アセット・アロケーションが十人十色である理由

アセット・アロケーションが十人十色である理由

アセット・アロケーションは投資家それぞれ、十人十色です。その理由として、

  1. アセット・アロケーション構築に使える、「決定的なデータ」が取得出来ない
  2. そもそもアセット・アロケーションは投資成果にあまり大きな影響を与えない
  3. リスク許容度には個人差がある

といった事が挙げられます。これらの詳細について投稿します。

パラメータの高精度での取得が難しい

資産成長に合理的な比率は、アセット・クラスのリスク・リターン・相関係数を求め、そこから計算する事になります。ところがリスクや相関係数は流動的です。更にリターンの推定は難しい問題です。

パラメータの推移と流動性については、Funds-i鵜目鷹目のコンテンツ「ポートフォリオにおける米ドル建て新興国債券(円ヘッジ)の位置づけ」などで確認できます。

この流動性のために、アセット・アロケーション構築に使える、「決定的なデータ」の取得はできません。利用するパラメータの推計値は、投資家毎に多少は異なります。異なる推計値は、異なるアセット・アロケーションを導きます。結果として、アセット・アロケーションの個人差は広がります。

 

アセット・アロケーションは投資成果にあまり関係ない

投資成果に大きく影響するのは、実はマーケット

長期的に考えた場合、そもそもアセット・アロケーションは投資成果にあまり大きな影響を与えません。投資成果に影響を与えるのはマーケットです。マーケットの値動きを加味した場合、アセットアロケーションの成績説明力は大きく下がります。

これについて、2010年にアセット・アロケーションとアクティブ運用の等しい重要性「The Equal Importance of Asset Allocation and Active Management」という論文が出ています。

この論文について、日本語で概要を読む事ができます。投資日記のコンテンツ「アセットアロケーションについての話」です。

リスク・リターンが同じであれば、似た値動きをする

例えばリスク11%、平均リターン2%の2つのバランスファンドは、たとえアセット・アロケーションが大きく異なる場合も、長期的には概ね同じように資産が成長します。アセット・アロケーションはバランスファンドの値動きを十分説明しますが、そのアセット・アロケーションはその値動きのために必要なわけではありません。

アセット・アロケーションの内、リスク資産の内訳、例えば外国債券クラスが多い少ないや、内外REITクラスの多い少ない等は、長期的な運用成果に対して、大きな影響は与えないようです。

国内のバランスファンドの値動きを使い、細かいアセット・アロケーションの違いが運用成績へあまり影響しない事を示した記事もあります。「バランスファンドのリターンは TOPIXが9割を決める」です。回帰分析の決定係数(R2)が大きくなっている事に注目です。

このように、アセット・アロケーションの違いが運用成績の違いには直結しません。この事はアセット・アロケーションの選択の自由度を上げ、アセット・アロケーションの個人差が大きくなる理由になります。

 

リスク許容度の問題

許容できるリスクの大きさは、アセット・アロケーションに影響を与えます。大きなリスクを受け入れられない投資家は、アセット・アロケーションを安定的なものにするべきです。保有する低リスク資産・無リスク資産の比率を増やせば、アセット・アロケーションのリスクは下がります。

リスク許容度は個人差が大きいです。このため、アセット・アロケーションの低リスク・無リスク資産部分の大きさも、必然的に個人差が大きくなります。

 

アセット・アロケーションは結局好みと予測の問題

ポートフォリオのリスク・リターンが概ね同じであれば、どのアセット・クラスを持っても長期的な運用成果は概ね同じです。

個別株投資家が銘柄を選ぶ要領で、好みと予測に従い、アセット・アロケーションは選ばれます。このため、個人投資家のアセット・アロケーションは十人十色になります。

 

余談:明らかに不利なアセット・アロケーション

以上の理由から、原則として他人のアセット・アロケーションに対して、否定的な意見を述べる事は難しいです。とはいえ、明らかに不利なアセット・アロケーションもあります。

株式100%のアセット・アロケーション

例えば株式100%のアセット・アロケーションは良くないとされます。常識的な株式のリスク・リターンを想定した場合、ポートフォリオに無リスク資産組入れて、リバランスをした方が高い成長が実現すると予測できます。

無リスク資産組入れの重要性とその理由を、「無リスク資産組入れで、ポートフォリオの資産の成長性が高まる理由について」という記事で説明しました。分散投資をする事は、資産の成長に重要です。

FPによる動的な「推奨アセット・アロケーション」利用

また、FPが提唱する動的な「推奨アセット・アロケーション」も往々にして相場後追い型のであるため、不利な事が多い印象です。

生半可なFPは、何も考えず直近のデータからリスク・リターン・相関係数を使い、最適なアセット・アロケーションを分析をします。ところがこれは、暴騰後に株を買い増し、暴落後に債券を買い増す事になります。

結果として暴騰のリターンの享受を減らし、暴落の損失を拡大してしまいます。このように、後追い型であるFPの推奨アセット・アロケーションを参考にした運用は、不利な手法です。

 

【リンク確認】
記事で引用したウェブコンテンツへのリンクは、いずれも2015/7/24に確認しました。

 

 

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アセット・アロケーションが十人十色である理由” への1件のコメント
  1. Tansney Gohn より:

    後追いはだめですね。
    マネックスのバランスファンドがこの方式だったような。
    アドバイスをしているのはイボットソンです。
    これならアセアロ固定の方がまだ良いでしょう。

    景気や金利動向を見てこれから有利なものを増やし、不利なものを減らすのが良いと思います。
    例えば、いま価格が高値圏で利回りが低い債券クラスは減らすとか。

    • Kapok より:

      > Tansney Gohnさん

      マーケットを見ながら、これから高くなりそうなものを持ちたいですね。
      後追いではなく、先回りを目指したいです。

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