ポートフォリオ運用に関する事柄

ポートフォリオ運用に関して、種々の事柄をまとめます。

ポートフォリオ保守・運用手法

ポートフォリオの保守・運用には、さまざまな方法があります。現実的には、投資家はこれらの方法を組み合わせて運用を行います。

 

バイ・アンド・ホールド(B&H)

金融商品を購入し、「何もせず保持をする」という投資戦略です。保有銘柄が値上がりしても利益確定売りはせず、値下がりしても損切やナンピン買いは行いません。

順張の投資戦略

バイ・アンド・ホールドは、市場がトレンド(傾向)を持っている際に、良いパフォーマンを得られます。

この投資戦略を行えば、時間の経過とともに、良いパフォーマンスの金融商品・アセットクラスのウェイトが高くなり、悪いパフォーマンスの金融商品・アセットクラスのウェイトが低くなります。そのため、トレンドの効果を享受するのに適していま す。

このように、バイ・アンド・ホールドは順張の思想に基づくパッシブなポートフォリオ運用です。

マーケットタイミングが読めない場合に良い

もしもマーケットタイミングを読めると考えるならば、安く買って高く売る事を繰り返し、利益を得る方が合理的です。バイ・アンド・ホールドのように、買ってから持ち続ける必要はありません。

バイ・アンド・ホールドは、「マーケットタイミングが読めない」と考える投資家向けの投資手法です。

低コスト

原則として売買を行わないため、取引での売買コストを小さくできるという特長があります。種々のポートフォリオ戦略の内、最も低コストな手法です。

 

コンスタント・ミックス(CM)

「資産配分を一定に保つ」スタイルです。最初に決めた資産配分を守るように、値上がりした資産を売り、値下がりした資産を買う事になります。

市場が値上がりと値下がりを繰り返している際に、良いパフォーマンスを得られます。安くなった金融商品を買い、高くなった金融商品を売る売買を繰り返す事で、運用総額の増加に良い寄与をします。

さらに、ポートフォリオのリスクが時間が経過しても一定に保たれるという特長があります。その一方で資産配分を一定に保つための売買によって、取引コストはバイ・アンド・ホールドと比べて多くなってしまいます。

コンスタント・ミックスは逆張の思想に基づくパッシブなポートフォリオ運用です。

 

ダイナミック・アセット・アロケーション(DAA)

直訳すれば、動的資産配分です。良いパフォーマンスが得られると考えられる金融商品・アセットクラスに機動的に資金を投入していくスタイルです。「リスク許容度低下→リスク資産を減らす」「リスク許容度上昇→リスク資産を増やす」ように、システマティックに運用される事もあります。

目論見通りの値動きになれば大きなリターンが得られる一方で、目論見と逆の方向へ相場が動けば損失も大きくなります。また、売買コストも大きくなります。

一般的にダイナミック・アセット・アロケーションでは、弱い相場でリスク資産を売り、強い相場でリスク資産を増やします。この手法は、順張の思想に基づくアクティブなポートフォリオ運用に分類されます。

 

タクティカル・アセット・アロケーション(TAA)

割安だと思う資産を買い、割高だと思う資産を売るスタイルです。ファンダメンタル指標を見ながら、統計的分析によって機動的に割安な金融商品に資産を振り分けます。

タクティカル・アセット・アロケーションは逆張の思想に基づくアクティブなポートフォリオ運用に分類されます。

 

リバランス方針

目標とする資産配分から乖離した場合、資産を売買し、資産配分を目標に近づけます。この過程をリバランスと呼びます。リバランス方針には、いくつかあります。

 

定期リバランス

一定期間毎にリバランスを行います。期間は投資家それぞれで設定します。毎日、毎月、半年に1度、1年に1度、3年に1度、等のパターンがあります。

 

目標との乖離が大きくなった際にリバランス

乖離の大きさでリバランスを決定します。許容できる乖離の大きさを決めるパラメータには、下記のものがあります。

売買コスト

売買コスト(手数料・税金)が高くなる場合、リバランスは少ない方が良いため、リバランス方針は、目標ポートフォリオからの乖離が大きくなる事を許容する方向に向かいます。

リスク許容度

リスク許容度が大きい場合、多少ポートフォリオの値動きが大きくなっても良いため、リバランスは多くは行わずに済みます。このため、リバランス方針は、目標ポートフォリオからの乖離が大きくなる事を許容する方向に向かいます。

残りの部分との相関

ポートフォリオの残りの部分も同じような値動きをする事が期待できる場合、リバランスの必要性が薄れるため、目標ポートフォリオからの乖離が大きくなる事を許容する方向に向かいます。

ボラティリティ

値動きが激しい資産は、目標ポートフォリオからの乖離が大きくなりやすいため、乖離をあまり放置できず、リバランスはある程度早めに行う事が必要になります。

 

インフレがアセット・アロケーションに与える影響

インフレは、モノやサービスの価格が上昇する現象です。買えていたものが買えなくなる事から、物価が上がるのではなく、通貨の価値が下がると考える事もできます。

インフレの程度の変化は、資産運用のパフォーマンスに影響を与えます。アセット・クラス別に、多少異なる効果があります。

 

現金・預貯金への影響

インフレでは紙幣・貨幣の価値が下がるため、タンス預金などの利子がつかない運用では、資産規模を縮小させてしまいます。

ただし、インフレは預貯金の金利を上昇させるため、銀行に普通預金として預ければ、インフレの度合いが大きくなった際に、リターンが大きくなると言われています。

一方で、長期の定期預金や、ハイパーインフレ下では、利子が付くより早く通貨価値が毀損するために、他の資産での運用と比べて不利になります。

 

債券への影響

多くの債券は固定金利であるため、インフレ(金利上昇)局面では金融商品としての魅力が薄れるため、債券のパフォーマンスは悪くなります。

個人向け国債(変動10年)や物価連動債など、インフレに強い債券もあります。

 

株式への影響

インフレによる金利上昇は、将来にわたるキャッシュフローの割引現在価値は下がるため、大きなインフレ下では株式パフォーマンスは悪くなると言われています。

他方で、インフレにより企業の資産や利益額の名目値が上がる場合は、株価は上昇します。株式は、「穏やか」かつ「予測可能」なインフレ下で、良いパフォーマンスを示します。

 

不動産への影響

インフレ下では不動産価値が上がり、キャッシュフローも増える事が見込まれるため、インフレ下では不動産は良いパフォーマンスを示します。

 

ポートフォリオのリスク・リターン

リターンが $latex r_i$ の資産 $latex i$ をポートフォリオ全体に対して $latex w_i$ の比率で持ったとします。ここで $latex \sum w_i =1$ です。また、資産 $latex i$ と資産 $latex j$ との共分散を $latex \sigma_{ij}$ とします。

 

リターン

上記の条件で、ポートフォリオ全体のリターンは、

$latex r = \sum r_i w_i$

です。各資産のリターンに、保有比率で重みをつけて足し合わせた値になります。

ポートフォリオのリターンを大きくするためには、リターンの大きな資産を大きな比率で持つ事が効果的です。

 

リスク

ポートフォリオ全体のリスクは、

$latex \sigma = \sqrt{\sum_{i,j=1}^{n} w_i w_j \sigma_{ij}}$

です。

ポートフォリオのリスクを小さくするためには、互いに相関の低い資産を、多くの種類持つ事が効果的です。

 

 

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