アセット・アロケーションは年齢とともに債券シフトすべきでは無い

アセット・アロケーションの債券比率についての考えです。米国の古典的な投資教本では、アセット・アロケーションは年齢とともに債券シフトする事が推奨されています。ですがこの手法は現代日本では成立しません。

債券シフトをすべきではない理由と、代替案を投稿します。

広く知られた債券シフト手法

米国発祥の経験則として、アセット・アロケーションの株式資産比率を「100-年齢」にし、債券比率を「年齢」にすると良いという指摘があります。この手法に従えば、例えば30歳であれば、アセット・アロケーションの株式比率は100-30=70%で債券が30%ですし、60歳であれば株式40%で債券60%になります。

この方法を使えば、歳を重ねるに従い、株式比率が減り、国内債券比率が増えることになります。売却時に金融危機が訪れたとしても、国内債券価格は安定していますので、老後生活の資金の確実な確保に効果的です。

また、高齢者は運用規模が大きくなるため、資産変動額の低減という視点でも、債券シフトは効果的です。

以上のように、論理的には年齢とともに、アセット・アロケーションを保守的にする運用は正しく見えます。なお、この方法は広く知られており、実践者も多いため、運用年数とともに債券比率を増やしていく投資信託(バランスファンド)が設定されることもあります。

 

今の30代は、債券シフトでGPIF砲を被弾?

ところが、上記債券シフト手法は、米国でこれまでうまくいっていた手法であり、日本では成立しないと考えます。国内の需給構造上の問題で、国内債券への集中投資は回避すべきです。

下図は2014年に公開された、GPIFの運用規模の傾向の予測です。年金積立金管理運用独立行政法人 中期計画の変更について(※リンク切れ)の7ページから引用しています。

gpif2014_UnyoKiboYosoku

上図の予測によれば、2014年から10年間程度は、GPIFは資産を取り崩します。取り崩した運用資産は、団塊の世代への年金支払いに充てられます。その後は一旦積立金を増やしますが、団塊Jrが定年を迎える25年後以降は再び積立金は取り崩され始めます。その後は取り崩しが持続します。

つまり、今の30代が定年を迎える頃以降は、GPIFは国内債券の巨大な売り手になります。売り手が増えれば債券価格は下落し、金利が上昇します。このように今の30代は、資産運用最終局面で債券シフトをした場合に、GPIF砲を被弾し、資産を失うことになると予測されます。

 

外国株の保有比率を下げるべきではない

アベノミクスの官製相場で分かった通り、GPIFが買えば株は暴騰します。当然の推論として、GPIFが売れば債券は下がり続けます。ファンダメンタルズも市場の効率性も、巨大な需給の前には無力です。その場面で投資家は債券を持たないように、資産運用計画を見直すのも良い事だと考えます。

年齢とともに債券比率は増やすべきではありません。25年後以降の国内債券への集中投資は、ハイリスク・ローリターンが予測されます。外国株の投資比率を下げる事なく、歳をとっても国際分散投資を徹底し、リスクの分散をすべきです。

 

では最善の年齢別アセット・アロケーションは何か?

株式比率を「100−年齢」にする手法は駄目だと言えます。では代替手法はあるでしょうか。

市場平均を上回る運用成績を残せると考える投資家は、騰がると考える資産に動的に投資します。リスク・リターンを評価し、自前で合理的なアセット・アロケーションを計算・構築すべきです。

一方で市場平均に追随を目指す投資家は、GPIFのアセット・アロケーションのコピーがお薦めです。特に今の30代は、資産取り崩しの時期がGPIFと一致しています。世界最強の投資家集団であるGPIFの手法を、そのままの形で参考にするのが良いでしょう。

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アセット・アロケーションは年齢とともに債券シフトすべきでは無い” への1件のコメント
  1. Tansney Gohn より:

    世の中に投資マネーはあふれていますからね。(^^
    お金の流れて行く方向に張っておけばOKだと思います。

    • Kapok より:

      > Tansney Gohnさん

      確かにそうですね。
      年齢に関係なく、資産運用では予測に基づく投資判断が重要ですね。

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