債券洗い(Bond Washing) 外国債投資における節税テクニック


債券洗い(Bond Washing)は、外国債投資における節税テクニックの1つです。債券の利金が支払われる前に売り、支払われたら買い戻す事で配当課税を回避します。

The act or practice of selling a bond before a coupon is paid and buying it back immediately after the payment. After a coupon is paid, the price of the bond usually decreases by the amount of the coupon. Bond washing, then, is a way to produce a capital gain without having to pay tax on it.

Bond Washing(financial-dictionary)より

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利金が支払われる前に債券を売り、支払われたら直ちに買い戻します。通常ですと、利金が支払われたら、債券の価格は利金の分だけ下落します。債券洗いはキャピタルゲイン(値上がり益)を非課税で生み出します。

米国を始め多くの国では、配当課税はありますが売却益は非課税です。そのため、配当金の代わりに売却益を得る事は、節税になります。

日本では税制が異なり売却益にも課税させるため、利用できない節税テクニックです。とはいえ日本でも最近では海外資産への投資の売買手数料が低くなり、またNISA等の非課税制度が利用できるようになっており、この技を使う機会が増えてくることでしょう。

米国における投資家の経験則(Rule Of Thumb)


米国における投資家の経験則(Rule Of Thumb:直訳すれば親指の規則)を紹介します。資産運用について、重要な視点が含まれます。

出所は、Rule Of Thumb(investopedia)です。ただし日本では状況が大きく異なるため、いくつかの項目は、そのまま成立はしないと考えられます。それらを踏まえ、私の意見を追記しておきます。

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持ち家の値段

原文・和訳

A home purchase should cost less than an amount equaling two and a half years of your annual income.

持ち家の購入費用は、年収の2.5年分未満とすべきです。

解説・意見

あまりに高い家を買わないように気をつけよと注意を促す項目です。

近年の米国においても、高い家を買った低所得者が不動産価格の下落と金利上昇で破産し、サブプライム危機とリーマン・ショックを招きました。収入と比べ不相応に高価な家を購入すべきではありません。

日本でも高過ぎる家を買うべきではないという点は米国同様です。ただ、持ち家の購入費用の水準は、日本では年収の2.5年分よりも高くて良いでしょう。年収の5年分でも標準的と言えます。

なぜなら日本のローンの金利は米国程は高くはありません。また終身雇用制が消えてはなく、収入が比較的安定している事から、家は比較的高くても良いと考えられます。

退職への備え

原文・和訳

Always save at least 10% of your take-home income for retirement.

常に、家に持ち込む収入の少なくとも10%を退職のためにとっておきなさい。

解説・意見

収入はすべて使ってしまうのではなく、老後のために積み立てるべきだと主張する項目です。

手元にお金があれば使ってしまう人は、最低ラインを決めて退職後のために積み立てる姿勢をとるべきです。コツコツと資産形成する事は大切です。

生命保険

原文・和訳

Have at least five times your gross salary in life insurance.

最低でも年収の5倍の額の生命保険に加入しなさい。

意見

保険はリスクヘッジのために重要です。特に自分が死んだら困る人がいる場合、生命保険への加入はマナーだと思います。

周りの人の状況次第でしょうが、年収の5倍あれば普通は十分でしょう。

最初に精算するもの

原文・和訳

Pay off your highest-interest credit cards first.

高金利のクレジットカードを最初に精算しなさい。

解説・意見

運用損益は、受け取ったお金と支払ったお金の差で決まります。

利子が高い借金は支払額を増やしてしまうため、運用損益に悪影響します。借金がある場合、早めに精算すべきです。

株式市場のリターン

原文・和訳

The stock market has a long-term average return of 10%.

株式市場は、長期の平均リターンが10%ある。

意見

株式の平均リターンを10%と想定するのは期待しすぎです。

日本では平成バブル崩壊後に、長らく日経平均株価は低迷を続けています。外国株へ投資したとしても、円高で利益が目減りするものです。

とは言え、リバランスはボラティリティをリターンの源泉とする事ができるため、株式投資そのものには賛成です。

緊急の資金

原文・和訳

You should have an emergency fund equal to six months’ worth of household expenses.

緊急時のために、家計の出費の6ヶ月分くらいの資金を持つべきです。

意見

同意します。何かの時の備えは、それくらいあって良いと考えます。

資産配分

原文・和訳

Your age represents the percentage of bonds you should have in your portfolio.

Your age subtracted from 100 represents the percentage of stocks you should have in your portfolio.

年齢と同じ百分率で、ポートフォリオに債券が入っているべきだ。

100から年齢を引いたのと同じ百分率で、ポートフォリオに株式が入っているべきだ。

解説・意見

年齢と資産配分に関する項目です。例えば30才の投資家には債券30%、株式70%のポートフォリオを推奨し、60才の投資家には債券60%、株式40%のポートフォリオを推奨しています。

このルールは理解出来なくはありませんが、合理的根拠が希薄です。

確かに年齢が上がれば運用規模が大きくなり、ポートフォリオの値動きの幅が大きくなります。それがリスク許容度を超えるのであれば、債券比率を増やしても良いでしょう。その意味では、このルールは理解できなくはありません。

とはいえ、資産の成長性は最適な資産配分から来るもので、本来年齢とは無関係です。投資家は年齢に関係なく、最適な資産配分を追求すべきです。

ホームバイアス 自国偏重のアセット・アロケーションが有利な点とは?一方でデメリットは?


ホームバイアスについての投稿です。

ホームバイアスとは?

ホームバイアス(home bias)は自国資産への偏った投資を指します。ホームカントリーバイアス(home country bias)と呼ばれる事もあります。

多くの投資家はホームバイアスをかける

実際の運用において、多くの投資家は自国資産を高い比率で保有します。個人投資家のみならず、機関投資家でも同様です。

下図は、各国の機関投資家のアセット・アロケーションです。米国の機関投資家は米国資産に偏りが、ヨーロッパの機関投資家はヨーロッパ資産に偏りが、アジアの投資家はアジア資産に偏りがあります。

つまり、各国で多くの機関投資家はホームバイアスをかけた運用を行っているわけです。

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なお、投資家の国内資産への非合理的な偏向は、ホーム・バイアス・パズルと呼ばれ、その原因を説明する試み・議論が発生しています。

ホームバイアスが無い状態とは?

株式投資においてホームバイアスが無いニュートラルな状態とは、世界の株式等の資産への加重平均(市場平均)への投資です。たとえば世界各国の株式の時価総額は、2016年4月現在下図のようになっています。

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出典:世界各国のPER・PBR・時価総額(わたしのインデックス)

ホームバイアスがかからない状態では、米国株を半数程度の比率にし、次にヨーロッパ・アジアの先進国、最後に新興国の順に投資する事になります。

ホームバイアスをかける理由

適度なホームバイアスは、運用パフォーマンスを高めます。ホームバイアスをかけるべき理由は、下記の通り、いくつかあります。

情報が多い

身近な地域の情報は多くあります。大半の情報も自国語であり、外国人投資家よりも有利に情報が手に入ります。

この情報の非対称性により、自国への投資は有利です。そして、有利である事に伴い期待される高リターンは、自国資産の組み入れ比率を高める方向に働きます。

制度上で有利

自国への投資は、制度上で有利になりやすいです。

逆に外国への投資は、税制上で不利になる事があります。外国人が多く課税される制度や、投資先と自国とでの2重課税の問題が発生する事があります。

また、日本では株主優待制度があり、海外居住者よりも日本居住者は、日本株を買いやすくなります。

手数料の問題

一般的に自国への投資は手数料が割安です。それに対して、外国への投資は手数料が割高です。

手数料は安い方が、投資成果を得やすくなります。結果として、自国への投資に偏りが発生します。

為替リスク

為替リスクがある分だけ、外国の資産の値動きは大きくなります。逆に自国資産は低リスクで魅力的に見えます。この低いリスクは資産の成長性を高める事があるため、自国資産の投資比率を高める方向に働きます。

多国籍企業へ投資する場合

自国に上場される多国籍企業への投資により、国際分散投資を実現する事で、事実上ホームバイアスがかからない状態を作る事ができます。

多国籍企業への投資は、地域・通貨・金利・政策リスクの分散に繋がります。世界経済の成長を享受できるかも知れません。このように、たとえ自国通貨建ての資産が多くても、本質的には十分な国際分散投資と言える場合があります。

国際分散投資をした方が良い理由

ホームバイアスをかけるべきだと個人的に考えていますが、その一方で過度にホームバイアスをかけた運用はデメリットが大きくなります。つまりホームバイアスはかけ過ぎずに、ある程度の国際分散投資を行う事が大切です。国際分散投資にはメリットがあります。

リスクの低減

国際分散投資では、地域・通貨・金利・政策リスクが分散されます。

特に自国の情報のアドバンテージがない場合(例えば投資用語の知識が無く、日本語で書かれた決算短信を読めない素人日本人投資家等)は、分散投資でリスクを減らすのが賢明です。

攻めの投資をする場合

攻めの投資をする場合、国内外の区分に拘らず視野を世界に向け、好成績が期待できる各国の資産でポートフォリオを構築する事が大切です。

そもそもホームバイアスをかける投資家が多くいるという事は、市場の非効率性とCAPMが厳密には成り立たない事を意味します。つまり裁定取引の機会はそこら中に転がっています。ファンダメンタルズ指標から判断して割安になった国の株・上がっていく株を買い向かう事は、良い成績が期待できます。

更に、各国資産へ分散投資をすると分散投資の効果としてリスクが減るわけですが、このリスク減によってリスク資産への追加投資が可能になります。そして実施した追加投資の結果として、リターンの向上が期待できます。

コピーキャット ポートフォリオの模倣は何が良いか?コピーの障害は何か?


資産運用において、独自のリサーチに尽力するのは重要ですが、一方でうまくいっている投資家の真似をする事も大切です。

憧れの投資家や、好成績の投資信託があれば、そのポートフォリオを真似してみるのも良い経験になります。このような模倣のテクニックは、コピーキャットと呼ばれます。コピーキャットは、日本語で模倣者や猿真似に相当する単語です。

完全なコピーでなくとも、上手な投資家の保有銘柄群から、好みの銘柄をピックアップして保有してみるもの良いと考えています。

コピーキャットの方法

好成績の投資家のポートフォリオを知る

コピーキャットは、好成績の投資家のポートフォリオを知る事から始まります。

著名な投資家であるWarren Buffettのポートフォリオは、Warren Buffett(gurufocus.com)等から取得できます。このサイトでは、保有比率に加えて銘柄別の売買動向(買っているのか売っているのか)も確認する事ができます。

投資信託を模倣する場合、月報や週報等の報告書に掲載されている、銘柄とその組み入れ比率を確認します。多くの投資信託の場合、たとえ全ての銘柄の状態が分からなくても、組み入れ上位10銘柄程度は記載されています。

そしてその銘柄を買い増したのか、売り払ったのかは、新しい報告書と古い報告書を比較する事でだいたい分かります。更に各銘柄の値動きまで踏まえ比較すれば、売買状況がほぼ正確に分かります。

売買を行う

好成績の投資家のポートフォリオを参考に売買を行います。

ポートフォリオを完全に真似る方法と、買い増している銘柄を真似して購入する方法の2種類の方法があります。

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コピーキャットのメリット

模倣すべき好成績の投資家のポートフォリオをコピーできれば、良い投資成果を残せます。また、コピーキャットを行えば、スキルの向上が期待できます。

好成績な投資家のリターンの享受

コピーキャットで、好成績な投資家のリターンを享受できます。

好成績な投資家のポートフォリオを真似をしていれば、追随する形で模倣者の投資パフォーマンスは良くなります。

Warren Buffettの保有銘柄が世界中の投資家から注目されるのは、多くの投資家がBuffettの真似をしようとしているからです。

Buffettに限らず、多くの機関投資家のリサーチ力は、素人の個人投資家と比べれば優れています。機関投資家は優良銘柄を発掘してくれる事でしょう。

投資家としてのスキル向上

コピーキャットは、スキル向上に有効です。

上手い人が「どうしてその銘柄を持ったのか」を深く考えられるため、優良銘柄の特徴を学べます。

コピーキャットのデメリット

コピーキャットが上手くいかない事もあります。

完全なコピーは難しい

個人投資家が機関投資家のコピーをする場合、売買単位(単元株)による最低売買金額の関係で、完全なコピーは難しくなります。

また、売買手数料が割高になり、パフォーマンスを落とす可能性があります。

投資期間の違い

投資期間(investment horizon)が違えば、適切なポートフォリオは異なります。

個人投資家の運用期間は、機関投資家(例えば年金基金等)と比べれば短くなります。コピー元の投資家の投資期間が、模倣者の投資期間と大きく異なる場合、模倣は意味が無いかも知れません。

完全なコピーでない場合にパフォーマンスが追随できない問題

完全なコピーではない場合は、パフォーマンスの追随ができないかも知れません。

機関投資家はポートフォリオ全体で、リターンやリスクを管理し最適化します。部分的なコピーでは、有利なパフォーマンスが得られない可能性があります。

最新の情報が得られない

コピーキャットは、コピー元の投資家のポートフォリオを知る事から始まります。

ただしそれは主に、運用報告書が出た後など、少し時間が経ってから知る事になります。その間に、既に大きく値上がりしているかも知れません。特に模倣者が多く居る場合は乗り遅れと高値掴みの危険性が増します。

また、頻繁に売買を行う投資家のコピーをする場合、その投資家が何を買っているかを判別するのは困難な事があります。

まとめ

コピーキャット運用を行えば、好成績な投資家に追随する形で良いパフォーマンスを残せます。運用スキルの向上にも有効です。

一方で、完全なコピーは手数料や投資期間の問題により、難しい場合もあります。

リバランス 資産配分のメンテナンスの手法とその効果とは?


資産運用において、資産配分のメンテナンス手法であるリバランスの方法と効果についてまとめます。

リバランスとは?

資産運用において、資産配分を再調整(バランスを取りなおす)するために行う売買をリバランスと呼びます。通常のリバランスでは、値上がりによって構成比率が上がった資産を売却し、値下がりによって構成比率が下がった資産を買い付けます。

資産配分の経時変化とリバランス

目標とするポートフォリオや資産配分(アセット・アロケーション)があったとします。最初、目標とする資産配分で買い付けたとしても、時間が経つとともに、各資産は値上がりや値下がりをするため、資産のバランスは崩れていきます。

こうして経時変化により崩れた資産配分のバランスを、元の配分に戻す売買がリバランスです。リバランスでは、高くなった資産を売り、安くなった資産を買い増します。

リバランスの具体例

下記の動画は、リバランス売買について図示しています。

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例えば目標とする資産配分は、A,B,C,Dの各資産を25%ずつ保有する事とします。ところが時間が経ち、各資産の値上がり、または、値下がりにより、当初のバランスが崩れました。リバランスでは、B,Cの資産を売却し、A,Dの資産を買い増します。この売買を通して、資産配分を元に戻します。

リバランスの過程

リバランスは、下記の4つの過程で行われます。

資産配分を決める

まずは、目標とする資産配分を決めます。

資産配分の決定と運用の手法は、後述する通り多くの種類があります。資産配分は固定しても良いですし、動的なものでも良いです。

伝統的な資産運用手法では、資産配分は固定するものだという考えが浸透しています。

値動きを記録する

将来比較するために、資産配分を記録します。

各資産をどの程度保有しているのか、値動きはどの程度の大きさなのか、等の情報は、リバランスの必要性の検証時に使う事があります。

比較する

現在の資産配分と、目標とする資産配分とを比較します。そして、リバランスが必要かどうかを検証します。

目標と比べ、ポートフォリオのリスクが過多・過小であるポートフォリオは、リバランスの対象です。

修正する

リバランスが必要だと判断すれば、リバランスを行います。

ポートフォリオに、目標の比率よりも多く組み入れられている資産を売却し、目標の比率よりも少ない資産を買い増します。

リバランスの効果

リバランスで投資成果の向上を期待できます。

安値買い・高値売りの実践

リバランスによる売買では、高くなった資産を売り、安くなった資産を買う事になります。

これは「安く買って高く売る」という投資成功のための売買の実践です。そのため適切なリバランスは、投資成績を向上させます。

長期的な運用をする場合、値上がりした資産は少しは売らなければなりません。値上がりした資産を持ち続ける事は、その資産への掛け金を増やす事を意味しており、値下がりした際の傷口を広げる原因になるからです。

同様に、値下がりした資産は掛け金が減っている事を意味します。今後の値上がり益の享受のために、少し買い増さなければなりません。

元本確保

また、リバランスで高くなった資産を売れば、投資元本の確保に繋がります。

投資家にとって投資元本は大切です。たとえ暴落相場に出くわし、資産の一部が毀損したとしても、元本が確保されているのであれば、投資家は再起が可能になります。

資産成長の理論

適切なリバランスは、上記の通り安値買い・高値売りに繋がり、元本確保から成長性を高めます。そのため、リバランスは資産を増やすのに有効です。そして、リスク資産をただ持つだけの場合と比べ、良い投資成果を得られる事があります。

リバランスで資産が成長する例

極端な例ですが、2分の1の確率で株価が2倍になり、2分の1の確率で株価が半分になる銘柄があったとします。この銘柄をただ持っているだけの場合は、長期的には上がったり下がったりするだけで、大きな利益を期待できません。

ところが無リスク資産を50%組み入れ、リバランスを繰り返せば平均すると2期間で9/8倍(112.5%)ずつの成長が期待できます。

下図は、この株式を用いたリバランスのシミュレーション結果です。金融工学ノート 4 ポートフォリオ成長の最適化と LOPF 理論(http://www.geocities.jp/ktwr0/kinyu/FE_4.pdf)の2ページ目からの引用でしたが、現在はリンク切れになっています。

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↑株式を保有する場合(青)と比べ、適切なポートフォリオでリバランスを繰り返す場合(赤)の方が良いパフォーマンスを示しています。

リバランスで成長性が高まる理由

上記の例において、リバランスを繰り返す方がパフォーマンスが良くなる事は、計算から導く事ができます。

保有資産の\alphaを株で、1-\alphaを無リスク資産で持った際、株価が上がった時のリターンR_{+}と、株価が下がった時のリターンR_{-}を考えます。

R_{+}=1+\alpha , R_{-}=1 - \frac{1}{2} \alpha
R_{+}R_{-}=\frac{9}{8}-\frac{1}{2}(\alpha-\frac{1}{2})^{2}
この事から、\alpha=\frac{1}{2}で成長性が最も高まる事を導けます。

より一般的には、投資家は対数最適化戦略(リターンの対数をとって確率で重み付けしたパラメータを最大化する戦略)を用いて、期待成長率の最大化を目指します。資産の期待成長率を高め最適化する方法は、上記LOPF理論についてのノートの他は、ケリー基準(¥∞)http://www.geocities.jp/y_infty/management/index.html が詳しかったのですが、現在はリンク切れとなっています。

リバランスのタイミング

定期的なリバランス

半年に1回、1年に1回、3年に1回等、定期的にリバランスをする方法があります。

定期的なリバランスの頻度は、あまり頻繁でない方が良いとされます。頻繁なリバランスはマーケットのトレンド(上昇トレンドや下落トレンド)に逆らう事になりますし、手数料も多くかかるため、投資パフォーマンスの悪化に繋がります。そのため、適度に「ほったらかす」事は有効です。具体的には、3年に1回程度のリバランスがパフォーマンスが良いというデータもあります。

世界標準の投資法 その2 ~投資したら、定期的に当初の資産配分に戻す(わたしのインデックス)でのバックテスト(下図)によれば、定期リバランスの中では「3年毎のリバランス」の成績が良く、分析期間では年率6.5%程度あります。これは毎月リバランスと比べて0.8%程度良い値です。

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↑1979年3月から2009年2月にかけての30年間のデータを用いた検証です。サイト「わたしのインデックス」から取得しました。毎月リバランス等、頻繁なリバランスはリターンを下げている様子が図示されています。

資産は短期的にはトレンドを持ち、ひとつの方向に向かいやすい傾向があります。このため頻繁なリバランスは、安くなって買い増しした資産が更に下がる・高くなって売った資産が更に上がり機会損失を被る、等のデメリットを招きます。頻繁なリバランスを避け、年単位でバランスを確認するのも良いでしょう。

乖離が大きくなった場合にリバランス

目標からの乖離が大きくなった際にリバランスをする方法があります。

リバランスを行う目安とする、資産配分の乖離の程度は、一概には決められません。リスク許容度が小さければ、リスクが大きくなったらすぐにリバランスをします。逆に売買手数料が割高である環境では、大きな乖離もある程度許容し、売買を控えた方がパフォーマンスが良くなります。その他、リバランスによるリスク低減の効果・リターンの期待値の変化や他の資産との相関を検証し、リバランスをするかどうかの判断をする事もあります。

バランスファンドを利用した自動リバランス

バランスファンドを利用すれば、自動的なリバランスを行えます。

バランスファンドは、各アセット・クラスの資産を組み入れた投資信託です。バランスファンドのリバランスは、投資信託の運用者によって自動的に行われます。そのため、バランスファンドを保有する投資家は、リバランス売買を行う手間を省く事ができます。

バランスファンドのリバランス機能を利用すれば、個別銘柄売買によるリバランスと比べて売買コストの負担を少なくできます。売買コストの低下は、運用資産の増加と複利効果の享受に繋がります。その一方で、バランスファンド保有には信託報酬の負担がありますので、このコストは投資家の利益を圧迫する1つの要素となります。

節税を意識したリバランス

年末のタイミングに、節税を意識したリバランスを行う事があります。

損益通算を意識したリバランス

損益通算は、節税の基本です。

リバランスで売却したい局面にて、もし含み損のある銘柄を抱えているのであれば、含み益銘柄と併せて売る事を検討します。併せて売れば、損益通算で確定益を小さく抑えられるために、課税額を小さくすることが出来るからです。

ノーセルリバランス

節税を意識したリバランスとして、ノーセルリバランスがあります。

各資産の買い付け金額を調整する事で、売却を伴わずに資産配分のバランスをとる事を、ノーセルリバランスと呼びます。このリバランス手法は、資産形成期の投資家が採用しやすい手法です。

ノーセルリバランスでは、売却益がすぐには発生しないため、売却益に対する課税対象とはなりません。そのため、節税の効果があります。勿論最終的には含み益は、ライフステージにおいて資産を取り崩すタイミングで課税される事になります。とは言え、支払いを先延ばしに出来る分だけ、多くの複利効果を享受できます。

目標とする資産配分の決め方

資産配分の種別

資産配分にはいくつかの種類があります。

基本的な資産配分

コンスタント・ミックス(CM)の資産配分は、一定の配分を保ちます。逆張り型の手法で、多くの長期投資家がこの方針で運用しています。

バイアンドホールド(B&H)は、買ったまま売らずに持ち続けるという配分です。バイアンドホールドは下手な売買を繰り返す場合と比較し、売買手数料を低く抑えられます。そのため、特別な理由が無い限り、買った銘柄を持ち続ける方法は有利だと言われています。

その他の資産配分

他にも資産配分方針は多く知られています。

逆張り型ではタクティカル・アセット・アロケーション(TAA)と呼ばれる、指標を根拠に割高資産を売り、割安資産を買う手法があります。

一方順張り型には、リスクパリティ法と呼ばれる、リスク値を一定に保つ運用や、ダイナミック・アセット・アロケーション(DAA)と呼ばれる、良いパフォーマンスが得られると考えられる金融商品・アセットクラスに機動的に資金を投入していくスタイルがあります。

GPIFの資産配分

バランスを考えるのが面倒臭くなった場合は、国内最大・最強の投資機関であるGPIFのポートフォリオを参考にします。

GPIFは、139兆8,249億円(平成27年度第3四半期末現在 ※1)を運用する巨大な組織で、無難な運用が期待できます。このようにプロの真似をする運用手法は、コピーキャットと呼ばれています。

※1 参照:最新の運用状況ハイライト 2016/5/25確認

現在のGPIFのポートフォリオは、基本ポートフォリオの考え方によれば、国内債券35% 国内株式25% 外国債券15% 外国株式25%という比率が目標として設定されています。

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↑GPIFのアセット・アロケーションです。2016年現在GPIFは、国内資産を60%組み入れており、ホームバイアス(自国資産への偏り)をかけた、コンスタント・ミックス型のアセット・アロケーションを採用しています。

まとめ

資産運用において、資産配分の再調整(バランスを取りなおす)事をリバランスと呼びます。経時変化により崩れた、資産配分のバランスを元に戻す売買がリバランスです。リバランスでは、高くなった資産を売り、安くなった資産を買う事になります。

このリバランス売買は、安値買い・高値売りに繋がり、更にリバランスを行う事で元本確保ができます。そしてこれらの効果の結果として、リバランスは資産の成長性を高めます。

リバランスは、定期的にリバランスを行う方法や、乖離が大きくなった場合にリバランスを行う方法、バランスファンドを利用する方法があります。また、節税を意識した売買を行う事もあります。

目標とする資産配分には、静的なものや動的なものがあります。多くの投資家は、静的なコンスタント・ミックス型のアセット・アロケーションを採用しています。資産比率は、相場観に従い工夫しますが、最大の機関投資家であるGPIFの配分を参考にするのも良さそうです。