暴落での損失回避と、暴騰でのリターン享受とでは、どちらが大切か?

資産運用を行う上で、「暴落での損失回避と、暴騰でのリターン享受とでは、どちらが大切か」について考えます。結論は、「暴落での損失回避の方が重要」です。

まず始めに株式市場における暴騰・暴落の存在について、下記画像を利用し説明します。次に損失回避の重要性について、理論とバックテストの結果(外部サイトの分析を参照)を踏まえて紹介します。

株価の暴騰と暴落

日経平均株価の騰落率分布

下図は、日経平均株価の1営業日でのリターン分布です。

日経平均株価の1営業日リターン分布(ガウスフィットつき)

1949年5月17日から2015年7月10日までの、前日比の株価データ(13,320日分)を利用し、作成しました。

青のヒストグラムが日経平均株価のリターン分布で、赤の曲線がガウスフィットの結果です。横軸が騰落率(%)、縦軸は日数です。暴騰・暴落に注目するために、縦軸は対数表示にしています。

 

正規分布を大きく外れた暴騰・暴落の存在

もしも株価がランダム・ウォークをしていれば、騰落率分布は正規分布をするはずです。ところが実際の市場では、市場参加者の行動(すなわち売買の方向)が一致するようなイベントがあり、正規分布を大きく外れた株価の暴騰・暴落が起こります。

上図の正規分布(赤線)から外れた暴騰・暴落の部分は、別名で呼ばれる事があります。左側(暴落)が「ブラック・スワン」、右側(暴騰)が「稲妻が輝く瞬間」です。

この両端の例外値のうち、資産形成に大きな影響を与えるのは、「暴落部分」になります。

 

損失回避の重要性

単純化された市場での資産成長理論が示唆する事

次のリンクは、資産成長を最大化する理論を、単純化した市場に適用した時のお話です。

【例題1】通常の市場 【例題2】低確率で暴騰ありの市場 【例題3】低確率で暴落ありの市場 です。それぞれを比較した結果は、【例題3】低確率で暴落ありの市場 だけが、最適な掛け金が他の2つと大きく異なり、慎重な運用が要請されます。

最大損失 リンク確認:2015/7/14

暴落で掛け金を失えば、後の資産成長で得られたはずの複利的なリターンを失います。このため、暴落についての対策は、暴騰を享受するための取り組みよりも大切です。

たとえ低確率でも、暴落は資産成長の戦略に大きく影響します。

 

暴落回避と暴騰享受の効果の、バックテストでの検証

下記のリンクには「市場を離れた結果として、暴落を回避できた場合と、暴騰を享受できなかった場合」についての検証結果があります。4,818日の日経平均株価を利用したバックテストです。

検証結果の結論は次のようになります。暴騰・暴落込みで19,780円になるはずの日経平均株価は、ベスト24日の暴騰が無かった場合に4,623円になっていました。他方、ワースト24日の暴落を回避した場合は、110,251円になっていました。

日経平均 4,600円と11万円 「稲妻が輝く瞬間」を再考する リンク確認:2015/7/14

元の日経平均株価19,780円と比べると、14,962円が暴騰享受分で、90,471円が暴落回避の分と言えます。暴落回避は暴騰享受に比べ、資産形成に大きな寄与をしています。

 

Warren Buffettの言葉

名高き投資家バフェット氏の言及に、損失回避の重要性についてのものがあります。

Rule No.1: Never lose money.
Rule No.2: Never forget rule No.1.

ルール1 決してお金を失ってはならない ルール2 決してルール1を忘れてはならない

Warren Buffett Quotes リンク確認:2015/7/14

 

まとめ

市場は稀に暴落・暴騰をします。この内、暴落が暴騰に比べ、資産形成の戦略に大きく影響します。暴落を回避する事ができるのであれば、資産は大きく成長します。

 

参考・関連記事

リーマン・ショックでの株価暴落

2008年のリーマン・ショックでは、わずか4ヶ月の間に株価が半値になりました。下記の記事は、リーマン・ショック時の相場の様子の記述です。金融危機が起これば、株価は大きく下落するため、注意が必要です。

リーマン・ショック前後の日経平均株価チャート、および2008年の相場について

 

rootマクロ

今回のアイキャッチ画像は、騰落率データをrootマクロで読み込み、ヒストグラムを生成・表示し、ガウスフィットをする事で作成しました。

解析で使用したマクロのコードをメモしておきます。

 

暴落回避のための投資戦略

暴落を回避するためには、暴落しそうな時にポジションを閉じれば十分です。とはいえそれは簡単ではありません。代替策として、暴落が考えられる市場では、無リスク資産を保有しておくという戦略があります。

無リスク資産を保有すれば、たとえ株価が暴落したとしても、投資元本をある程度維持できます。そしてその後の株価回復の恩恵を享受できます。このように、無リスク資産の保有は資産の成長性を高める事があります。

無リスク資産組入れで、ポートフォリオの資産の成長性が高まる理由について

 

 

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