株を売るタイミング いつ売るか?なぜ売るか?


株を売るタイミングについて投稿します。

「買った理由が消えた時」が売り時です。ファンダメンタルズ分析を重視していても、テクニカル分析を重視していても変わりません。

売りは重要な投資活動

株を売る事は重要です。

投資の利益は、「支払い金額」と「受け取り金額」の2つの要素で決まります。そのため、株を売り換金するタイミングは、株を買うタイミングと同様に、投資利益に対して決定的な影響があります。

買った理由が消えた時に売る

株を売るタイミングは、買った理由が消えた時と言われています。

when-to-sell-stocks-assets_c_2015_06_sep_355215221321

ファンダメンタルズを理由に買った場合

ファンダメンタルズを根拠に、「業績の水準と比べて株価が割安だ」と考えて株を買ったのであれば、株が割安でなくなったら売却をします。

株価が割安でなくなる要因は2つあります。

株価が上がったら売る

目論見通りに株価が値上がりし、割安さが解消されたのであれば、それが売り時です。

株価はファンダメンタルズで説明できない程高くなる事がありますが、多くの場合それは将来イナゴタワー(※1)を形成すると考えられます。一般的に、株価が割高だと考えられる時に売り抜ける事が推奨されます。

一方業績が予想以上に上方修正され、株価は上がったが依然として割安だと考えられるのであれば、目標株価を上げ、保有を続けても良いでしょう。

※1 イナゴタワー:タワーのような形状の株価チャートをイナゴタワーと呼びます。短期筋により大きく買われ暴騰し、その後に暴落する事で、イナゴタワーは形成されます。

下方修正で売る

株価はそのままだとしても、ファンダメンタルズが悪い方向に動いた時も、割安さが解消されます。例えば1株利益が下がればPERは上がります。

この時、買った理由が無くなるため損切りをすべきです。

業績の予想外の下方修正は、分析が間違っていた事を意味します。間違いが明らかになったタイミングで、投資プランに修正をかける事は大切な取り組みです。

テクニカル分析で買った場合

テクニカル分析で株を買ったのであれば、値動きに合わせて売却をします。

チャートが崩れたら売り

チャートを根拠に、上がると考えて株を買ったのであれば、チャートが崩れたら売却をします。

リバランス売り

ポートフォリオの資産配分を決め、メンテナンスをしているのであれば、「定期的」または「乖離が大きくなったタイミング」でリバランス売買を行います。

資産配分そのものを変更する際も、リバランス売買を行います。

なお、売却する際はリスク・リターンの変化やポートフォリオの他の資産との相関も考えておきます。

その他の売りのタイミング

他にもっと良い株がある

他に良い株が見つかった時は、保有株の売り時です。

今保有する金融商品が悪いものではないとしても、他にもっと良い金融商品があれば乗り換えて多くの利益を追求すべきです。

節税のため

節税効果がある場合は、保有株の売り時です。

含み損を持つ銘柄を売り、損益通算が出来る場合などは、損切りが投資家の総合的なパフォーマンスの改善に繋がります。

イベント要因

買収される時

保有株が買収される時は売り時です。

買収では巨大な買い手が現れます。そのため株価は多くの場合値上がりします。そのタイミングで売ってしまうのが良いと考えられます。

倒産した時

近い将来に株券が価値を失うと判明する事があります。その時が売り時です。

勿論、倒産時は売りが殺到し安値での損切りになりますが、それでも買い手がいるのであれば現金を回収します。

売却時に考慮すべき事

売却時に注意すべき事柄をまとめます。

売るか売らないか、迷ったら売る

迷ったら売るべき、だと考えます。

リスク資産のリターンは、リスクと比べて随分と小さな値になっています。専門家の中でも最適なアセット・アロケーションがバラバラで、共通の見解が存在しないのもこのためです。

そして平均リターンがリスクと比べて小さい事は、「値上がりした資産は売っておくのが良い」と示唆しています。

投資心理を考慮する

含み益の資産は売りやすく、含み損の資産は売りにくいです。

含み損の資産の損切りは、自身の投資判断の間違いを認める事になり、投資家にとって抵抗がある事が多いです。売る理由があれば、利益がある内に売りたいものです。

ただし、売る根拠は明確にしておく必要があります。投資家には「上昇銘柄を細かく利確」をし、「下落銘柄はまとめて損切り」をしてしまいやすくなる心理効果が働きます。この心理効果は、気質効果(disposition effect)と呼ばれています。

細かい利確は、利益を得る喜びを何度も味わえます。損切りをまとめれば、損失を出してしまった苦しみを味わう時間が減ります。ただし相場にはある程度のトレンドがあるため、気質効果のみに従った論理的根拠のない取引は、累積していけば損失に結びつきやすくなります。その点には注意が必要です。

売買手数料

売買の際には、証券会社へ売買手数料を支払う必要が出ます。手数料は積み重なれば多額となり、投資成績に悪影響します。売却益課税があれば、税金の支払いも必要になります。

売買を行う際に、手数料に注意すべきです。

ただし、手数料を気にしすぎて機会損失に繋がるのは避けなければなりません。実は税金も、最終的に多く支払った投資家の方が、投資家として成功しています。多く儲けているからです。

まとめ

この記事では株を売るタイミングについて記述しました。

「買った理由が消えた時」が売り時です。ファンダメンタルズ分析を重視していても、テクニカル分析を重視していても変わりません。

その他、「他にもっと良い株がある」「節税のため」「イベント要因」も売り時となります。

なお、売却時は心理効果や手数料等を考慮する事が望ましいです。

平均未満効果 


平均未満効果(The worse-than-average effect)と呼ばれる心理効果があります。

人間は、自分自身の能力が他者と比べて低いと見積もってしまう傾向があります。これを平均未満効果と呼びます。平均未満効果は、チェスやプログラミングなど、一見して複雑で難しそうに見える事に対して引き起こされます。自分自身の能力を必要以上に低く見積もる事で、機会損失を被らないよう注意したいものです。

平均未満効果

平均未満効果は、自分自身の能力が他者と比べて低いと見積もってしまう傾向です。

どのような事に対して?

平均未満効果は、一見して複雑に見える事や、うまくいく確率が低く見える事に対して引き起こされます。

具体的は、チェスやジョーク、一輪車やプログラミングなどです。その人に平均より上の才能があったとしても、多くの場合、そうでは無いように感じてしまう事が知られています。

どうして能力を低く見積もるか?

難しい事は、自分がうまく出来た事が、他人も自分と同じようにうまく出来るように見えてしまいます。実際には、うまく出来たのは自分だけかも知れません。ところが、難しかったという意識が競争者である他人の能力を大きく見せます。

結果として、難しい事に直面した際に、自分自身の能力を低く見積もってしまいます。

自信過剰

片手落ちにならないように、平均未満効果と逆の性質を持つ心理効果も、同時に言及しておきます。

人には自分自身の能力を過大評価する傾向もあり、それらは自信過剰やオーバーコンフィデンスと呼ばれます。自信過剰効果は、英語ではoverconfidence effectや、Dunning-Kruger effect、better-than-average effect等と呼ばれます。

どのような事に対して?

自信過剰は、簡単そうに見える事に対して引き起こされます。

具体的にはマウスの使い方や車の運転、自転車の乗り方等については、多くの人は自分は平均よりも上手だと思ってしまう傾向があると知られています。

どうして能力を高く見積もるか?

簡単そうな事は、実は他人も自分と同様にうまく出来ます。実際には他人の方が自分よりもうまいかも知れません。ところが「簡単である」という意識が他人の能力を考慮する事を忘れさせ、その結果として人は自信過剰な状態になります。

平均未満効果で機会損失しないために

平均未満効果は、自身の能力を過小評価する事で、才能を活かす機会損失に繋がります。

そうならないように、難しい事についての「難しさ」を正しく見極め、挑戦の姿勢を失わないようにしたいものです。


crowd_p1030538_edit_tp_v
↑都会の喧騒を映すアスファルト(フォトモンタージュ)。ぱくたそから。平均未満効果によって、難しい事をしている他人は賢く見えます。必要以上に自信を失わないように注意が必要です。とは言え、逆に自信過剰に陥らないように、慣れた事に対しては注意し、客観的な視点で見る事が大切です。

参考

このブログ記事は、以下の記事を参考に作成しています。wikipediaでは概要を、PSYBLOGでは詳細を閲覧できます。

Worse-than-average effect(wikipedia)

The Worse-Than-Average Effect: When You’re Better Than You Think(PSYBLOG)

自信過剰を厳密に扱うのであれば、「平均」等の言葉の使い方にも注意が必要です。その参考として、下記の記事は読んでおくべきです。

大部分のドライバーは「平均」より運転が上手い(医学と投資についての随想)