無リスク資産組入れで、ポートフォリオの資産の成長性が高まる理由について

ポートフォリオ無リスク資産を組み入れる事で、資産の成長性が高まる事があります。

もし無リスク資産を持っていれば、たとえ株式が暴落したとしても、そこでリバランス(資産配分を元に戻す)を行う事で、成長資産への投資が維持できるからです。

なお、定量的な分析のために「成長性の計算ツール」を作成しましたので紹介します。

株式への全力投資の問題点

無リスク資産を保有せず、株式へ全力投資する運用は問題点を抱えています。

例えば前回、「多くの市場参加者が、平均値に負ける仕組みと構造」という記事を書きました。この記事では株式投資をする投資家の成績分布について考察しました。

とはいえ現実的な資産運用では、このシミュレーションのような、株式への全力投資は望ましくありません。運用資産の中身が株式に偏れば、リターンは大きいですが、リスクが過剰です。これは●●ショックといった金融危機が起こった場合に、資産を大きく削る事を意味します。

その場合は、投資元本が小さくなるため、以降の株価上昇の恩恵を十分には享受できなくなってしまいます。結果として、長期的な資産成長が期待できなくなります。株式全力投資は、持続可能な資産の成長の観点で、問題があると言えます。

 

無リスク資産の利用による成長資産への投資の維持

無リスク資産の保持は、持続可能な資産の成長のために重要です。

投資家であれば、上記の例のような、リスク過剰による投資元本の致命的毀損を防ぎたいと考えます。そのためには、資産の一部を無リスク資産(収益が確定的な資産)で持つ事が有効です。

もし無リスク資産を持っていれば、株式が暴落したとしても、そこでリバランス(資産配分を元に戻す)を行う事で、成長資産への投資が維持できます。無リスク資産を保持していれば、投資元本を失い再起不能になる事態を、避ける事ができるわけです。

 

リスク資産への投資比率別の期待成長率

無リスク資産の組入れで、資産の成長率が高まる事を図示します。

下図は、リスク資産への投資比率別で期待できる成長率です。リスク資産のリターンは、平均4%、標準偏差は22%を想定しています。無リスク資産の金利は1%です。

リスク資産への投資比率別期待成長率

成長率は、リスク資産への投資比率が0%の場合、無リスク資産と同じ1%が期待できます。左端の点がこれに相当します。

リスク資産の組み入れ比率を増やすに従い、リスクの対価としてのリターンが享受できるようになります。そしてリスク資産60%・無リスク資産40%程度で、期待成長率が最大となります。この縦軸が最大値をとる資産配分を、対数最適の配分と呼びます。

対数最適の配分から、更にリスク資産への投資比率を増やすと、今度は逆に成長性が低くなります。リスク資産の持ち過ぎは、値下がりした時の悪影響が、それ以降の投資元本を毀損し、成長性を低くします。そしてリスク資産への全力投資(投資比率が100%である右端の点)では、期待できる成長率が1.6%程度まで下がります。

対数最適化の点より右側の点は、「報われないリスク(リターンの変動)」を取っていると言えます。ポートフォリオへの無リスク資産の組み入れは、合理的な資産成長に有効です。

なお、対数最適化点でもかなり過激なリスク値を取っていると言われています。現実の運用では、これより多くの無リスク資産を組み入れる事が好まれます。(半ケリー・ハーフケリーといったキーワードは有名です。)

 

パラメータ依存性と、ツールの利用について

ツールを紹介します。

シミュレーションでは、リスク資産のリターンは、平均4%、標準偏差22%を想定しました。ところが現実の資産運用では、リスク資産の特性がこの値になるとは限りません。

当然ですが、期待成長率は、想定しているリスク資産のリターン分布の平均値・リスク(標準偏差)に依存します。パラメータを変えた場合の成長についてを調べるための、ツールを公開します。Excelマクロです。ソースコードも以下に貼っておきます。

ツールはリターン分布(正規分布)を分割し、各区間での資産成長を対数で集計します。これをリスク資産への投資比率を変えながら繰り返します。

成長性を最大とする資産配分を見つけるために、ツールがお役に立てば幸いです。

 


関連記事
カテゴリー: ポートフォリオ タグ: , , , ,
無リスク資産組入れで、ポートフォリオの資産の成長性が高まる理由について” への1件のコメント
  1. Tansney Gohn より:

    このグラフは初めて見ました。
    もっと広めても良さそうですね。
    私の場合は無リスク50%ぐらいです。

    • Kapok より:

      > Tansney Gohnさん

      ありがとうございます。

      確かに正規分布で、これを計算している人は私も見た事がありません。ですが、この手のグラフ(シナリオ4つ版)や、詳しい理論は下記に詳しいものがありますね。

      http://www.geocities.jp/y_infty/management/criterion_1.html

      ちなみに私も、無リスク資産が50%程度の人です。(ヘッジ債等の低リスク資産を含み50%程度を目指しています。)

  2. ニシ より:

    初めまして。
    薄給公務員のインデックス投資のニシと申します。

    貴ブログの分析は素晴らしいと思い、相互リンクをお願い申し上げました。

    【URL】http://hakukyukoumuin.blog.shinobi.jp

    【ブログ名】薄給公務員のインデックス投資

    【管理人】ニシ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。