アセット・ロケーション(資産の置き場所)について


アセット・ロケーションは、「資産の置き場所」を意味します。ここで「置き場所」とは、具体的には、「口座の種別」を指します。ただし、この他にも置き場所として、「資産の投資先の国や地域」を指す場合があります。

アセット・ローケーションの最適化は、資産運用のパフォーマンスを上げ、リスクの分散に効果を持ちます。

アセット・アロケーションとアセット・ロケーション

アセット・アロケーションとアセット・ロケーションは、単語としては「ア」がつくかどうかの違いしかありませんが、異なる意味を持っています。区別するために、各単語の意味をそれぞれ掲載しておきます。

アセット・アロケーション

多くの投資家に馴染みがあり広く知られているのは、アセット・アロケーションです。アセット・アロケーションは資産配分で、投資先の資産クラス(国内株式・国内債券・海外株式・海外債券・・・)の配分を意味します。

アセット・アロケーションは、英語ではasset allocationで、略して「AA」と表記される事があります。

アセット・ロケーション

一方でアセット・ロケーションは資産の置き場所を意味します。資産をどのような口座においているのか、資産をどの地域に置いているのか、等がアセット・ロケーションです。

アセット・ロケーションは英語ではasset locationで、略して「AL」と表記される事があります。

英語表記の略称(AA、AL)は、下記の記事を参照しました。

Asset location(wikipedia)

アセット・ロケーション

アセット・ロケーションには、口座の分類を意味する場合と、資産の地域を意味する場合があります。

口座の分類

資産運用における資産の置き場所の口座には、課税口座・非課税口座・課税を先送りする口座があります。これらの口座を適切に使い分ける事で、運用パフォーマンスの向上とリスク分散の効果が期待できます。

課税口座

日本では、課税口座には各証券会社の特定口座(証券取引のための普通の口座)があります。ちなみに私はSBI証券と楽天証券を使っています。

扱う金融商品や手数料で使い分ける

証券会社によって、利用できる金融商品や手数料が異なります。そのため運用スタイルによっては、利用する証券会社の追加・変更等の使い分けによって、今より有利な運用ができる事があります。

証券会社では一般口座と呼ばれる課税口座も利用できますが、特定口座との比較で投資家にとってのメリットはありませんので、ここでは無視します。

銀行の口座も課税口座です。預貯金・定期預金の金利は金融機関の違いにより異なりますので、選択の余地があります。そうは言えど、金利はどこもほぼ0%です。低金利時代の現在、銀行の口座の選択は有利不利にほとんど関係がなくなっています。

口座を増やしてリスクを分散

資産が増えてきた場合、セキュリティーのリスクを分散させるために口座の数を増やすべきです。

近年、大手銀行といえどサイバー攻撃を受けて顧客資産が流出する事件が起きています。2016年11月には、ハッカー集団が英テスコ銀行の顧客9000人の口座から総額250万ポンド(約3億6000万円)を盗み出す事件が発生しました。取り付け騒ぎに巻き込まれて事実上の資産凍結の被害を最小限にするためにも、資産の口座を分散すべきです。

非課税口座

非課税口座にはNISAがあります。

非課税は大変魅力的です。これを利用しない手はありません。ただし、NISA口座は1つしか開設できず、利用可能額は年間120万円(2016年以降)の上限が定められています。

なお、NISA口座での損失は特定口座と損益通算が出来ません。そのため、NISA口座で運用損失が出た場合に、損失を節税対策に転用できないというデメリットがあります。

課税先送り口座

課税先送り口座にはiDeCo等の確定拠出年金があります。

確定拠出年金は、運用益非課税です。また掛金は所得控除が適用され、所得税の支払い額が減り有利になります。このように運用時には強力なメリットがあります。

一方で確定拠出年金はデメリットも大きめです。まず、引き出し時(受け取り時)に課税対象となります。特定口座からの出金が無料である事と比べれば、運用の出口では明らかに不利です。

更に、最終的な現金受取については60歳以降が原則である点も、他の口座と比べ著しく柔軟性に欠けます。そして日本国の財政が火の車である事を考慮すれば、現在の確定拠出年金の税制が改悪されるリスクを気にしなければなりません。

資産の地域

アセット・ロケーションは、資産を運用している地域の比率を意味する事もあります。

下図は、旧Bloombergアプリでsummary→Locationとタップし表示した、私の保有株の地域分布です。2016年9月30日時点では、日本に48.62%、米国22.03%、香港17.64%、残りはその他の地域へ投資していました。

asset_location2016-09-30

地域の分散は、ある地域で局所的な問題が発生したとしても、運用資産の毀損を最小限にします。地政学的リスクを小さく出来ると言えます。アセット・ロケーション(資産の地域)を考慮する事は、運用資産の安定的な成長に役立ちます。

2リスク資産ポートフォリオの特性に学ぶ、資産選択で重要な事柄


2種類のリスク資産と無リスク資産があれば、それぞれの保有比率を調整する事で、投資家はさまざまなリスク・リターンのポートフォリオを構築できるようになります。

投資家は最も有利なポートフォリオを利用したいと考えますが、「値動きの相関係数」「無リスク資産の金利」「リスク」「リターン」等のパラメーターの状況や変化によって、資産の最適な組み入れ比率は変化するものです。

この記事では、2リスク資産ポートフォリオに限定して、パラメーターの変化が最適なポートフォリオにどう影響するかを論じます。その上で、更に一般的な資産運用で重視すべき事柄についてポイントをまとめます。

2リスク資産ポートフォリオの特性

2リスク資産ポートフォリオは、2つのリスク資産で構成されるポートフォリオです。各資産の組み入れ比率によって、ポートフォリオのリスク・リターンの値は変化します。

最適な組み入れ比率は、リスクの割にリターンが大きくなる比率です。それは、シャープレシオが最大となる点と言い換える事ができます。最適な比率を考えるためには、各パラメータの変化が最適比率にどう影響するかを知っておく事が不可欠です。

以下に、各種パラメータが変化した場合に、最適比率がどう変わるかを動画でまとめました。

相関係数が変化した時

リスク資産同士の相関係数は、最適な保有比率に大きく影響します。

下図はA資産(リスク20%,リターン5%)とB資産(リスク10%,リターン1%)の相関係数が変化した際の、最適な保有比率の変化を図示しています。

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図の確認方法

青の曲線は、2リスク資産のみを保有し、保有比率を変化させた時に実現できるリスク・リターンの組み合わせです。赤の直線は、2リスク資産と無リスク資産を利用して実現可能な最も有利なリスク・リターンの組み合わせで、資本市場線と呼ばれる直線です。

相関係数の変化による最適資産配分の変化

相関係数が大きい(1に近い)時は、低リスク・高リターンな方の金融商品を多く持つべきです。上図では相関係数が0.3までは、A資産だけを持つ(A資産100%保有)が最適でした。

一方で相関係数が小さくなる(-1に近くなる)にしたがって、B資産を組み入れた方が良いように変わってきます。資産同士の値動きの相関が小さい時や、逆相関の関係がある時は、不利な金融商品(高リスク・低リターンな金融商品)を多少組み入れた方が有利に運用できます。リスク分散の効果が大きくなるからです。

逆相関資産の組み入れが重要

2リスク資産の場合に限らず、一般的なポートフォリオ構築においても、他の資産との相関が低い金融商品を組み入れる事で、投資家は有利なリスク・リターンの組み合わせを手に入れられます。多くの資産の値動きと逆相関がある資産を組み入れれば、リバランスを通して運用資産の成長に貢献します。

無リスク資産の金利が変化した時

無リスク資産の金利も、最適な保有比率に影響します。

下図は、無リスク資産の金利を-1.5%から3.0%まで変化させた時の、A資産の最適保有比率の変化です。

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金利上昇で高リスク資産選好

金利が上昇するに従って、高リスク・高リターンであるA資産の組み入れ比率が増える事が分かります。

金利変化への対応

一般的な金利上昇局面でも、投資マネーはリスクを取ってでも高リターンな金融商品に向かいます。一方で低リターンな金融商品は、金利上昇局面では売られやすくなります。

逆に金利下落局面では、低リターンな金融商品の組入れで有利な運用できるようになります。そのため、場合によってはマイナス金利の中でさえ、債券が更に買われる事があります。

リスクが変化した時

リスクの変化は、保有比率に影響します。

下図は、A資産のリスクを変化させた時の、A資産の最適保有比率の変化です。

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リスク大→最適組み入れ比率が小さく

A資産のリスクが大きくなるにしたがって、A資産の最適保有比率は小さくなります。リスクを避けたほうが有利な運用ができるからです。

リスクの大小と最適組み入れ比率

一般的なポートフォリオ構築においても、(他の条件が同じであれば)リスクが大きな金融商品は少なめに、リスクが小さな金融商品は多めに持つのが望ましい選択です。

リターンが変化した時

リターンの変化は、保有比率に影響します。

下図は、A資産のリターンを変化させた時の、A資産の最適保有比率の変化です。

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リターン大→最適組み入れ比率が大きく

A資産のリターンが大きくなるにしたがって、A資産の最適保有比率は大きくなります。

リターンの大きな資産を多く保有する事

一般的なポートフォリオ構築においても、リターンが大きな金融商品を多く持つ事は大切です。

まとめ

2リスク資産ポートフォリオの特性から、一般的なポートフォリオ構築において大切な事柄が分かりました。

ポートフォリオ構築の際は、「他の資産との相関が低い資産を組み入れる」「金利の変化に対応する」「リスクの小さな金融商品を多く組み入れる」「リターンの大きな金融商品を多く組み入れる」という事が大切です。

実際にはこの4つのポイントは、矛盾して同時には成立できないかも知れません。現実的にはこれらのバランスを取りながら運用していく事になります。