悲観相場では国際分散投資は無意味

悲観相場では全ての地域の金融資産が値下がりをするため、国際分散投資は無意味です。正しい資産運用において重要なのは、地域やアセットクラスの分散ではなく、無リスク資産(円キャッシュ)への分散と時間分散です。

各アセットクラスの値動き

下図は、リーマン・ショック前後のSTAMインデックスファンドの基準価額推移です。STAMシリーズは、SMTインデックスシリーズの前身です。STAMシリーズの各インデックスファンドの値動きは、多くの投資家のアセットクラス別の平均的なリターンを示す指標と言えます。

STAM200807

横軸は年月で、2008年7月末から、2011年6月末までの推移をプロットしています。縦軸はそれぞれのインデックス・ファンドの値動きです。

薄赤:TOPIX 濃赤:グローバル株式 :国内債券 :グローバル債券 黄緑:J-REAT :グローバルREIT の値動きを示しています。

国内債券を除くいずれの資産クラスも、強く相関し連動しつつ下落し、しばらく後に戻した事が読み取れます。データは悲観相場において、国際分散投資が無意味である事を示しています。

 

悲観相場で国際分散が意味を無くす理由

世界的な金融危機が起こると、企業業績が悪化し、株は売られます。危機が世界的なものであれば、国内株・外国株ともに売られ、値下がりします。

ただし、もしも危機がまだ比較的軽症であれば、この時の投資マネーは各国の債券に向かいます。株安でも債券高であれば、この時点では分散投資は意味があると言えます。

ところが危機が重症になってきた場合は、小国の国債のデフォルトが視野に入り、債券も売られ始めます。つまり株安・債券安が同時進行するわけです。

この時、行き場を失った投資マネーは、日本円や金(GOLD)等の安全通貨・資産に一斉に向かいます。そしてこの円高は、日本の投資家の外国資産の価値を更に目減りさせ、加えて国内の輸出企業の業績に打撃を与えることで国内株の下落に拍車がかかります。

ここまで悲観相場が進行すれば、国際分散投資が無意味になります。全てのリスク資産は下落します。上記チャートは、まさにこの様子を示しています。

 

資産運用で大切なもの

悲観相場で国内外の資産価値が目減りするため、国際分散投資が無意味である事が分かりました。では意味のある分散投資とは何でしょうか。

悲観相場においても強力な分散効果があるのは、無リスク資産への分散と時間分散の2つです。

 

無リスク資産との分散

まず大切なのは無リスク資産との分散です。

「全ての資産が下落する」というのは、逆に言えば「日本円の価値が上がる」です。日本円の価値が上がるため、リスク資産が下げて見えるのです。つまり、本当の分散投資は円キャッシュポジション(無リスク資産)とリスク資産との2資産ポートフォリオで成立します。

無リスク資産の重要性は、資産運用を行う人々には広く知られています。私も例えば、無リスク資産組入れで、ポートフォリオの資産の成長性が高まる理由についてという過去記事で、理論からの視点にて、無リスク資産の重要性を述べています。

潮が引けば、全ての船が沈みます。潮が満ちれば、全ての船が浮かます。世界のリスク資産は連動して上下します。だからこそ、無リスク資産との分散は大切だと言えます。

 

時間分散

次に大切なのは、時間分散です。

リーマン・ショックで大損したのは、安値を見誤り集中投資した投資家です。まず日経平均株価が下げたのは、米国発のサブプライム危機の時でした。これを対岸の火事であり、株が割安だと考え、日経平均株価16,000円くらいで買い向かった投資家は凍死家になりました。

リーマン・ブラザーズが破綻し、世界の株が暴落した際(この時、日経平均株価は12,000円程度)で買い向かった投資家も凍死しました。

株価下落は止まらず、日経平均株価は結局、リーマン底値の6,994.90円まで下がり続けたからです。

安値圏で株を買うのは重要です。ただし株価はランダム・ウォークやサイコロとは異なり、状況悪化のスパイラルで下がり続ける事があります。この相転移に対応するために、時間分散が大切になります。

ナンピン買いは、取得価格を下げることで投資成果を向上させることが期待できます。ナンピンできなくなれば凍死です。2〜3年下げ続けてもナンピン買いができるように、一気には買わず、時間分散して買い付けるのは、投資家にとって大切な姿勢です。

 

 


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悲観相場では国際分散投資は無意味” への1件のコメント
  1. Tansney Gohn より:

    分散が有効だという記事の場合、ほとんどが1年毎の各アセットのリターンを表形式にして、「ほら、こんなに毎年リターンが凸凹しているので分散させましょう」という論調のものが多いですね。

    長期投資家を自認するのであればもう少し長めの10年ぐらいのチャートで比べれば、多少凸凹(標準偏差)が大きいものでもリターンに圧倒的な差がついていることがあるように思います。
    外債などへ過剰な分散をすると、標準偏差は小さくなっても肝心のリターンが減ってしまうでしょう。

    • Kapok より:

      > Tansney Gohnさん

      確かに年間リターンよりも長い目で、アセットについて考えるのも良さそうですね。

      分散投資はリスクもリターンも減りやすいですね。勝ちやすいものに多くを投資する姿勢を大切にしたいです。

  2. 匿名 より:

    国内債券以外のリスク資産の分散の意味は単にリターン面からみての分散であり、
    逆相関から考えたリスク軽減の意味では、国内債券と他のリスク資産との分散を
    以下にするかではないでしょうか。そもそも、預金や個人向け国債は、株式と
    逆相関の関係にあるわけでもなく、単なる安全パイでしかないため、投資資産とは
    言えません。どうも、この点をわかっていない専門家やブロガーが多いことが
    残念です。
    実際には、国内債券ファンドベースに株式等のリスク資産をどれだけおくかですね。

  3. 松本 より:

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