄される、経済基盤が脆弱な国々の株価下落が顕著です。

ネガティブサプライズ

6/23(木)の国民投票の当日まで、残留派の優勢が伝えられていたために、イギリスのEU離脱はネガティブサプライズとなりました。この事が、6/24(金)の世界各国の株価暴落に拍車をかけました。

ブックメーカー

ブックメーカーは「賭け業者」を意味します。英国がEUに残留するか、それとも離脱するかは、賭けの対象となっていました。そして6/20時点では残留の予想が優勢でした。

英国のEU残留確率72%に、前週末から上昇=ブックメーカー(6/20)

一般的に、賭けは集団の知恵(集合知)が働くために、予測の精度は高い事が知られています。そのため、ブックメーカーにおいて残留の予想が優勢である事を受けて、多くの投資家は残留を予想した楽観的な投資行動を取りました。

ところが結果はEU残留ではなくEU離脱です。多くの投資家の予想と異なる結果は狼狽売りを誘い、世界各国の株価が下落しました。

ブックメーカーの予想が外れた理由

ブックメーカーの予想は、掛け金の偏りにより外れました。

ブックメーカーの賭け金の多くは残留派が多くを占めるロンドンでのものであり、集団の知恵(集合知)が機能する要件である分散性が欠如していたからとされます。

なお、集合知については、下記のリンクのレポートが詳しくなっています。

他の誰よりも優秀な予想家が存在する?

為替への影響

ポンド暴落

英ポンドは暴落しました。ポンド/円は11.43%の大幅円高になりました。下図は毎日新聞のマーケット速報から、2016/6/25に取得しました。

BrexitGBT2016-06-24

ドル安・円高

ポンドのみならず、有事の円買いにより、安全資産とされる日本円に買いが集中しました。これにより、対ドルでも円高が進行しました。1日で8円もの円高をつけています。下図は、米ドル/円(Yahoo!ファイナンス)から2016/6/24に取得しました。

BrexitUSDJPY2016-06-24

より長期の為替チャートは、記事Brexit(2016年)前後の米ドル/円為替チャート 円高はどう進行したか?に投稿しています。

経済への影響

英国経済・欧州経済

英国や欧州の経済は、悪化するとの意見が多数です。

欧州経済圏でのアクセスが不自由になり、景気悪化へ

EU脱退により、英国は欧州の経済圏へのアクセスに不自由が発生します。関税はモノの流れを阻害しますし、人の移動も今よりは難しくなるでしょう。これらの事から英国経済へマイナスの影響が出ます。

更に、これだけに留まらず、英国は金融市場の中心地であるため、影響は欧州各国に波及します。

設備投資に慎重になる企業

環境変化による不安要素が多いため、企業は設備投資に慎重になっています。

設備投資が上向かない状態が続けば生産性の低迷を通じて、世界景気の悪化に繋がります。

英国債の格下げとその影響

英国債は格下げ

それに伴う景気悪化やポンド安の影響を加味し、ムーディーズは6/24に、英国債の格下げの可能性を発表しました。

ムーディーズ、英国債格下げも EU離脱(朝日DIGITAL)

その後6/27には、結局英国債の格付けは、S&Pで2段階の格下げ、フィッチは1段階格下げとなりました。

英国を最上級から2段階格下げ、S&P-フィッチは1段階下げ(Bloomberg)

英国債の格下げの影響

この英国債の格下げは、英国銀行の格下げを招きます。そして英国の銀行が発行している債券は約70兆円と推計されており、日本を含む世界中の投資家が投資しているため、債券価格が下落すれば影響はグローバルに拡散していきます。

焦点:英EU離脱に市場大混乱、「リーマン」と異なる波及経路に警戒(ロイター)

英国の不動産価格の下落

英国では不動産価格が下落しています。

Brexitにより英国の欧州拠点地としての魅力が薄れる事から、商用不動産の価格が下落しています。流動性も枯渇している様子で、英不動産ファンドは7社が解約停止をするという混乱状態になりました。

英不動産ファンドの混乱拡大、解約停止7社に増加

日本経済

遠く離れた日本にも影響しそうです。日本では特に、輸出企業の減収と景気悪化が予想されます。

日本の輸出産業は、欧州景気悪化による需要減により、売上を減らす事があります。更に有事の円買いによる円高により、為替差損を被ります。輸出産業中心の日本経済は、これらの影響により景気悪化する事が予想されます。

また、デフレの進行も予想されます。上記円高により、海外の物が安く手に入るようになりますので、物価の下落(デフレ)が進行します。

荻原博子氏、デフレ脱却できず給料も上がらない…英EU離脱へ